「住まいの寿命は30年」という
誤解がメンテナンスの障害に!?
突き詰めれば、住まいにおいて最も重要な役割を担っているのは基礎、構造躯体、外皮(屋根、外壁)だといえるでしょう。雨露をしのぎ、安心して眠りにつける場所を求めて、人類は太古の時代から家を築くようになりました。
だからこそ、できるだけ長持ちさせるようにしっかりとメンテナンスを行い、必要に応じて大掛かりな修理(リフォーム)を施すのが理想ですが、特に屋根は家の中でもなかなか目が行き届かない場所であることも確か。
傷んだまま放置していると屋根材の隙間から雨水が侵入し、梁や柱にも被害が及びかねません。
しかしながら、屋根システム総合研究所専務理事の江原正也さんは「屋根だけに限らず、そもそもリフォーム自体に対する意識が低い」と指摘します。
その背景には、「住まいは寿命がきたら建て替えるもの」という考えがあるようです。
「家を建てる施主自身が『木造住宅の耐用年数は30年程度だろう』と思い込んでいて、はなから『リフォームをして、少しでも長く住み続けよう』という考えがありません。施工会社などにも同じような認識が広がっているようです。住宅ローンを提供している金融機関にしても、『20年で家の資産価値はゼロになって融資対象から外れる』と判断しています。
こうしたことから、国土交通省住宅局「住生活総合調査結果」(平成25年)によれば、全体の62.6%の人たちがリフォームを考えていません。これに対し、米国では80年、欧州では100年といった歳月を経た住宅が珍しくありません。前述の調査でも、米国では66%超、英国では80%超の人たちがリフォームを念頭に置いています」
言い換えれば、日本の木造住宅も本来は30年をはるかに超えて長持ちするものであり、そのためにもきちんと手をかけるべきだという話でしょう。
特に屋根は住宅の大敵である雨露の侵入を防ぐ役割を果たしているだけに、定期点検とメンテナンスが重要となります。
猛烈な台風の襲来で明らかになった
屋根の弱点とは?
実際、千葉県に襲来した2019年9月の台風15号(令和元年房総半島台風)でも、もともと発生していた屋根の傷みが被害の拡大につながったケースが見受けられたようです。
「台風による屋根の被害は、大きく3つに分けられます。1つは、屋根材が強風で吹き飛ばされるというもの。2つ目は施工不良によるもので、本来なら4本のクギを打つべき箇所を2~3本に省略していたり、木ネジで固定すべき箇所にクギを代用していたりして、風で飛びやすくなっていたのです。
3つ目は、軒先やケラバ(屋根の外壁から出っ張っている部分で、雨どいがついていない側)、棟木(むなぎ=屋根の最も高い場所に取り付けた部材)、野地板(のじいた=屋根材の下に貼られた合板)が腐って、屋根材を固定する緊結釘の保持力が弱まっていることに起因するものです」
公益財団法人の「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」が調査した『住宅相談統計年報2019』によれば、はがれや雨漏り、性能不足、ひび割れといった屋根・外壁に関する不具合が上位4つを占め、全体の58%超に達していました。逆から言えば、これらの“異常”をいち早く察知し、適切な処置を行うことで大きな被害を防げるわけです。
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「屋根のメンテナンスは、数年サイクルの定期点検と、数十年サイクルの大規模補修(ふき替え、塗り替え)の2つで考えるとよいでしょう。周期は屋根材の種類によって異なります。例えば、いぶし瓦や陶器瓦などの粘土系は、定期点検が5~6年ごと、大規模補修が30~40年ごとになります。
そのほか、コンクリート瓦などのセメント系、アスファルトシングルは、4~6年と25~30年、スレート系は4~6年と20~30年、ガルバリウム鋼板などの金属系は4~6年と20~25年といったタイミングが、定期点検、大規模補修の目安になります」
屋根材によって長所・短所が
異なることも理解しておきたい
屋根材によって定期点検と大規模補修の目安が異なってくるのは、それぞれの長所と短所の違いなどが影響しているようです。
まず、いぶし瓦や陶器瓦のように粘土を成型・火入れして製造するのが粘土系の屋根材で、耐火・防水・断熱・遮音性に優れている反面、重くて割れやすいのが難点です。通常の風雨に対しては強い耐久性を誇っているものの、地震についてはやや弱い面があり、強風によって何らかの飛来物が衝突するとダメージが生じがちです。
プレスセメント瓦やコンクリート瓦などのように、セメントと砂のモルタルを原料に製造するのがセメント系。耐火・防水・断熱・遮音性の高さが特徴であるうえ、粘土系よりも低コストで衝撃にも強いのが魅力です。
ただし、重くて地震や強風などでずれてしまう恐れがありますし、表面の塗装が剥がれると劣化が進みやすく、水の浸透によってカビが発生しやすいというデメリットも看過できません。
一方、もともとは玄昌石を薄い板状に加工していたものを指していましたが、現在はセメントと繊維を原料としたものが一般的となっているスレート系は、軽量でコストも安く、施工が容易なことが利点。地震などによる揺れにも強いことから、日本の戸建て住宅において圧倒的なシェアを誇っています。
もっとも、薄くて割れやすいので、強風による飛来物やヒョウなどによって割れてしまう恐れがありますし、風雨や紫外線によって経年劣化が進み、雨漏りの原因となってしまう可能性も考えられます。
「ガルバリウム鋼板の屋根材は防水性に優れ、軽量で耐震性にも優れています」と江原さん。
金属系で現在の主流となっているのがガルバリウム鋼板です。亜鉛・アルミ合金メッキ鋼板で、加工が容易で複雑な形状の屋根にも対応できるそうです。
「ガルバリウム鋼板は錆びにくく、従来の金属系屋根材よりも耐久性が向上していますし、耐熱性に優れて、軽量で耐震性にも優れています」
さらに最近では、ガルバリウム鋼板の表面に石粒をコーティングし、後の塗装が不要になる石付鋼板屋根というものも登場しています。ただ、断熱・防音性はさほど高くないため、それらを向上させるためには断熱材や防音材の使用が求められます。
残るアスファルトシングルとは、ガラスファイバーの芯材にアスファルトを浸透させたうえで表面に石粒を接着させた屋根材です。デザイン性が高くて割れやサビに強く、軽くて耐震性にも優れているのがメリットですが、強風などで剥がれやすく、雨露や気温などで劣化しやすいというデメリットも存在しています。
わが家に用いられている屋根材の長所・短所を把握しておけば、点検時に重点を置いてチェックすべきポイントも明確になってくるでしょう。
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