ベランダ・テラスをプチリフォーム[第2回]

一軒家のテラスを心地よい空間に

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テラスはリビングの延長

LIXILのテラス製品「テラスSC」。モダンなデザインで設置時に外壁を傷つけない構造です。

 戸建て物件のベランダやテラスがマンションと大きく異なるのは、緊急時に隣の部屋と連携した避難経路にならないということです。エアコンの室外機を置く必要もありませんし、テーブルや椅子なども、逐一折りたたんで片付ける必要がありません。ですから、リビングとデッキの高さを等しくして、“テラスはリビングの延長”という考え方で空間を作るといいでしょう。窓も全面開放型のものに替えると、より使い勝手がよくなります。

 ソファはクッション性があり、落ち着けるものをチョイス。テーブルも、リビングテーブルと高さを揃えると、「外と内」の境が希薄になり、テラスがリビングの延長という感覚はさらに強まります。日差しや風雨が入り込む分、紫外線などによる劣化も考えられるので、耐候性がある素材を選びましょう。

 LIXILには「リビングテラス」という発想のもと、さまざまなデザインのテラスが用意されています。天然木のような風合いを持ちつつ耐候性にも優れたウッドデッキなど、ラインナップも豊富です。

 こうしたリビングとつながるテラスのメリットは他にもあります。開口部の大きいリビングは、二重サッシなどで夏の遮熱対策をしてあっても、どうしても直射日光が入り込みます。けれど、施工時に屋根部分の高さを調整することで、冬は陽の光を取り込み、夏は強い日差しを遮ることができ、家そのものの省エネにもつながります。出したりしまったりできるオーニングもいいですが、突然の雨や置いたままのソファを考えるなら、しっかりした屋根のあるテラスを作るほうがメリットがあります。

 テラスをクローズドな空間にするスタイルを選択肢として考えてみるのもいいかもしれません。夏の間はオープンなテラスでおうちカフェとして活用し、寒い冬はガーデンルームとして庭を眺めながら、柔らかい日差しの入る温かい空間で快適に過ごせます。寒さに弱い植物を、冬の間ガーデンルームで育てることもできます。

庭をそのままデッキスペースに

白くペイントしたトレリスで隣家と仕切ることで、パティオ的な空間に。

 それでは、実際にご自身でプチリフォームをしたお宅を拝見してみましょう。

 下の写真のお宅は、東京都・中目黒にある築28年の一戸建て賃貸物件です。賃貸物件では勝手にテラスを作ることはできませんが、コンクリートで舗装されていた庭部分にジョイント式の床材を敷き詰め、デッキに改装しました。

 正面のマンションとの境界は植栽を活かして外からの視線をカバーし、同時に緑が映える情景になりました。サイドの二面には木製のトレリスを追加し、ハンギングプランターをかけています。まるで南仏のリゾートのような雰囲気です。

 コンクリートの周囲に土がむき出しになった部分があったので、ボックス型のプランターを置きました。元の植栽をいじらずに、ハーブや花を植えることができます。

 この家に住む方は、金属製のテーブルや椅子を置いたままにしています。木製や布製のものと違い、雨や日差しに強く、洗うことも容易にできます。床材を敷き詰めてあるので、部屋の中から素足や室内履きで外に出ることも可能です。

ライティングをデザインして
夜も心地良い空間に

 テラスやデッキの楽しみは、昼に限ったものではありません。むしろ夏の間は、暑さが落ち着いた夕暮れから夜の方が過ごしやすいでしょう。

 そのために大切なのがライティングです。大光量の照明を付けるのではなく、空間のあちこちにキャンプ用のランタンなどを置くことで、ぐっと雰囲気が出ます。ランタンはクラシカルなオイル式のものから明るいガスボンベ式、さらには電池を使ったLED式などさまざまな製品があります。明るさもまちまちなので、デザインと明るさを考えながら、テラスのどこに何を置くかを考えましょう。

 LIXILの製品にも、多彩なエクステリアライトがラインナップされています。面で照らす明かり、点で照らす明かり、それぞれの良さを活かして素敵にライトアップしましょう。

LIXILエクステリアライト「美彩」

www.lixil.co.jp/lineup/gate_fence/bisailight/

 家族だけ、あるいは夫婦二人で楽しむなら、テーブルの上にひとつ、そして風景を楽しみ、虫除けにもなるように少し高さのある位置に明るいものをひとつ置くといいでしょう。ホームパーティーなどで友人を呼ぶならば、各テーブルに置いてあまり暗くなりすぎないようにします。

 LED式で太陽光充電のガーデンライトを壁や植栽の中に置けば、ラクシュアリーな雰囲気になります。

 昼と夜で顔が変わるテラス。プランを考えるだけで楽しくなります。

 次回は、パーティー好きが高じて、テラスにピッツァ窯まで設置されたお宅をご紹介します。

文・写真◎坂井淳一
「今日は何を呑もう」から考える「酒ごはん研究所」主任研究員。ライター・フードジャーナリストとして多数のメディアに執筆。飲食店のレシピ開発やコンサルティングも行う。男性も料理をしよう、という「イエメシオトコ。」活動を展開中。料理のほか、住宅、旅行、アウトドアやIT、ガジェットなど幅広いジャンルをカバーする。

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