しまう場所に入る量だけ残す!
(写真提供:井田典子)
前回、井田さんに教えていただいた「だ・わ・へ・し」の4ステップから、今回は「し(しまう)」を学んでいきましょう。
井田さんは物をしまう前に、まず収納スペースの大枠を決めるそうです。そして「だ(出す)」「わ(分ける)」「へ(減らす)」の3ステップで、そこに入る量だけを残すようにすると言います。
「一番わかりやすい例は、玄関の靴箱です。靴箱は入る靴の数が決まっていますよね。でも多くのご家庭では、靴箱に入りきらずにクローゼットなどにもしまっているのではないでしょうか。
靴を全部出して並べてみれば、その中でもう履かないものが見えてきます。それを分けて、靴箱の中に入るだけの靴に数を絞れば無駄がなくなります。1足新しい靴を買うなら、古い靴を1足処分する。そうすると靴が増えることもありません。
一番やってはいけないのは、靴が入らないからと新しく入れ物を用意することです。たくさんの靴が入るようになって一安心、と思うかもしれませんが、あっという間に新しい靴箱も埋まってまた溢れてしまいます」
せっかく物を減らしても、すぐに元の状態にリバウンドしては意味がありません。物を増やさないためには、最初に大枠を決めておくことが大事なのです。
「あれはどこにしまった!?」をなくす法
(写真提供:井田典子)
さて、しまう場所に入りきるだけの物を選んだら、どう収納するかを考えていきましょう。井田さんは、同じジャンルの物をまとめて、ワンアクションで手に取れる形で収納することを勧めています。
「『あれをどこにしまったっけ?』とあちこち探すのはストレスですよね。ですから、必要になったときすぐに取り出せるしまい方をするのが大切なんです。例えば書類をあちこちに分散して収納しているご家庭は少なくないと思います。私は、普段いる時間が長いキッチンの食器棚の下段に、書類をすべて集約しています。
それを分野別に分けてクリアファイルに入れ、何が入っているか書いたタグを付けておきます。同じ引き出しに印鑑も一緒に入れています。すべての書類と印鑑はここにしまっていると分かっているので、必要になったときに『どこにしまったっけ?』と考えることがありません。一番大切なのは、しまってある場所をすぐに思い出せて、ワンアクションで手に取れるようにすることです」
生活をする上で、何らかの書類に記入したり、印鑑を押したりすることは多いものです。井田さんはそういった作業を、1日の中で最もいる時間が長いキッチンで行っているので、書類も印鑑も食器棚にしまっているのだとか。作業をするときに必要な物がさっと取り出せる場所にあれば、とても効率がいいですね。
さらに、書類のようにこまごまとして量も多いものは、ただ同じ引き出しに入れておくだけではなく、分野別にしてタグ付けをしておけば、どこにあるか一目で分かるようになります。
井田さんは筆記具も書類や印鑑と同じ引き出しにしまっているそうです。
「そうすれば、書類を書くときに『ボールペンがない!』『印鑑がない!』と慌てることがなくなりますし、余分な物を買わずに済みますよ」
物を整理することは、お財布のスリム化にもつながるようです。
表に出しておくのは「よく使う物」だけ
しかし、調理器具など、一箇所にまとめることが難しいものはどう整理したらいいのでしょうか。
「キッチンツールなどはいつの間にか増えていきますよね。キッチンの壁にずらりと並べてぶら下げている家をよく見ますが、あれは必要な道具がすぐに取れるようで、いざとなるとどこにあるか分からないんです」
井田さんが勧めるのは、よく使う物とたまにしか使わない物を分けること。そして、よく使う最低限の物だけを表に出しておくことです。
「菜箸やレードルなど、調理に必ず使うツールを厳選して、ひとまとめにして表に出しておくと使い勝手が良くなります。
それ以外の物、例えば茶こしとか、肉叩きとか、計量カップとか、たまにしか使わないものは100円ショップで買ったカゴなどに入れて、シンク下や吊戸棚にまとめておくといいでしょう。
まとめておけばどこにしまったか覚えておきやすくなりますし、しまってある場所さえ分かっていれば、扉を開けてワンアクションでカゴを取り出すことができます。カゴの中を仕切りなどを使って整理しておけば、使いたいツールをもっと楽に取り出せますよ」
たまにしか使わない物でも、まとめてしまっておく場所を決めておけば、必要なときにあちこち探す必要がなくなり、ストレスもなくなりますね。
次回は、場所別の整理・収納のポイントを伺います。
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