ベランダ・テラスをプチリフォーム[第4回]

パッと作れる「おうちカフェごはん」

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朝は水出しのコーヒーと
飲むサラダ「サルモレホ」で

 暑い夏の朝に、目覚めてすぐキッチンに向かうのはちょっと大変。卵を焼いたりサラダを作ったり、お湯を沸かしてコーヒーを入れるのは手間です。

 前日に作っておいて、冷蔵庫から出せばすぐに食べられる朝食はいかがでしょう。

 まずはコーヒー。おすすめはコールドブリュー(水出し)です。1Lのジャグなら、中に入れるメッシュのカップの中に80g程度のコーヒー粉を入れ、水を注ぐだけです。一気に水を注ぎ入れると吹きこぼれるので、ジャグにあらかじめ水をある程度入れてからコーヒー粉の入ったメッシュのカップを入れ、上からゆっくり水を注ぐようにしましょう。

 冷蔵庫に入れて一晩おくと、その間に抽出され、翌日にはアイスコーヒーができています。お湯でドリップをするよりも柔らかく、雑味の少ない優しい味わいになります。

 コーヒーが冷えているので氷を入れる必要がなく、コーヒーが薄まりません。牛乳を加えてアイスカフェオレにするのもいいでしょう。

 美味しいアイスコーヒーに合わせて、前日に仕込んでおきたいのが「サルモレホ」です。ガスパチョに似たトマトの冷製スープで、スペイン・コルドバの郷土料理です。完熟したトマト、ひとつまみの塩、エクストラバージンオリーブオイル、ほんの少しのヴィネガー、ニンニクを半片くらい、ひとかけのパンをミキサーやハンディブレンダーでなめらかにするだけです。シェリーヴィネガーが一般的ですが、バルサミコヴィネガーを使うとフルーティさが増します。

 サルモレホはまさに飲むサラダ。パンが入っているので腹持ちもよく、朝食には最適です。物足りないようでしたらパンを添えて。ちぎったパンをディップしながら食べるのもおすすめです。

ランチにはフルーツを使った冷製パスタ

 暑い夏のランチに、フルーツを使った冷製パスタはどうでしょう。フレッシュな酸味と香り、そして果物の甘さが食欲を増進させてくれます。カッペリーニやフェデリーニなど、細めのパスタがぴったりです。

 今回は、夏が旬の「プラム」で。フレッシュなミントをたっぷり使って、爽やかな味に仕上げましょう。

プラムとポモドリーノの冷製パスタ

【材料】(1人分)

    A(ソースの材料)

  • ・プラム…2〜3個(※1)
  • ・ポモドリーノ(プチトマト)…3〜4個(※2)
  • ・塩漬けケッパー…5〜6粒(※3)
  • ・ミントの葉…ひとつまみ
  • ・塩…ひとつまみ
  • ・胡椒…適宜
  • ・レモンの皮…1/2個(※4)
  • ・レモン果汁…1/4個
  • ・エクストラバージンオリーブオイル…大さじ3
  • ・バルサミコヴィネガー…小さじ1
  • ・フェデリーニ…80〜100g
  • ・塩(パスタを茹でる鍋に入れます)

※1 プラムは包丁でそぎ切りにして種を外しておく。
※2 ポモドリーノ(プチトマト)は半分〜1/4にカットする。
※3 水に漬けて5〜10分塩抜きし、細かく刻んでおく。
※4 レモンの皮はすりおろしておく。

◎作り方

 材料Aをボウルの中で混ぜ合わせ、冷蔵庫に置いておきます。パスタを袋に書かれている時間より30秒ほど長めに茹でたら氷水で締めます。Aのボウルにパスタを加え、混ぜたらできあがり!

