「捨ててはいけないもの」の見極め方[第1回]

捨ててはいけない「書類」の見極め方

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書類、契約書、資料類の見極め方

 捨てていいのかわからない、いつか必要になるかもしれない……そういった理由で捨てられずにかさばり続けるのが書類や資料などの“紙もの”ではないでしょうか。

 片付けをするうえでも、「必要なもの・必要でないもの」の見極めが難しい紙ものですが、捨ててはいけない理由、保管しておくべき期間、見合った整理収納方法を知ることで、的確な取捨選択が可能になります。

 元銀行員という経験を活かし、企業と家庭の整理収納アドバイザーとして活動する清水幸子さんは、「書類は、必要なときに見返すために取っておくもの。基本的に再発行できるものが多く、“全捨て”でも大丈夫ですが、再発行にお金も時間もかかるため、なるべくなら捨てないほうがいいものがあります」と説明します。

 では、捨てないほうがいい書類とは具体的にどのようなものなのでしょうか?

「不動産や銀行関係の契約書類、保険証券、年金証書といった、要は契約に関する原本は手元に置いておいたほうがいいです。再発行できるものもありますが、いざ必要となったときに時間と労力とお金がかかりますし、確認したいタイミングで手元にないと不利益につながりかねません」

捨てても大丈夫? 再発行にかかる手間を考える

 捨てる・捨てないの見極めは、「再発行できて、さほど手間とお金がかからない」がひとつのポイントになります。

「税金関係の書類は、7年間は保存しておくようにしましょう。中には保存期間が5年と記されている書類もありますが、7年間保存しておくと安心です。

 住民票の写し、印鑑登録証明書、各種税証明書などはマイナンバーカードがあればコンビニでも発行できますが、不動産や銀行関係、保険証書、年金証書などは再発行に時間と費用がかかるため、保管期間内はなるべく手元に残すことをおすすめします」

【主な保存期間の目安】
 ・税金関連の書類(個人事業者は5年間または7年間、法人は10年間)
 ・年金、保険証券(10年から永久保存)
 ・給与明細(5年間、※未払いの給与や残業代は5年前まで遡り請求可なため)
 ・保証書(保証期間内)
 ※書類ごとに要確認

 その他、迷いがちな「銀行の通帳」については、過去の明細は銀行でも確認可能ですが、とても時間がかかるため、確定申告で必要な場合は基本的に7年保存を推奨。「確定申告の書類」は個人事業主の場合、青色申告は7年、白色申告は5年保存となります。

 逆に、「ねんきん定期便」のように、定期的に新しい書類が送られてくるものは、送られてきたら前のものを処分して入れ替えていく“回していく仕組み”作りをすることで、ものが溜まりにくくなると清水さんは語ります。

「クレジットカードや携帯電話の明細などもデータで確認できるものはペーパーレスにするだけで、だいぶ紙ものが減ります。それでも紙で届いてしまうものに関しては、スマホでスキャンをしてデータ化した後にシュレッダーにかけて処分するようにしています」

 また、清水さんはもらった名刺もデータ化しているそう。スマホをフル活用し、家電類の説明書を一括で管理できるアプリを使用して、かさばる説明書を“全捨て”していると教えてくれました。

 捨ててしまえるもの、保管したほうがいいもの、入れ替えていくもの。それぞれ見極めることで書類のスリム化が可能になります。

短期、中期、長期……書類の保管方法

 書類には、その場で解決(提出)できるもの、短期・中期的に保管するもの、長期的に保管が必要なものがあり、その段階によって保管方法も変わってくるそう。

「子どもの学校関連や町内会の書類など、その場で提出できるものはその場で書いて出してしまいましょう。1ヵ月から3ヵ月ほどの短期的、中期的に使用する書類の場合は、届いたらまずはクリップボードに閉じて、キッチンや玄関などのよく目につくところに置いておくといいですね」

わかりやすい名前を付けた仕切りを入れて整理されたファイリング。(画像:清水幸子さん提供)

 そして、ほとんど見返さない契約書類、要は持っておくことが主になっているものはファイリングして保管するのがおすすめとのこと。清水さんはファイリングしてラベルを貼った仕切りを入れたボックスにまとめていると教えてくれました。

 新年度は書類整理の絶好のタイミングです。かさばっていた書類をすっきりさせて、気持ち良い新年度を迎える準備をしてみてはいかがでしょうか。

 次回は、捨てるもの、捨てたら後悔するもの……その境界線を紹介します。

《お話をうかがった方》

清水幸子さん

家庭と企業の整理収納アドバイザー
整理収納アドバイザー1級、ファイリングデザイナー1級。史上最年少整理収納アドバイザーである清水麻帆さんの母。元銀行員の経験を活かした住まいとオフィスの整理収納を提案。著書に、娘の麻帆さんとの共著「片づけの教科書」、「子どもと楽しく学ぶ 片づけを楽しむ、好きになる。」など。

文◎藤本あき
画像提供◎shutterstock

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