災害への備え「新常識」[第1回]

食料は普段のストック品でOK

空間
その他
関心
防災

インフラ復旧までの時間はどのくらい?

 近年、台風や大雨の予報精度が上がり、危険な地域には比較的早く避難勧告が出て、自治体もそれに対応して避難所を早めに設けるようになってきました。

 しかし、台風や大雨、地震などの災害が起きたときに、電気、ガス、水道などのインフラがダメージを受けることは少なくありません。一般的に、災害時のインフラ復旧にはどのくらいの時間がかかるのでしょうか。

 資源エネルギー庁のデータによると、台風による停電からの復旧(停電件数がピーク時と比較して99%解消)にかかった時間は、大被害を出した2019年の台風15号でおよそ12日、約240万戸が停電した2018年の台風21号でもおよそ5日となっています。

 甚大な被害を出した東日本大震災では、東京電力エリアでは地震による停電発生から7日後に復旧、東北電力エリアでも8日以内に94%の地域で復旧しています。

 都市ガスは、導管のほとんどが地中に埋められているため台風や豪雨に強く、ほかのインフラに比べてガスの支障件数が非常に少なくなっています。プロパンガスも洪水などでボンベが流されるようなことがなければ、災害が落ち着けばすぐに使えることが多いです。また、いずれも大きな地震を感知したときは二次被害を防ぐためガスの供給が緊急停止するようになっているため、地震には強いといえます。ただし、復旧には点検作業のために人手が必要となるため、2週間ほどかかる場合もあります。また、電源が必要なガス器具を使っている場合は、電力の復旧まで待たなければなりません。

 他のインフラに比べ、復旧に時間がかかるのは水道です。水源地が被害に遭うと、給水再開までに長いときは数カ月も要することがあります。しかし、そうした場合でも、数日で自治体や派遣要請を受けた自衛隊が給水車を出動させたり、仮設の共同浴場を作ったりすることはよく報道されています。

食料の備蓄は最低「3日分」

 では、災害に備えて、家庭ではどんなものをどのくらい用意したらいいのでしょう?

 首相官邸のWebサイトでは、食料などの備蓄は「3日分を目安に」と呼びかけています。

「3日分」とは、過去に大地震が発生した後、国から食料などの配給が届くまでの日数が約3日だったためです。また、「3日」すなわち「72時間」は、人間が飲まず食わずで生存できる限界の時間で、人命救助のタイムリミットといわれています。そのため災害発生から72時間は救助活動が最優先され、ライフラインの復旧や食料供給などはその後となることから、3日分を自分たちで備えておくよう呼びかけられているのです。

 ただし、大規模災害発生時には交通網の復旧などにも時間がかかるため、「1週間分」の備蓄が望ましいとされています。ですから、最低でも3日分、できれば1週間分を備えておくようにしましょう。

非常食がなくても大丈夫!

 災害時の食料というと頭に浮かぶのが乾パンなどの非常食ではないでしょうか。最近ではサバイバルフードとも呼ばれる、長期保存できる食品もいろいろ売られています。しかし、「最低3日分」であれば、そういった非常食でなくとも、普段の食品を3日分以上ストックしておくだけで大丈夫です。

 多くのご家庭では、インスタントラーメンやパスタなどの乾麺はだいたいストックしてあるのではないでしょうか。室温で保存できる野菜や、普段使いの調味料もお米もあるでしょう。さらにレトルトや缶詰があれば、調理のバリエーションも広がります。非常食などをわざわざ買わなくとも、こうした日ごろから利用している食品を家族の人数×必要日数分ストックしておいて、それを普段も食べながら、なくなったものを補充していけばいいのです。

 このように、在宅避難に備えて特別な準備をしなくとも、日ごろから利用しているものを少し多めに備えておいて、常に最小限備えるべき品目・量を保ちながら、多めに備えているものを日常の中で消費していく方法を「ローリングストック」といいます。

熱源と水を確保しておこう

 食料だけでなく、調理する際に使う熱源と水も必ず確保しておきましょう。

 熱源は、カセットコンロがお勧めです。カセットボンベ1本で、強火でも1時間ほど持続します。収納に余裕があるならば、コンロを2台用意しておくのがお勧め。収納スペースに余裕がなければ、コンロは1台をキャンプ用のコンパクトストーブ(たたんで小さくしまえるコンロ)にする手もあります。いまは専用のボンベではなく、一般的なカセットボンベを使えるものが数千円で買えます。カセットボンベは、調理をする時間によりますが、1日3回の調理で合計1時間ほど使うとすれば、1日1本。3日分であれば3本用意しておくといい計算になります。

 加えて大切なのが水です。飲用水+調理用水として、1人あたり1日3Lの備蓄が推奨されています。水も食料と同じようにローリングストックするといいでしょう。わざわざ長期保存水を購入する必要はありません。ウォーターサーバ-があるご家庭も増えていますが、停電中はサーバー本体が使えないタイプもありますので、注意が必要です。

 次回は、在宅避難するときに役立つグッズをご紹介します。

保存食として使いやすい「ヘルシーセット」

LIXILオンラインショップでは、朝・昼・夜の、1日の食事が1箱に入った、イザというときの保存食を、各種取り揃えています。
www.care-goods.lixil-online.com/emergency-goods/21-10-SG-0033/

「ヘルシーセット」

いざというときのため!防災用品

www.care-goods.lixil-online.com/emergency-goods/


文◎坂井淳一
画像◎Shutterstock

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)