災害への備え「新常識」[第2回]

インフラが止まった! どうする!?

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「トイレ問題」は最重要!

 災害時にインフラが供給停止した場合、復旧に最も時間がかかるのは水道です。電気ほぼ全戸の停電が解消するまでにおよそ3~5日、ガスは停止してしまってもカセットコンロがあればなんとかしのげます。

 しかし、水道は水源が破壊されてしまうと、ひと月以上も断水が続くことがあります。大規模な断水が起きると自治体などから給水車が派遣されるので、飲み水はそれでなんとかなるとしても、問題になるのはトイレ。水が流せないと、家のトイレが使用できなくなるのです。家のトイレが使えなければ避難所に行けばいいと考える人もいるでしょうが、内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」によると、2011年の東日本大震災では3日以内に仮設トイレが設置された自治体はわずか34%だそうです。トイレも最低3日分は自分で用意しておくのが大事だとわかりますね。

 そこで備えておきたいのが、「簡易(非常用)トイレ」です。簡易トイレには「携帯式」「組み立て式」「便器設置式」の3種類があります。携帯式はコンパクトサイズで持ち運びがラク。キャンプなどのアウトドアでも活躍します。組み立て式は段ボールなどで便器を組み立てるもの。便器設置式は、自宅や避難所の便器に袋をかぶせて使用するものです。いずれも排せつ用の防水袋と凝固剤がセットになっています。組み立て式は収納に場所を取るため、在宅避難用としては、便器設置式がお勧めです。避難所に移ったり車中避難したりする可能性もあれば、携帯式も用意しておくといいでしょう。

かなり役立つ「クーラーボックス」

 在宅避難には、キャンプや釣り用のクーラーボックスがあるととても重宝します。停電が続いて冷蔵庫が使えなくなると、中のものが傷んでしまいますが、そんなときにクーラーボックスがあれば、冷凍庫の氷や冷凍食品と一緒に傷みやすい食材を入れておけるので、1~2日は鮮度を維持できます。

 クーラーボックスはサイズや保冷性能によって値段もさまざまです。キャンプ用のものは比較的保冷力が弱く、氷を入れても1日半くらいで溶けてしまうものが大半です。それと比較すると釣り用のものは保冷力が高く、中には6面全部に真空断熱パネルが使われており、氷を入れると数日間は溶けきらないほどの性能を誇るものもあります。容量が25~30Lくらいのものを選ぶと、2~3日分の肉や魚などを冷たいまま保存できるでしょう。値段は5万円ほどと高価ですが、3日間の在宅避難を想定するならば、こういったタイプを用意しておくのがいいのではないでしょうか。

「ポタ電」でスマホの充電も安心

 在宅避難時に、最大の情報源になるのはスマホでしょう。しかし、停電が続けば、スマホは充電ができず1日ほどで使えなくなってしまいます。

 スマホの充電にお勧めなのが、最近キャンプなどでも人気のポータブル電源、通称「ポタ電」。内部にバッテリーを搭載しており、住宅内の100Vコンセントなどから充電できます。ポタ電には100Vで出力するコンセントがついています。最近の機種ではUSBやアクセサリーソケットも付いているので、さまざまな電化製品に充電できます。また、だいたい別売りとなっていますが、太陽光パネルをセットすれば、天気の良いときに充電することもできます。

 ポタ電を選ぶときのポイントは、「バッテリー容量」と「定格出力」です。

 バッテリー容量とはフル充電からバッテリー切れになるまでの電気量のことで、1時間に使える消費電力「Wh(ワットアワー)」で示されます。500Whなら単純計算で消費電力100Wの家電が5時間使える計算です。実際にはそれよりやや短くなりますが、500Whでもスマホを数十回フル充電できます。

 もっと大容量のポタ電なら、さらに使い勝手は良くなります。キャンプなどで使うランタンのようなLED照明や、夏ならポータブル扇風機、さらには最近人気のあるクーラーボックススタイルの冷蔵庫などの電力もまかなえます。ガスが生きていれば、ガスファンヒーターなどの電源供給にも使えます。

 もう一つのポイント、定格出力とは、ポタ電が安定して出力できる電力量のことです。定格出力が1000Wならば、同時に消費電力合計1000Wまでの家電を一度に使えます。1500Wなら電気ケトルや電子レンジなども使えます。製品によっては一定時間だけならさらに高出力が可能なものもあります。

 ポタ電の購入を検討する際は、まず在宅避難時にどの電化製品をどのくらいの時間使うかを想像して、必要なバッテリー容量と定格出力を考えてみましょう。

必要最低限のアイテムを収めた防災セット「MINIMAID(ミニメイド)」

バッテリー、充電台、ACアダプター、USBケーブルを収めたセット。4つのパーツに分解でき、避難時に必要な光(ランタン)、眼鏡や常備薬(ケース)、情報(ラジオ)、防寒(ポンチョ)などを収めることもできる。
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 次回は、「災害に強い家」についてお送りします。

いざというときのため!防災用品

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文◎坂井淳一
画像◎Shutterstock

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