庭好きの猫・クウ
星崎さんのお宅には、クウちゃんという1匹の黒猫がいます。
「一度は猫を飼いたいなと思って、保護猫の施設に行ったんです。私が何か話しかけたら返事をしてくれて、キャッチボールができる子がいいなと探していました。たくさんの猫の中に私の問いかけに答える子がいて、その子と遊びながら、この子になるかなと思っていたところで、一緒にいた娘が『お母さん、ずっとお母さんを追って鳴いている子がいるよ』と教えてくれました。ケージの中で、私の行く方向に行ってはにゃあにゃあ鳴いて、他の猫が前に来ても上の段に移ってずっと呼んでいたらしくて。キュンですね、もう(笑)」
そんな出会いで星崎さんのお宅にやってきたクウちゃんは、星崎さんが大好きです。
「家の中でもとにかく私にくっついてくるんです。庭仕事で外に出ていると、庭に面している窓からものすごい声で鳴き続けるんですよ。おまけに私が外に出ようとすると、ドアの隙間から飛び出そうとする。これは困ったぞと思い、じゃあ、ハーネスをつけて一緒にちょっとだけ出てみようかと。毎朝30分ほど、一緒に庭に出るようになりました」
猫は外に出すと逃げてしまうことがあるので心配ではなかったのでしょうか。
「それが、私の近くでずっと遊んでいてくれるんです。ハーネスの先を持っていなくても、つないでいなくても、逃げたりしません。ただ、目は絶対に離しませんし、クウが移動を始めたら、私もついて行きます。猫によって性格も違いますから、どの猫でも表に出せるとは思いません」
クウちゃんの性格が、まさに「庭猫」にぴったりだったようです。
「私が庭仕事をしていると、近くの、涼しくて居心地のいい草の上とか木陰でのんびりしています。ご近所の方にも『よく逃げないね』と言われます。外に出していなかった頃は、扉や窓を開けたスキに飛び出していました。ただ、外に出ても逃げ出すことはなく、私が出てくるのをずっと待っているんです。あぁ、この子は私と一緒に外に出たいんだなと思って、1日1回、私と一緒に外に出してあげるようになりました。それからは飛び出しも滅多にしなくなりました」
それでも、念のため、庭に出すときにはクウちゃんにはスマホで位置を確認することができるエアタグを付けているそうです。
庭うさぎのぴょんた
クウちゃんが星崎家にやってくる前は、ぴょんたくんといううさぎがいたそうです。
「娘が小学生の時に飼い初めて、13年間一緒に暮らして、長生きでした」
ぴょんたくんも、外が大好きな「庭うさぎ」でした。
「うさぎの雑誌なんかを読むと、みなさん、お散歩に連れて行ったりしているんですよ。あぁ、いいなあと思いながら、でも、公園に連れて行ったりするのはちょっと大変だし、犬などもいるので心配でした。それで、うちには庭があるじゃないと庭に出してみたら、居心地が良かったらしく。温かい日の日中は庭で過ごす時間が増えていきました」
ハーネスとリードを付けていたこともあり、さほど逃げる心配はなかったそうです。
「クウとは違って木の上に上ったり塀を軽々と飛び越えるようなことはなかったので。一度だけ玄関のフェンスの下をくぐってしまったことがありました。その後は、逃げられないようにバッチリ対策をしました」
うさぎは基本的にとても臆病な動物で、隙間や物陰に隠れる習性があります。
「敷地内でも物置の下に入ってしまうので、その隙間はふさいでありました。庭は居心地が良さそうでしたよ。
普段はペレットとか牧草を食べているわけですが、庭にはフレッシュな草がたくさん生えているので、雑草も食べてくれないかなとひそかに期待していたのです。でもカタバミとかそういった雑草は食べてくれませんでした。その代わり、ちょっと目を離したスキに育てていたニンジンの葉とか、野菜の葉っぱを全部食べられたことはありましたね(笑)。食べているとき以外は、ずっとお気に入りのユキヤナギの木の下にいました」
ぴょんたくんも、本当にお庭が大好きだったようです。
「クウとは違って私にべったりということはありませんでした。なので家の中に入れるときが大変でしたね。捕まえようとすると手が届かないところまで、ちょっとだけ逃げる。それ以上離れようとはしないんですが、近づくとさらに少し逃げる。なかなかケージに戻ってくれなくて、毎日30分くらい追いかけて、疲れた頃にやっと捕まえる、という感じでした」
そんな毎日も楽しそうです。いまでは犬も外ではなく家の中で飼うようになっていますが、こうやって一緒に暮らしているペットを、安全を確保した上で、庭で遊ばせるのは、ペットにとっても、飼い主さんにとっても至福の時間なのかもしれません。
次回は、星崎さんの家庭菜園と、目指している庭の姿について伺います。
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