「捨ててはいけないもの」の見極め方[第2回]

捨てるもの、捨てたら後悔するものの“境界線”を知る

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捨てないほうがいい、捨てると後悔する“二大基準”

 ものを捨てる基準は人それぞれですが、「将来の使いみちがはっきり分かっている、捨てたらもう戻ってこない」ものは捨てないほうがいい、“二大基準”だと清水さんは説明します。

「すぐに使わないけれど使いみちが分かっているもの、例えば非常時用の防災用品が当てはまります。加えて、手紙や遺品といった思い出の品、アンティークなどの希少性があるもの。手放して後から買い戻せないものは捨てないほうがいいですね」

 思い出の品の中でもかさばる手紙や、お子さんの描いた絵等はスマホで撮影してデータ化することがおすすめ。清水さんは、お子さんからもらった手紙はすべて撮影してアルバム化し、データで保存しているとのこと。

 また、手紙類でも年賀状については、「住所録だと思って、最新の1枚を取っておけば安心です。写真が印刷されているものに関しては、思い出的な要素もあるのでデータ化しても良いし、実物を取っておいても良いと思います」と、清水さん。

 思い入れの強いもの、希少性の高いものは捨てると後悔が残ることも多いそうで、悩んでいる人には必要なものを選んだ結果、不必要なものを手放せると伝えたうえで、無理をしてまで手放さないことを推奨しているそう。

「いる・いらないを分けることも大事ですが、その先の使用頻度、使用場所、使用時期で分けることも大事です。整理収納アドバイザーとしての経験上、買い直しができるものは“勉強代”だとお伝えすると手放せる人が多いですね。

 整理ができていないと同じものを何度も買いがちなので、しっかりと整理をして適正量を知ることも大切です。適正量を決めたら、一個入れたら一個出すようにして、そこに入る分だけしか持たないと決めます。そうやって生活必需品も必要なストック数を決めていきます」

生活に必要なもの、緊急時に必要なものの管理方法

 いるもの・いらないものを整理したら次は保管方法。生活用品等のよく使うものに関しては「身近に」が大前提です。使用頻度が低いものは取り出しにくいところでも大丈夫ですが、緊急時に必要な避難関連グッズについては段階によって保管場所が異なります。

「一時持ち出し品」と呼ばれる防災リュックは、非常時にさっと持って逃げるために、玄関の近くや寝室の近く等のすぐ取り出せるところに置いておきましょう。

 避難が少し落ち着いてから必要になる食材や水、防寒具などの「二次持ち出し品」、避難生活が長くなったときにあると便利な「三次持ち出し品」と呼ばれる中でもエアベッド、テントなどの大きいものは、キャンプ用品と一緒にしてクローゼットの奥のほうに閉まっておいても良いでしょう」

 防災用品も度々見直して入れ替えが必要です。「子どものいる家庭と高齢の方がいる家庭では、必要な防災用品に違いが出てくるので、年齢に合わせた見直しが必要になります。非常用の薬も期限を確認して、期限が切れているものは入れ替えておきましょう」

それでも悩んだら……
「1年後の日付を書いた箱」

 どうしても捨てることを即決できない、悩んでしまった場合に清水さんがおすすめしているのは「1年後の日付を書いた箱」に取りあえず入れて保管する方法。

 日付を書いた箱を用意し、捨てるか悩んでいるものを入れてクローゼットの上や天袋の上の見えるところに置きます。そして、1年後まで箱の中身を見なかったら「もういらないもの」、として捨ててしまいます。期限を設けることで「基準」が作られるので、悩みやすい人に向いている方法だそう。

 コレクション系のものも、悩むのなら無理に捨てずに「コレクション箱」を作り、その箱に入る分を適正量と決めて、入れ替えたり捨てたりして箱の中で回して完結させていくと、ものがそれ以上増えなくなるのでおすすめとのことです。

 次回は、捨てる前に確認したいポイント、捨ててはいけないチェックリストを紹介します。

《お話をうかがった方》

清水幸子さん

家庭と企業の整理収納アドバイザー
整理収納アドバイザー1級、ファイリングデザイナー1級。史上最年少整理収納アドバイザーである清水麻帆さんの母。元銀行員の経験を活かした住まいとオフィスの整理収納を提案。著書に、娘の麻帆さんとの共著「片づけの教科書」、「子どもと楽しく学ぶ 片づけを楽しむ、好きになる。」など。

文◎藤本あき
画像提供◎shutterstock

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