国が登録している団体に
所属している事業者を選ぶ
屋根は住んでいる人が容易に目視できないことから、詐欺まがいの悪質な手口が広がっているようです。
台風などの自然災害発生直後に被災家庭を訪問し、「契約している保険で工事費をすべて賄えるから……」と修理を勧めるというものが一例です。
鵜呑みにして工事費用を支払ったところ、実際に出た保険金はその金額に遠く及ばず、結局はほとんどが自腹を切ることになってしまうわけです。
また、被災地に的を絞らず、片っ端から一戸建ての家庭を訪ね歩き、「無料の点検を実施している」と偽って、そそくさと屋根に登ってしまう手口も横行しています。
そして、「壊れている箇所が見つかったので直しておきました」と告げ、高額の費用を請求するというもので、実際には何の修繕も行っていなかったりします。
千葉県を襲った大型台風により傷んだ屋根。このような事態のなか、詐欺まがいのことが頻発したようだ。屋根の修繕は、住宅リフォーム事業者団体に登録されている事業者の中から選べば、だまされるようなことはないという。
では、「自宅の屋根をチェックしてもらいたい」と思う人は、どこに相談すればいいのでしょうか。
「屋根システム総合研究所」専務理事の江原正也さんは、「点検・調査や修理の依頼先は、『住宅リフォーム事業者団体』に登録されている事業者の中から選ぶといい」とアドバイスします。
この登録制度は、「リフォーム業務を適正に運営していること」など、一定の要件を満たしている事業者を国が登録するものです。
「登録事業者は、名刺や社用車、工事現場などにロゴマークを表示しているので、きちんと確認しておきましょう」と、江原さん。
登録団体は契約時に内訳を明らかにした見積書を提出し、きちんと書面で契約を結ぶことが義務づけられていますし、リフォームの内容などに関する相談窓口も設けています。国(国土交通省)は指導・勧告を行っており、従わない事業者は登録を抹消されるようになっているそうです。
また、一定額(戸建て住宅の場合、500万円以下で団体が定める額)以上の工事においては、顧客から断らない限り、瑕疵保険に加入するようになっています。同保険は、リフォーム工事において重大な欠陥が見つかった場合に保険金が支払われるというものです。
ふき替え工事を行う場合は、
いいこと尽くしの通気工法の検討を!
防水紙に穴を開けないために、防水紙の上に縦桟木と横桟木を格子状に組み、横桟木に屋根材をクギ打ちによって固定していくという工法。屋根を固定する野地板や貫板、垂木などの劣化を防ぎ、断熱効果も期待できる。
信頼できる事業者を選んだら、わが家の屋根を点検・調査してもらい、どのような修繕を施す必要があるのかを見定めるステップへと移ります。担当者の説明をきちんと理解するためにも、屋根の基本的な構造を頭に入れておきましょう。
一般的な屋根は、野地板(のじいた)の上に防水紙(ルーフィング)を張り、その上を屋根材が覆う構造になっています。そして、屋根の最も高くなっている部分には貫板(ぬきいた)、棟垂木が取り付けられ、そこに棟瓦や金属の棟板金などを取付けます。
雨露の浸入を防ぐのが一次防水として「屋根材」があり、二次防水としての「防水紙」。これらが固定されるのが「野地板」です。そして、この野地板を固定する役割を果たしているのが「垂木」(たるき)です。
雨漏りが発生すると、野地板を起点に垂木や天井などにもカビの発生や木材の腐食が広がっていきます。江原さんによれば、台風をはじめとする自然災害による屋根被害で最大の問題は、野地板や貫板、棟垂木などの劣化だそうです。
「現状の直張工法では、野地板の上に防水紙や屋根材、貫板を釘打ちで固定しています。つまり、防水紙にクギで何カ所も穴を開けるという矛盾が生じているわけです。JIS規格では防水紙に対して垂直にクギを打つことになっていますが、1本残らずそれを保つように打ち付けるのは現実的にほぼ不可能。斜めに刺さっているクギのところから水が漏れ、野地板や貫板、棟垂木などを劣化させていくのです」
欧州では一般的な通気工法。住宅の寿命を圧倒的に延ばすと江原さんは語る。
劣化箇所が貫板だけにとどまっているうちは、その部分を交換するだけで済みますが、野地板や垂木にまで及ぶと、状況次第ではふき替えが必要になります。相応の費用を投じることになるだけに、再び同じような劣化が進みにくい工法を検討したいところでしょう。
「ヨーロッパでは防水紙に穴を開けないために、通気工法が普及しています。まずは防水紙を張り、その上に縦桟木と横桟木を格子状に組んで固定します。そのうえで、横桟木に屋根材をクギ打ちによって固定していくという工法です。屋根材の隙間から雨水が浸入しても、穴が一つも空いていない防水紙の上を流れて下に抜けていきます。しかも、通気層が設けられているので、湿気を排出して野地板の腐朽を防げます」
強風による飛来物で屋根材が破損した場合も、この工法を用いていれば、ブルーシートで覆うなどの応急処置も不要で、しばらくは雨水の浸入を食い止められるそうです。
通気層によって断熱でき、夏は涼しく、冬は暖かくなるという効果も期待でき、まさにいいこと尽くしです。
ふき替えではなく、屋根の上に
新たな屋根を被せるという工法も!
既存の屋根をはがすことなくリフレッシュするカバー工法。工期が短く費用も比較的安い。
ふき替え工事を行えば、屋根が新築時と同じ状態にリフレッシュされて住まいの長寿化に大きく貢献します。しかしながら、屋根に関する修繕工事で最も大きな出費を伴うのも確かで、相応の工期もかかります。
「カバー工法と呼ばれるものなら、ふき替えよりも安い費用で工期も短くなります。既存の屋根の上に、新しい屋根材を被せるという工法です。屋根が二重構造になると安心感が高まりますし、断熱性や防音性も向上します。また、既存の屋根材にアスベストが使用されていても、ふき替えと違ってそれを剥がすためのコストも発生しません」
加えて、カバー工法では既存の屋根材などの廃材が発生せず、その処理費用がかからないのもメリットです。工事の音が気にならなければ、工期中も住み続けられます。
既存の屋根に防水シートを張り、金属系の屋根材で覆う。ガルバリウム鋼板は軽量で耐久性に優れ、地震にも強いのも魅力だ。
デメリットは屋根の重量が増えるので、軽量な金属系の屋根材しか選べないことです。とはいえ、錆びやすい点がネックとなっていた金属系ですが、合金メッキを施したガルバリウム鋼板の登場によってそれはもはや過去の話と化しているようです。
「ガルバリウム鋼板の屋根材の特徴は錆びにくくて耐久性も高く、金属板同士をかみ合わせて施工するので風害に強い。それに、軽量ですから地震にも強いのが魅力です」
もちろん、カバー工法でガルバリウム鋼板を選択することは可能です。その保証年数が過ぎたら、表面に塗装を施して長寿化を図るのも効果的でしょう。
T・ルーフシリーズ
丈夫で長持ち、リフォームにも最適な天然石から生まれた屋根材
万一の時こそ、人と家を守る屋根であること。
鋼板と天然石の融合から生まれた、テクノルーフ。
会員登録 が必要です