
生活していく中でどうしても出てしまうごみは、捨てる際にも手間がかかりストレスもかかります。家庭ごみを減らすことは、環境への負荷を軽減させるだけでなく、快適な生活空間を保ち、省エネ・節約にもつながることに。実際に家庭でのごみを減らす工夫や習慣について、節約アドバイザーの和田由貴さんに伺いました。

家庭ごみの総排出量は年間4,095万トン(東京ドーム約110杯分)、これは1人1日当たり890グラムを排出している計算になります。(※令和3年度 環境省調べ)
ごみを“極力”出さないようにするためにはどうすればいいのでしょうか?環境省から委嘱された「3R推進マイスター」の資格も持つ消費生活アドバイザーの和田由貴さんは、「ポイントは3つのRにあります」と語ります。
「3R」とは、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の、基本となるエコアクションの頭文字をとったもの。
・リデュース:ごみの発生抑制、資源の消費を減らす
・リユース:使えるものは繰り返し使う
・リサイクル:廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用、再資源化する
その中でも、家庭のごみ問題で一番重要なのは、「リデュース」の意識を持つことだといいます。
「家の中に何かを持ち込めば、それはいつか必ずごみになります。必要ないものは“選ばない、買わない、もらわない”ことは当然として、ごみがより多く発生しなそうなものを選ぶということが大切です」
例えば、お菓子を購入する際に、袋にむき出しでバラバラに入っているものと、袋の中にトレイがあり、さらに個包装されて入っているものとでは、出るごみの量がまったく異なります。なるべく過剰な包装容器でないものを選ぶ意識が、ごみを減らす行動に繋がっていくとのこと。

エコや省エネといった視点からも普及したLED電球。「長く使える良いものを選ぶ」という習慣を身につけるうえでも、和田さんは白熱電球からLED電球に替えることを推奨しています。
「白熱電球に比べてLED電球は40倍くらい長持ちします。ということは、LED電球を1つ使っている間に白熱電球を40個分使っているという計算になります。そうやって選ぶ段階で、ごみになりにくいほうを選ぶという習慣を身につけることが重要です」
最近は、なるべく環境負荷の低い商品を選ぶ「エシカル消費」という言葉も多く聞かれるようになりました。ごみが少なくなるということだけでなく、環境負荷も考えた商品選択ということもスタンダードになってきています。
「電球以外でも、冷蔵庫、エアコン、などの家電も最新型を選ぶことによって消費電力が抑えられて省エネになり、結果として環境負荷も減ります。
家電リサイクル法によって廃棄された後も8割から9割の部品が再利用されているので、ごみとして捨てたからといってごみになっているわけではありません。古い家電を使い続けるよりも環境負荷がずっと少ないしごみも少なくなります。長い目で見た選択をしましょう」
その意識を持ったうえで、次に重要なのが“リユース”。「捨てる」以外の選択肢を知ることにつながります。
「家の中でも中身を詰め替えられるボトルを使用する。繰り返し使えるものはリサイクルショップに持って行ったり、ネットやアプリを利用してフリマに出したり、必要としている人に譲ったり。色々な“捨てる”以外の選択肢を知ることで“ごみ”ではなくなります」

そういった意識から生まれた行動が、結果として世の中を動かしていくことになると和田さんは語ります。
「同じ商品でも過剰包装のものを選んでいたらメーカーは“売れる”ものを売り続けます。でも消費者の多くがそうでないものを選び続けたら、メーカーも過剰包装ではないものを売るようになります」
最近ではそういう需要も広がり、スーパーの肉売り場でもプラスチックトレイではなく、袋に入った簡易包装のものを目にするようになってきました。簡易包装のものを選ぶことで、トレイを洗って分別をして捨てる手間も省けます。
「身近なエコアクションとして浸透したマイバッグやマイボトルを持つことに加えて、買うときの意識を変えるということが大切です。そうした意識の変化は行動になり、ゴミを減らすだけでなく世の中全体を変えていく流れにもなります」
ごみを出さない、ごみにしない。意識を変えた選択をすることによって、家庭のごみは少なくなるだけでなく、リサイクルにもつながって世の中を良い方向に循環させていくのではないでしょうか。
次回は、仕組みを考えることでごみ捨てや分別の手間を減らす方法。「ごみをコンパクトにするコツ」を紹介します。
消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。また、環境カウンセラーや省エネ・脱炭素エキスパートでもあり、2007年には環境大臣より「容器包装廃棄物排出抑制推進員(3R 推進マイスター)」に委嘱されるなど、環境問題にも精通する。私生活では2人の子を持つ母で現役の節約主婦でもあり、日常生活に密着したアドバイスを得意とする。
文◎藤本あき
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