「捨ててはいけないもの」の見極め方[第3回]

捨てる前に確認! 捨ててはいけないものリスト

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悩んでしまう人に伝えたい、捨てる“基準”の作り方

 整理収納アドバイザーの立場から見て、「ものを持つ理由には大きく分けて、『過去の不安』と『未来の不安』の二つがあります」と清水さん。

「将来何かあったときに使うかもしれないという気持ち、過去に捨てたことで不安になったことがある気持ち。そういった“不安”からものを捨てられない方が多いです」

 その場合、無理のない「基準」を設けることが大事だと続けます。

「悩んでしまうのは基準がないからなんですよね。人によって2年なのか3年なのか、期間は変わりますが、『何年使わなかったら捨てる』という基準を自分で持つと整理がしやすくなると思います。

 特に思い出のものに多い印象がありますが、時間の経過とともに必要かどうかの判断ができるようになってくるものもあります。どうしても決められない時は無理をせずに一旦保留にしましょう」

 捨てるという行為が心にブレーキをかけてしまう人には、「捨てる」ではなく、「人に譲る」「売る」といった方向を提示すると気持ちが変わる人も多いそう。「捨てる」に縛られずに自分の基準でものと向き合い、“今”を大切にしてほしいと清水さんは語ります。

「ものは必ず劣化します。みなさんが捨てられないものにタッパーなどの保存容器があるのですが、大切に閉まっておいても3年ぐらい経つと結構黄ばんでいたりします。劣化すると念頭において、今を大切に、ものは良い状態のうちに使ってほしいです」

捨ててはいけないものチェックリスト

 改めて、捨ててはいけないもののリストと、捨てる前に確認したいポイントを紹介します。第1回、第2回でも紹介しましたが、基本的に再取得できないもの、できても時間と労力がかかるもの、二度と手に入らないものが挙げられます。

【捨ててはいけないものリスト】
・日常生活で使っているもの (適正量を決めて必要なストック数の中で回す)
・重要書類、契約書、証明書類 (再発行できない、再発行に時間がかかる書類。記載されている保存期間を要確認)
・身分証明書、マイナンバーカード、年金手帳、パスポート類 (再発行に時間がかかるため、必要なときにすぐ携帯できるように)
・非常時に必要なもの (防災リュック、非常時のストック品、常備薬、必需品。中身や期限を要確認)
・希少性の高いもの (アンティーク、コレクション、二度と手に入らないもの)
・思い出の写真や品物、手紙 (スキャンしてデータ化できるものは思い切ってデータ化も)
・人から借りているもの、家族のもの、自分以外の所有物 (勝手に捨てるとトラブルのもとに)

 最後に、片付けが苦手でどこから手を付けたらいいのか分からない人に、清水さんからアドバイスをいただきました。

「まずは賞味期限・消費期限が書いてある食品ストックから手をつけ、判断基準ができあがってから書類に手を付けましょう。どうしても苦手な人にはトレーニングとして、子どもには筆箱、大人には財布の整理をしてくださいと伝えています。そこで完結するため手を付けやすいので、苦手な方はぜひそこから挑戦してみてください」

《お話をうかがった方》

清水幸子さん

家庭と企業の整理収納アドバイザー
整理収納アドバイザー1級、ファイリングデザイナー1級。史上最年少整理収納アドバイザーである清水麻帆さんの母。元銀行員の経験を活かした住まいとオフィスの整理収納を提案。著書に、娘の麻帆さんとの共著「片づけの教科書」、「子どもと楽しく学ぶ 片づけを楽しむ、好きになる。」など。

文◎藤本あき
画像提供◎shutterstock

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