シリーズ 男のリフォーム 「ガレージ」本格派のこだわり 第4回

製作日数は10か月。資金をかけずに念願の隠れ家を手に入れる

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機械の設計士なので
CADの扱いはお手のもの?

 チェーンソーなどの設計のお仕事をなさっていた久我さん。3DCADソフトなどの扱いは得意ということでしたが、ガレージを立てるための知識は2×4の入門本を1冊読んだだけだとおっしゃいます。

「2×4工法というのは、規格化されたパーツを組み合わせることで造れるんですね。なので、各パーツの設計図を書いて、それに従って同じパーツを必要な数を造っておけば、あとはそれを組み上げるだけなんです」

 まるでプラモデルでも作るような言い方の久我さん。けれど、それは機械設計を仕事にされてきたからでしょうか。

「そんなことはありません。もちろん、ミクロン単位の精度が必要な私の仕事と比べれば楽かもしれません。けれど、CADを使った精密な図面でなくとも、パーツごとにきちんと寸法を書いておけば、手書きのラフでも十分です。組み立て方さえ間違えなければ造れるものですよ」

 例えば、三角形の材木を組み合わせていくトラス構造の屋根を支える部材も、同じものをいくつも造るだけだそうです、木材の寸法が足りない場合の継ぎ方も入門書に書いてあったので、その通りに造ったそうです。

「きちんと手順がシステム化されていますから、その通りに製作すれば強度的にもまったく問題がありませんでしたね。それに、ミクロン単位の機器設計とは違って、切り出して1cm単位で誤差が出たりするものですが、それもなんとかなってしまいますから(笑)。むしろ肝心なのは、設計が終わった段階で、きちんと工程を決めることです。工程表どおりに組み立てていかないと、後々の作業に響いてきます」

ガレージの材料はホームセンターで調達

 久我さんは、既成の2×4の部材を買うのではなく、近くのホームセンターで木材を買って加工をしたそうです。
「無料で貸してくれるホームセンターのトラックで、何度も往復しました」
 ホームセンターでは、木材をカットしてくれるところもあります。事前に必要なパーツをリストアップして、自分が建てるガレージの部材に加工するには、どういう木取りをしたらいいかなどを考え、カットを依頼する方法もあるかもしれません。

 部材ができた後の実際の組み立て作業はどうだったでしょう。

「自分で組み上げることもありますが、やはり大変です。実は、従兄弟が私より前にガレージを造っていたんですね。彼は平日が休みなので、私がいない時に来てもらって、壁材などを貼ったりしてもらいました。構造を組み上げてしまったところで、少々飽きたこともありまして(笑)」

 屋根を上げる作業など、一人ではできないところはクルマ仲間の手を借りたそうです。お友達のみなさんも、いずれは自分のガレージを、と思っている人にはいい経験になったことでしょう。

製作日数はかかるが
DIYは資金的に大きなメリット

「建物の基礎打ちは、自分の手には負えませんでしたので、業者に頼みました。基礎が打たれたところで、ああこれはいよいよ後には引けないな、となりましたね(笑)」

 こうしていろいろな人の手を借りながら完成したガレージは、いったいどのくらい時間がかかったのでしょう。

「建てようと決めたのは2008年の12月でした。そこから勉強をして、設計が終わったのは1月中旬くらい、基礎は2月初めには打ってもらって、組み立ては2月中旬から始めて、9月中旬くらいまで、半年ほどかかりました。天気の良い日だけの作業でしたが6月になってしまうと雨の季節なので、それまでに屋根を上げたい、という計画でした。三角形の屋根の部材は、1日に1個半しか作れません。ですから、なかなか終わりが見えず大変でしたが、既製品より大きいサイズで、ある程度自分の思い通りに建てられたことには満足しています。もう少し間口を広げれば、もっとモノが収納できたかなとも思いますが、そうすると部材のサイズなども変わってきますし、これでちょうどよかったのかなと思います」

 キットを組み立てたり、業者におまかせで作らせるならもっと短い時間で完成したかもしれません。けれど10か月あまりの時間、楽しみながら自分だけの手作りのガレージを建てるというのは、きっと楽しい時間だったに違いありません。

 最後に、久我さんに、ガレージライフに憧れる皆さんの背中を押していただきましょう。

「自分の好きなクルマの専用ガレージをもつことで、生活は楽しくなりましたね。何よりも人の目を気にすることなく、自分の好きなものにかこまれて過ごす時間がもてるようになりました。ガレージライフはとても楽しいものですから、諦めずに熱意を持ってご家族を説得して、ぜひ充実したガレージライフを送ってください」

(第5回に続く)

□ お話を伺った方

久我敏徳さん

若いころからのクルマ好き。マツダ・ロードスターに惚れ込み、奥様を説得して、惚れ込んだこのオープンカーのためにガレージを自らの手で建ててしまった。ガレージは趣味の空間でもあり、秘密基地でもあり、クルマ好きの友人らとの語らいの場でもある。

文◎坂井淳一 写真◎末松正義

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