星崎真紀さんの「お庭のリノベ」とは？

　星崎さんが住んでいるのは、東京近郊の広々とした庭がある戸建てのおうちです。

「もう25年ほど住んでいます。実家に近いということもあってこの土地を手に入れました。それまでもこの近くのマンションに住んでいたのですが、子どもの出産を機に、やっぱり一軒家に住みたいということで」

　古家が残っていたので、それを取り壊して新しく家を建てたそうです。

「庭はいかにも昭和な感じの植栽でした。ハクモクレンやドウダンツツジ、サルスベリ、サツキなどが植えられていて、それ以外は一面芝生でした。芝生があれば子どもが遊んだりするスペースにもなっていいなと思い、芝生と、植栽の一部は残しました」

　けれど、マンガを描く仕事をしながらお子さんも育てていた星崎さんには、なかなかお庭を手入れする時間は作れなかったそうです。

「どんどん野原みたいになっていきました(笑)。放っておいたら、芝生がぼうぼうに生い茂り、範囲も広がっていって、土が出ていた部分も気がつけば全部芝生に。芝刈り機で刈るのも大変でした。そこに、いつの間にかハナニラやリュウキュウサクラソウが生えて、毎年花をつけ、カタバミなどもどんどん繁殖していましたね」

　なかなか手入れをする時間も取れず、芝刈りと雑草取り以外は、あまりガーデニングをすることはなかったそうです。

「鉢植えの植物を置いたくらいでしたね。それでも、ブランコを置いたり、バーベキューをしたり、それなりに庭がある生活を楽しんでいたんですよ」

　そんな星崎さんがガーデニングに取り組んだきっかけは、東日本大震災だったそうです。

「実は震災の直後にがんを患いまして。仕事も引退を考えた時期だったんです。回復期だったこともあって、スロージューサーで毎日無農薬野菜のジュースを飲んでいたんですが、震災の直後はビタミンを取りたいと思っても、果物が手に入りにくくなってしまうんだなと不安になりました」

　それを契機に、ある程度自給自足をできるようにしたいと、お庭の手入れを始めたそうです。

「まずはレモンの木を植えました。東京よりいくぶん温かい場所なので、柑橘類の生育にも向いていたみたいです。それから柑橘類の木を何本も植えました。また、これまでは野菜は無農薬のものを買っていたのですが、高いし手に入りにくいので、自分でニンジンを育て始めたり」

　しかし、最初はなかなかうまくいかなかったそうです。

「家を建ててからは、義母も同居していて、庭は義母にずっと任せきりでした。震災の年に義母が亡くなり、いよいよ私がすべて世話をすることになったんです。義母が植えたミカンの木があったんですけど、なかなか実がならなくて。肥料をちゃんとあげていなかったので仕方ないんですけれどね。本を読んだりして、少しずつ学んでいきました」

　当時、星崎さんはまだがんの回復期で、体力も完全には戻っていなかったそうです。

「なにか仕事をするにも、休み休みでしかできない状況で、一人で庭の管理をするのは大変だなと思いました。そこで、まずは一番大変な除草作業を減らすために、防草シートを敷き始めたんです」

　同時に、庭の一部を業者さんに頼んでテラスにしたそうです。

「脚が付いたデッキのようなテラスではなく、コンクリートを流し込んで、その上にレンガを敷いてもらいました。高さは20cmです。雑草が生えなくなるように、という目論見でした。テラスにテーブルセットを置きたかったし、予算的なこともあり、レンガ敷きでいいや、と」

　まずは自分の体力と相談しながら、庭の手入れが楽にできるように、と庭の整備を始めた星崎さん。ところが、ここからだんだんガーデニングにはまっていきます。次回は、自分の考える理想の庭づくりに加速していくお話を伺います。