セカンド洗面で「手洗い行列」にサヨナラ!(第1回)

おすすめは「洗面室にもう1台」。「トイレに設置」も利便性UP!

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朝の洗面台の待ち時間は10分!?

 朝の通勤、通学時間帯に渋滞が発生!
 これは駅までの幹線道路のことではありません。毎朝起こる我が家の洗面室の出来事です。
 こんなアンケート結果があります。

「子供の洗面化粧台の利用時間を尋ねたところ、子供の平均利用時間は6.4分であった。また、母親自身が洗面化粧台を使用する平均利用時間は10.2分。中学生の娘の平均利用時間9.3分で、母親の平均利用時間に迫る結果となった」

 朝の1分はとにかく貴重。
 洗面渋滞を何とかしたい! と思うのは当然で、17.1%が「もう1台洗面台が欲しい」と回答しています。

セカンド洗面のススメ

www.lixil.co.jp/lineup/powderroom/hint/second_pwd/

おすすめは洗面台を2つ備えた
「ツーボウル」タイプ

人気のツーボウル洗面。写真◎ワイズデザイン

 それでは、2台目の洗面はどこにつくるのがいいでしょうか。
 池田佳人さんは「洗面室に設置するのが合理的ですね」と断言します。

「すでに給排水の設備がありますから、コスト面でもメリットがあります。おすすめは、ツーボウルと呼ばれる洗面台を2つ備えたタイプで、洗面室にもう1つ洗面台がほしいというお客様のほとんどに選ばれています」

 水まわりのリフォームはどうしても費用がかかってしまいがち。なぜなら、給排水の工事が必要だからです。
 ですが、洗面室にはもともとその設備があるわけですから、ツーボウルの洗面台なら最小限の工事で設置できますし、各メーカーが多様なニーズに応える商品を揃えていますので選択の幅も広がります。

コンパクトなツーボウル洗面は既存の水まわりを有効に利用できるのでおすすめという一級建築士の池田佳人さん。

 また、洗面室にもう1つ洗面台があると、生活動線が変わらなくて済むというメリットもあります。出勤や通学前は、歯を磨いたり、髪をセットしたりと、身だしなみを整えるにあたって、洗面室と寝室やリビング・ダイニングとの行き来が増えます。
 この動線を変えなければ、リフォーム後も違和感なく生活ができ、洗面台が2つあることの利便性を感じられるはずです。

 しかし、洗面渋滞が解消されるといっても、限られたスペースに無理やり2つ設置してしまったら、収納などに問題は起きないのでしょうか。

 池田さんは、ツーボウルの洗面台であれば特にデメリットはないと言います。

「コンパクトに設置できるので、部屋が狭くなる心配はありません。また、洗面台の下には案外有効な収納スペースがあるので、物が入らなくて困るという声も聞こえてきませんね」

トイレ付近も「セカンド洗面」の有力候補

 大型の高級洗面化粧台をお使いの場合、使い慣れているうえ、変えたくないと思われるかもしれません。洗面化粧台は、奥様やお嬢様にとって特別な空間でもあるからです。
 しかし、家のスペースは限られています。この場合はどうしたらいいでしょうか。

子供部屋に利用されることが多い2階のトイレ脇に洗面台を設置すれば、通勤通学時間帯に親にせかされることもなく、身支度も整えられる。親子ともにメリットが大きい。写真◎ワイズデザイン

「コスト面で考えれば、既存の水まわり付近に洗面台を設置するのがベターです。水まわりといっても、給水というよりは排水設備がキモになります。給水はフレキシブルパイプの普及で家のどこにでも引けるようになりましたが、排水は傾斜をもたせて下水に流す必要があり、場所によっては手間がかかるからです」

 つまり、トイレ内やトイレ付近にセカンド洗面を設置するのが有力な候補になります。

「戸建ての場合、2階は子供部屋として使われがちで、トイレはあっても洗面台までは設置されていないことが多い。そこで、セカンド洗面を設置するなら給排水設備のある2階トイレ内やトイレ付近となるわけです。小型のタンクレストイレに替えて、トイレ内の空いた場所に小型の洗面台を設けるのも一手です」

 子供にとっても、自分の部屋の近くに洗面台があれば便利ですし、通学時間帯に親にせかされることなく、身支度を整えられるというわけです。

生活動線を考えて2台目を設置しよう

 朝の通学通勤時間帯の渋滞を回避するだけでなく、帰宅時の動線を考慮してセカンド洗面を設置するのも1つの方法です。

クルマ生活が中心の世帯は、裏口からの動線も考えてセカンド洗面を設置するのも一手。写真◎ワイズデザイン

 日本の典型的な間取りに、玄関から一番遠い場所に、洗面室やトイレを置くケースがあります。
 そこで、玄関から洗面室までの途中に2台目を設置するのです。

 ただし、郊外や地方都市など敷地にゆとりがある住宅の場合、クルマで買い物に出かけて帰ってきたときの動線は、ガレージやカーポートなどの駐車スペース→裏口→パントリー→キッチンが想定されます。

 クルマから降り、荷物を抱えて家に入るときは、表の玄関からではなく裏口という人も多いはず。特に雨の日は、濡れずに屋内へ搬入したいものです。
 こうしたケースでは、裏口から洗面室までの動線上にセカンド洗面があると便利です。

 次回は、洗面室やトイレ付近以外でのセカンド洗面の設置について、池田さんにアドバイスしてもらいます。

(第2回に続く)

お話を伺った方

池田佳人さん

ワイズデザイン一級建築士事務所代表 一級建築士 耐震プランナー木造住宅耐震診断士
住宅づくりとは、そこに住む家族の物語を組み立て、ストーリーをつくることだと考え、その家族にとってどういう空間が心地良いのかということを重視して住宅づくりをモットーに活動。人気テレビ番組「大改造!! 劇的ビフォーアフター」では、狭小住宅やちぐはぐな間取りの家を劇的にリフォームして話題に。新築戸建て住宅から集合住宅一棟のリフォームまで幅広く活躍する。

文◎三星雅人
写真◎村越将浩 PIXTA

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