その「節水テク」、間違いです![第3回]

キッチンの節水テク、○か×か?

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Q:少ない水で洗えるのは食器洗い乾燥機より手洗い?

 正解は×です。

 家庭でも特に多くの水を使う場所がキッチン。その中でも使用量が多い用途が「食器洗い」です。手で食器を洗うとき、多くの方は水を出しっぱなしにしているのではないでしょうか。洗剤が付いたスポンジで食器の汚れを落としながら、レバーで水を出したり止めたりするのは大変ですよね。

 東京都水道局が公開している「用途別使用量の目安」によると、食器洗いのときに水を5分間出しっぱなしにすると、それだけで60Lも流れるそうです。

 しかしそれを食器洗い乾燥機(以下、食洗機)に任せると大幅な節水になります。各メーカーの性能表示によれば、水の使用量は1/4~1/9ほどで済むのだとか。

 食洗機の節水効果が高い最大の理由は「溜め洗い」をするからです。食器をセットし、専用の洗剤を投入して運転を始めると、まず水道の給湯側から分岐したラインからお湯が出ます。
 そのお湯に洗剤が溶け、設定温度になるまで電力で加熱してから、そのお湯をノズルから庫内に噴射して食器を洗います。洗濯機と同じで、一定時間洗ったら洗剤液を排出し、今度は新しい水ですすぎます。

 手洗いの場合、おそらく多くの方はスポンジを使っているとき水を流しっぱなしにしているでしょう。でも食洗機は、洗っている間は一切新しい水を使いません。さらに、すすぎもノズルからの噴射で行うので、少量の水で済みます。だから手洗いに比べて大幅な節水になるのです。

Q:食洗機は汚れが落ちにくい?

「食洗機は汚れが落ちないから逆に無駄」と言う人がいます。汚れが落ちないから取り出した後にまた手洗いすることになるので、かえって水を多く使ってしまうのではないか、ということですね。

 しかし、そういう人に話をよく聞いてみると、食べた食器をそのまま放置しておいてから庫内にセットしているケースが多いようです。

 食洗機で汚れをスッキリ落とすには、庫内にセットする前の準備が肝心なのです。

 食べ終わった食器がソースなどでべったり汚れている場合は、シンクでさっと洗い流してから庫内にセットするといいでしょう。食器の中で乾いてこびりついてしまったときは、しばらく桶などに水を張ってつけ置きし、汚れを落ちしやすくします。

 シリコン製のキッチンスクレーパーでソースなどをかき集めてからキッチンペーパーで拭き取る方法もオススメです。こちらはさらに節水になります。汚れが固まってしまっていた場合は、少量のお湯をスクレーパーで汚れとなじませるようにすると取れやすくなりますよ。スクレーパーもその後、食洗機で一緒に洗えばいいのでとても簡単です。

 食洗機はトングやターナー、ボウルなど油などが付きやすい調理器具や、大きさによっては鍋も洗えます。料理中に、鍋や調理器具を使い終わったものから次々と食洗機に入れ、食事を始める直前にスイッチオン。食事が済んだら食洗機から洗い終わった調理器具を取り出して、今度は食器をセットしてスイッチオン。このように食洗機を2段階で使うと、洗いものはとても効率よく片付いていきます。

 ここで、これから食洗機の購入を検討されている方のために、タイプ別のメリット・デメリットを整理しておきましょう。

 食洗機には大きく分けて据え置き型とビルトイン型の2タイプがあります。

▼据え置き型

 据え置き型は、ビルトイン型に比べると小ぶりです。シンク脇などにも置けるように比較的置く場所を選べますが、いざ置いてみると意外と大きく、邪魔に感じるかもしれません。給湯器の水栓前のラインから分岐してお湯を入れ、シンクにのばしたホースから排水するので、スタイリッシュさに欠けるところも難点と言えるかもしれません。

 賃貸住宅では基本的に据え置き型しか設置できないところが多いでしょう。

メリット
 ・キッチンの狭いスペースに置ける
 ・水道の配管以外の大きな工事がいらない
 ・価格が手ごろ
 ・高い位置に置けるので食器の出し入れが楽

デメリット
 ・1回に洗える量が少ない(1~3人分くらいが目安)
 ・排水などの配管が目立つ
 ・存在感が強く、目立つ

▼ビルトイン型

 ビルトイン型は、据え置き型に比べて大容量ですが、システムキッチンに組み込むためスッキリとした外観になります。ただし、食器を出し入れするときにある程度かがまないといけないのが難点で、腰が悪い方などは不便に感じるかもしれません。

 持ち家の方は戸建て・マンションを問わず、ビルトイン式を選ぶことが多いようです。

メリット
 ・システムキッチンの中に組み込める
 ・比較的大容量(3~5人分くらいの容量)
 ・配管などが目立たない

デメリット
 ・価格が高め
 ・食器の出し入れが面倒
 ・運転音がやや大きめ
 ・給湯や排水管に加え設置工事が必要

 いまやドラム式洗濯乾燥機、ロボット掃除機と並んで「新・三種の神器」と呼ばれる食洗機。時短になるだけでなく、節水にもなるのですから、設置したら生活が一変しますよ。

Q:便利で節水もできるものは食洗機しかない?

 食洗機以外にも、便利かつ節水効果が高いものがあります。ですから、答えは×!

 LIXILのタッチレス水栓「ナビッシュ」シリーズは、水栓に手をかざすだけで水を出したり止めたりできます。たとえ食洗機を導入したとしても、手洗いはゼロになることはないので、タッチレス水栓なら必要な時だけ水をタッチレスで水を出し止めできます。

 また、食材を洗うときや、調理中に手が汚れているときも、タッチレス水栓なら水栓そのものを汚さずに水を出せるので、後で汚れた水栓を洗う必要もありません。
 従来型の水栓からの交換も、最短で2時間。シンク周りに電源がない場合は乾電池式の製品もあるのでご心配は無用です。
 さらに便利な浄水機能付きのものもあります。

 ここまでトイレ、お風呂・洗濯、そしてキッチンの節水テクを見てきました。さもそれが正解かのように伝わってきた説にも間違いがあることはお分かりいただけたでしょうか。

 また、今は節水効果のとても高い最新機器がそろっています。節水効果があるばかりでなく、暮らしの質も上がるこれらの機器は、初期費用は高くても、長い目で見ればお得ではないでしょうか。

文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
画像◎Shutterstock

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