その「節水テク」、間違いです![第1回]

トイレの節水テク、○か×か?

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Q:トイレのタンクにペットボトルを入れると節水になる?

 かつてテレビなどで紹介され、今でもSNSで多くの「いいね」がつく節水方法があります。それは「トイレのタンクに大きめのペットボトルを1~2本入れると、タンク内の水が少なくて済むため節水になる」というもの。

 しかし、これは×!
 確かに一度に流す水の量は減りますから、節水に有効な印象を与えますが、トイレはタンク内の水がしっかり流れることで、排泄物やトイレットペーパーを完全に流すように設計されています。

 仮に2Lのペットボトルを2本入れると、流れる水の量が4L少なくなります。一方、トイレのタンクは2001年ごろまでの製品は約13Lで、2002年から2006年ごろまでは約8Lでした。流す水が4L少なくなると、13L必要な設計の便器では残り9L、8Lの便器ならば残りは半分になってしまいます。これでは、流すものの量が少ない場合はまだ流れるとしても、多い場合は途中で止まったり詰まったりする可能性があります。

 ですから、この節水テクは間違っていると言っていいでしょう。

Q:流すときはいつも「小」モードでいい?

 同じく、「流すときはいつも『小』モードで十分」という説もありますが、これも×です。

 用を足すときに、小だったら洗浄も「小」モードで、大だったら洗浄も「大」モードで流すものだと思っている方は多いのではないでしょうか。そもそもそれが間違いなのです。

「小」モードと「大」モードでは、およそ5Lも水量が違います。実は「小」モードは尿“だけ”を流すために設定されたもの。

「小」モードで流したあと、トイレットペーパーが流れ切らずに便器の底に残っていることはありませんか。もう一度流さなければいけなくなれば、かえって水を無駄にしてしまいます。また、トイレットペーパーを大量に使えば「小」モードでは流れずに、詰まりの原因になってしまいます。ですから、用を足したときは小であろうが大であろうが、トイレットペーパーを使用したら「大」モードで流すのが正解なのです。

 どのトイレも、しっかり洗浄するために必要な水の量が設計されています。タンクにペットボトルを入れるのも、いつも「小」モードを使うのも、使う水の量を減らす方法ですから、それを実践すると故障につながってしまうのは明白ですね。

Q:給水管の止水栓をドライバーで絞ると節水になる?

 これは×です。

 水道からタンクにつながる給水管の止水栓をマイナスドライバーで絞ると節水になるという説をSNSなどで見かけますが、まったく根拠がありません。トイレのタンクの容量はあらかじめ決まっていますから、そこに溜まる水の量は変わりません。タンクが満水になるまでの時間が長くなるだけです。

Q:最新型にリフォームすると大幅節水になる?

【引用元】省エネ・防犯住宅推進アプローチブック
【単価】上下水道:265円/m3(税込)※消費税率10%
【試算条件】※4人家族(男性2人、女性2人)が大1回/人・日、小3回/人・日使用した場合で算出 ※2022年7月調べによる日本国内の代表情報に基づき算出しています。地域、時期、契約条件等により違います。参考としてお使いください。※上記の単価に基づき算出した節約金額は、あくまでも目安でありご使用方法などにより異なります。

 これは○!
 大正解です。

 トイレの節水には、特に10年以上前のトイレの場合、最新のトイレにリフォームすることが最も効果的です。

 前述したように、2001年までのトイレのタンク容量は約13L、それ以降の製品では約8Lです。LIXILでは、さらに少ない水量で流せるECO6、ECO5という節水型の製品があります。ECO6は「大」モードが6L、「小」5Lで、ECO5は「大」5L、「小」3.8Lとなっています。

 賃貸マンションから一戸建てに引っ越したら水道代が減ったという声がよく聞かれますが、その主な理由はこうした節水型トイレを採用したことでしょう。

 例えば、上下水道料金が1立方メートルあたり265円(税込)の場合、4人家族(男性2人、女性2人)がそれぞれ1日に大を1回、小を3回するとして、ECO6製品を使用すると、13Lタンクより年間約12,000円も節約できます。8Lタンクと比べても約4,300円の節約です。さらに、ECO5製品を使用すると、13Lタンクでは年間約13,800円、8Lタンクでも約6,300円の節約になります。

※2022年7月調べによる日本国内の代表情報に基づき算出しています。地域、時期、契約条件等により違います。
※上記の単価に基づき算出した節約金額は、あくまでも目安であり、ご使用方法などにより異なります。

 そんなトイレリフォームは、ネットで安価な製品を探し、自分で取り付ければ費用も大幅に節約できるように思えますが、適切な知識がないまま行うことは絶対にやめましょう。

 なぜなら、配管の組み立て順序やパーツの知識がないと、水漏れの原因になるからです。自分で行ってパッキンの取り付けを忘れたり、締め付けが不十分だったりすると、トイレ内に水がたまり、床の腐食などの問題を引き起こす可能性があります。床材が水を吸収して膨らみ、見えない場所でカビが発生する危険性もあります。

 また、トイレの給水管は時間の経過とともに尿に含まれる成分が固着して狭くなる可能性もあります。専門のリフォーム業者に依頼すれば、このような配管のチェックも行ってくれます。

 節約のために自分でリフォームにチャレンジしたはずが、トラブルが発生し、逆に高額の修理費用がかかる可能性もあります。家は長く住み続けるもの。自分で手を入れるのは自信を持ってできる範囲にとどめておきましょう。

 次回はお風呂と洗濯の節水テクをお届けします。

文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
画像◎Shutterstock

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