奥様の隠れ家に2台目を設置
最近ランドリールームの相談が増えているという池田さん。奥様専用の洗面台を設けることで、ランドリールームが隠れ家になり、奥様だけの特別な空間をつくることも。
いま、リフォームや新築で奥様からのリクエストが多いのが、「ランドリールーム」の設置。
洗濯機置き場のある部屋干し空間で、カウンターを造作すれば、洗濯物をたたんだり、アイロンをかけたりすることもできます。
一級建築士の池田佳人さんは、このランドリールームに第二の洗面台を設置してはどうかとアドバイスします。
「ランドリールームには洗濯機用の給排水設備があるので、ここにセカンド洗面を設置するのもいいでしょう。スペースが許せば、奥様専用の洗面台も設置できます。洗濯物をたたんだりアイロンをかけたりする台は、本を読んだりPCやタブレットを使うのにも便利。水が使えるので、軽くお茶をすることもでき、奥様の『隠れ家』的にも利用できます」
池田さんがお客様に提案したランドリールームの一例。給排水設備があるのでセカンド洗面の設置が容易だ。写真◎ワイズデザイン
衛生面を考えれば玄関がベスト
帰宅時、家の動線の起点になるのが玄関です。
この玄関も、セカンド洗面を入れるおすすめスポットだと池田さんは言います。
「玄関にセカンド洗面があると、とくに帰宅時の手洗いやうがいにも便利です。また、玄関の掃除にも利用できるので重宝すると思います」
玄関付近の洗面台設置例。出勤、通学前の身だしなみチェックにも役立つ。写真◎ワイズデザイン
また、洗面台に合わせて鏡を設置すれば、出勤、通学前の身だしなみチェックにも役立ちますし、小さな子供がいる家庭なら、手洗いの習慣づけにもなります。
靴を脱ぐ前に手を洗いたいなら土間部分やドア付近、靴を脱いでから手を洗いたいなら、上がり口や上がりかまち(框)というように、使いやすい場所を選べばいいでしょう。
また、動線という視点で考えれば、廊下も忘れてはいけません。
ここに洗面台を設けるのはどうでしょうか。
「それもいいアイデアです。特に、片側が外壁となっている廊下であれば、出窓を設置する要領で、廊下の幅を維持したまま洗面台を設けられます。排水は外配管できますので、比較的簡単な工事でできますよ。ただし2×4建築は、壁で住宅の強度を保っているため、こうした工事はできません」
廊下に洗面台とは意外な感じがしないでもありませんが、今はさまざまな手洗いボウルがあるので、生活動線上におしゃれな洗面台を設置するのも楽しそうです。
押し入れにも洗面台は設置可能!
ここまでの池田さんのお話から、洗面台を設けるのは、実はどこでもOKということがおわかりいただけたと思います。
リビングでも、寝室でも、廊下でも、どこに洗面台を設けてもいいのです。
「高齢になっても自宅で快適に過ごせるように、寝室に水まわりを設けたいという相談も受けます。狭小住宅のリフォームで、押し入れを利用して小型のトイレと洗面スペースをつくったことがあります。寝室に水まわりを設けると、湿気が心配になるかもしれませんが、湿気やにおいも、調湿効果のある壁材を入れたり、換気装置を備えたりすることでクリアできます」
▶ エコカラット
階段やトイレ脇やのわずかなスペースでもセカンド洗面はできる。写真◎ワイズデザイン
さらに、マンションでもセカンド洗面をつくることは可能です。さすがに壁に穴をあけて廊下に洗面台をつくるわけにはいきませんが、第1回でご紹介したツーボウルの洗面や、トイレを小型化してトイレ内に洗面をつくることは十分に可能です。
「大がかりになりますが、現状の床の下に排管を通し、新たに床を敷く『床上げ』をするなら、たいていの場所に設置できます」
ただ、古いマンションには、排管が階下の天井裏にあることがあります。さすがにこのケースでは、洗面台の設置はもとより、水まわりのリフォームは事実上不可能です。
しかし、「マンションだから」「スペースがないから」とあきらめないで、専門家に相談することをおすすめします。
洗面台には、手洗いを主な目的にした簡易なものから、いわゆる「女優ライト」のような照明をそなえたメイクアップに便利なもの、大小さまざまな収納がついた高機能なものまで、さまざまなものがあります。
セカンド洗面と割り切ってコスト重視で選択するか、思い切ってフル装備の洗面台を設置するか、それは目的に合わせて選びましょう。
次回は、ベランダやウッドデッキなど室外に洗面台を設けることで、感染予防対策をはじめ、日々の暮らしがもっと便利になるアイデアをご紹介します。
(第3回に続く)
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