自家製非加熱シロップの
すっきりドリンク

 このパスタには、よく冷えた白ワインやスパークリングワインが合います。フレッシュなミントで、夏にぴったりなカクテル「モヒート」を作ってもよいでしょう。

 ノンアルコールなら非加熱のかき氷シロップを仕込んでおくのはどうでしょう。へたを取ったいちご500g(だいたい1パックくらい)を煮沸消毒した密閉瓶に入れ、レモン汁を1個分、上から砂糖を1kg加えるだけです。砂糖は黒糖でも、三温糖でも、グラニュー糖でもお好きなものを。仕上がりの色が綺麗なのはグラニュー糖ですが、三温糖や黒糖を使うとコクが深くなります。

左がグラニュー糖、右が黒糖で仕込んだシロップ。

 砂糖が溶けてきたら1日1回かき混ぜて、完全に溶けたらできあがり。非加熱なので、冷蔵庫で保存しましょう。シロップは実ごと使えますが、グラスに氷とシロップ液を入れ、レモンをちょっと搾ってソーダで割ると、すっきりと飲めて美味しく楽しめます。お酒を加えてカクテル仕立てにするのもアリです。

蒸し暑い夜はピリ辛つまみで夏酒を

 真夏は夜になっても蒸し暑さが続きます。そんなときにおすすめのドリンクは、日本酒。この時期、夏酒と称していろいろな酒蔵からすっきり、キリリとしたお酒がリリースされています。冷蔵庫でよく冷やしていただきましょう。夏酒は口当たりが軽めのものが多く、あえて氷を入れるという楽しみ方もできます。

 そんなキリリとしたお酒に合うのは、暑さを忘れさせてくれるちょっと辛い肴です。まずは、美味しい豆腐を買ってきて、三升漬けを乗せてみましょう。

三升漬け豆腐。

左が10年もの、右が昨年の夏に漬けたもの。

 三升漬けとは、夏の季節に出回る青唐辛子を刻んで広口瓶に入れ、同量の醤油と麹で漬け込んだもの。唐辛子1升、醤油1升、麹1升で漬けるから「三升漬け」と言われるのだそうです。麹は、スーパーなどに売っている板麹でかまいません。

 漬け込んで1週間ほどで食べられますが、冷暗所に置いてひと月くらい経つと熟成してより美味しくなります。1年でも10年でも持ちます。液体部分だけを辛い調味料として使うこともできますし、唐辛子も熟成が進むほど美味しくなります。鶏もも肉と長ネギを炒めたものにかけたり、焼きそばに使ったり、タレにしたりと、万能調味料として重宝します。

実山椒を使って和風オイルフォンデュ

 6月から7月にかけて八百屋に出回るのが「実山椒」。枝を取ってさっと下ゆでし、1〜3時間、流水にさらしてあく抜きをすればできあがりです。冷凍すれば1〜2年はその辛味と鮮烈な香りを保てます。

 実山椒を小さいスキレットにひとつかみ入れ、エクストラバージンオリーブオイルをたっぷり入れて、弱火で熱しましょう。十分熱したところで、串を打ったししゃもを入れます。ししゃもの山椒オイルフォンデュです。ししゃもの塩気と山椒のピリリとした辛味で、お酒が進みます。一緒に、切って串に刺したズッキーニやアスパラ、茄子などを楽しんでもいいでしょう。

マスタードを使ったお手軽トマトサラダ

 最後は、マスタードを使ったサラダです。プチトマトを半分に切り、ディジョンマスタードとエクストラバージンオリーブオイルで和えるだけ。一緒にハーブを加えてもいいでしょう。ディジョンマスタードは塩、酢、油、マスタードを混ぜ合わせたものなので、それだけで辛子の爽やかな辛味と味付けができあがっています。辛子マヨネーズの卵抜き、と考えてもいいかもしれません。

 夏のおうちカフェでは、さっと作れる簡単な料理がおすすめです。居心地のよい空間になった自宅のベランダやテラスで、楽しい時間をすごしましょう!

文・写真・レシピ◎坂井淳一
「今日は何を呑もう」から考える「酒ごはん研究所」主任研究員。ライター・フードジャーナリストとして多数のメディアに執筆。飲食店のレシピ開発やコンサルティングも行う。男性も料理をしよう、という「イエメシオトコ。」活動を展開中。料理のほか、住宅、旅行、アウトドアやIT、ガジェットなど幅広いジャンルをカバーする。

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