ベランダ・テラスをプチリフォーム[第1回]

マンションのベランダを
〝おうちカフェ″に

空間
エクステリア
関心
季節リフォーム

マンションのベランダでも
スペースは十分

 一般的なマンションのベランダは、3LDK程度の物件なら奥行きが90cm〜120cm、広いところでも180cm程度というのが一般的です。戸建てでも、2階のベランダは広いスペースとは限らないので、スタイリッシュで快適な空間を作るのは難しいと思うかもしれません。

 けれど、狭いからといって諦める必要はありません。一般的なマンションサイズのベランダなら、工夫次第で素敵なおうちカフェ空間を作ることができます。

 必要なのは、小さいテーブルとチェアを置けるスペースだけ。夫婦二人なら、50cm〜60cm四方のテーブルに椅子が2脚あれば十分です。折りたたんで片付けられるものを選ぶのがよいでしょう。小さなお子さんがいる場合は、子ども用の椅子をプラス。席数を増やしたいときは、ダイニングやリビングの椅子を外、または窓際に出すという手もあります。

 狭いベランダでのおうちカフェの基本は、小さなカフェテーブルと2脚のチェアが置けるスペースを確保することからはじまります。

マンションのベランダには制約が。
事前に内容を確認しましょう

 分譲型のマンションでも、ベランダにはさまざまな条件が付いています。部屋とつながっているため居住者の所有物だと思いがちですが、マンションのベランダは「共有部分」と見なされているのです。

 その最大の理由は、ベランダは避難経路であるからです。消防法でも、共同住宅のベランダに物を置いてはいけないと定められています。ただ、そこには「常識の範囲内で」という注釈が付きます。

 部屋で火事などが起きた場合、隔て板を破って隣の部屋のベランダに避難することがあります。ですから、隔て板の前に大きな物を置いたり、背の高い鉢植えなどを置いたりすることはできません。床部分に避難経路としてのハッチがある場合、そこを塞ぐこともできません。

 人が通り抜けできることが前提なので、プランターや植木鉢などを大量に置くのもNGです。備え付けの物干しがある場合、それを勝手に取り替えることはできない物件もほとんどです。管理組合や管理会社にどこまでできるか、リフォームをはじめる前にきちんと確認しておきましょう。

おしゃれで省エネにもつながる
エアコンの室外機カバー

写真◎PIXTA

 では、ベランダのプチリフォームのポイントを見ていきましょう。

 ベランダを見渡して、まず目につくのがエアコンの室外機。無機質な室外機がむき出しでは、せっかくのカフェ気分が台無しです。ホームセンターや通販サイトなどで「室外機カバー」を探してみてはどうでしょう。金属製、木製、さまざまなデザインの物があります。上部の棚にハーブの鉢などが置けるタイプは使い勝手もよくおすすめです。

 この室外機カバーは、省エネにもつながります。昨年の夏に、リモートワークや休校で一日中家のエアコンを使い、電気料金の高さに驚いた方も多いと思います。室外機を夏の強い日差しから守り、室外機の温度を5度下げることができれば40%近い節電になるという研究結果もあります。ただし、日差しを避けるとともに、風通しを考えた製品を選ぶことがポイントです。

床が変わればテイストも変わる

 無機質なコンクリートの床にジョイント式の床材を敷き詰めることでも、ベランダの雰囲気を一変させられます。ホームセンターなどでも購入でき、素材も天然木、人工木、樹脂、タイルなど多様です。

 さまざまな製品がありますが、汚れにくいもの、掃除がしやすいもの、排水性能などをチェックして選ぶとよいでしょう。

省エネ効果も望めるスタイルシェードを。
ラティスを設置してハンギングプランターも

 マンションのベランダは、上階のベランダが屋根の役割を果たしていることがありますが、やはり無機質な印象は否めません。物干し竿のフックが天井に取り付けられているベランダもあります。窓の上辺にオーニングを取り付けると、うまく天井部分が隠れます。ベランダによっては屋根がない場合もあるので、検討してみてはいかがでしょう。LIXILにも簡単な施工で取り付けられるオーニングがあります。

 また、ベランダの手すり部分も、ラティスなどでぐるりと囲んでみましょう。ただし、マンションの場合、手すりの高さを越える物は設置できないルールがあることも。そして前述のように、隣室との隔て板は避難経路になりますので、そこに設置することも避けましょう。

 手すりやラティスには、ハンギングプランターをかけるとまるでヨーロッパのアパルトマンの窓辺のようなおしゃれな雰囲気に。落下の危険があるので手すりの外側にかけるのはNGですが、内側に吊すなら大丈夫。四季折々の花が咲き、ハーブがすくすく伸びるベランダは楽しいものです。

 次回は、一軒家のテラスをプチリフォームした実例をご紹介します。

文◎坂井淳一
「今日は何を呑もう」から考える「酒ごはん研究所」主任研究員。ライター・フードジャーナリストとして多数のメディアに執筆。飲食店のレシピ開発やコンサルティングも行う。男性も料理をしよう、という「イエメシオトコ。」活動を展開中。料理のほか、住宅、旅行、アウトドアやIT、ガジェットなど幅広いジャンルをカバーする。

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