中古購入でリフォームするときは?
ここまで見てきたように、一言で「リフォーム費用」といってもピンキリ。部分リフォームなら10万円以下で済みますが、フルリフォームなら数千万円規模になります。
おおまかな予算感をつかんだところで、では実際にいくらまでなら払えるのかを考えなければなりません。
「部分リフォームなら、ある程度は貯金を切り崩して行えることも多いのですが、何か所もリフォームしたり、フルリフォームをしたりとなると、現金で支払えるものではありません。資金繰りはリフォームの重要なファクターです」と、吉井は話します。
「もしも中古の戸建て物件を購入し、それをリフォームして住むというなら、購入時のローンにリフォーム費用を組み込む手があります。これならば、金利が比較的安いローンを利用しやすくなります」
中古物件を購入するだけのローンの場合、物件の担保評価額が新築よりは低くなるため、希望の金額を借りられないこともあります。しかし、リフォームを前提にする場合、リフォーム一体型ローンを利用することができます。
「こうした住宅ローンは他のローンに比べて金利が低く、返済期間も最長35年と長いため返済しやすいですね」
ただし、抵当権の設定などで、諸経費が割高になることもあります。
持ち家をリフォームするときは?
すでに持っている住宅のリフォームでローンを組む場合、住宅ローンを利用できるケースもありますが、多くの場合は無担保の「リフォームローン」になります。
金利はローンの商品によりますが、2%~5%と住宅ローンより割高になります。返済期間は10年~35年と、一般的な住宅ローンと同様に設定ができますが、借り入れする方の年収や負債・資産状況などで審査されます。
「前回、リフォームをする家に何年住むのか考えることが重要だと申し上げましたが、ローンを組む際にもその点をきちんと考えておくべきでしょう」
住宅ローンにするか、リフォーム用のローンにするかは、金利や毎月の返済額、手数料などを比較し、じっくり考えましょう。もちろん自己資金がある程度あるのなら、それを資産運用するのか、リノベ資金にあてるのかなども考えて決定すると良いでしょう。
最初に「予算の上限」を決める
吉井は、リフォームのプランを練る段階で、いくらまでなら払えるかを明確にしておくべきだと話します。
「あれを直したい、これも交換したいと、項目を挙げて積み重ねていくと、思いのほか予算は跳ね上がります。そこで、出せる金額の上限と、『それよりも安く、これくらいに収められるといい』という金額を設定しておくことが重要です。
プランニング段階で、見積もりが予算を大幅に越えているのなら、どこかを削らなくてはなりません。リフォーム箇所を減らすのか、設備のグレードを下げるのかなど、いくつかの手段が考えられます。私たちリフォーム会社は、お施主さまの予算の範囲内で最善のリフォームができるよう努力します。上限を決めておくことで、リフォームはきっとうまく行くと思いますよ」
補助金は最大限活用を!
政府がカーボンニュートラルを推進するなど、省エネへの関心が高まっている現在、リフォームにさまざまな補助金が用意されています。以下はその一部です(2023年6月現在)。
【主なリフォームに対する補助事業】
●こどもエコすまい支援事業 最大30万円(60万円)/戸
住宅に一定の省エネリフォーム等を行なう場合に国から補助金を交付
●既存住宅における断熱リフォーム支援事業 最大120万円/戸(戸建住宅)
住宅に高性能な断熱材や窓等を用いた断熱改修を行なう場合に国から補助金を交付
●次世代省エネ建材の実証支援事業 最大400万円/戸
外張り断熱、内張り断熱、窓断熱工法により、次世代の付加価値建材を用いたリフォームを行なう場合に国から補助金が交付
●住宅エコリフォーム推進事業 最大35万円/戸
省エネ改修によりZEHレベル性能とする場合に国から補助金を交付
●長期優良住宅化リフォーム補助金
「耐久性があり、地震に強く、省エネ性が高く、維持管理がしやすい」長期優良住宅化リフォームに対し国から補助金が交付
「これらのほかにも、地方自治体ごとに補助金を設けているケースがあります。もちろんすべての補助金を合算して受けられるわけでも、必ず満額受けられるわけでもありません。けれど、こうした補助金を活用することで、リフォーム資金がかなり助かるのは間違いありません。いまは省エネやCO2排出削減のためにかなりの予算が計上されています。こうした補助金に詳しい工務店を選択するのはいかがでしょうか」
物価も人件費も地価も高騰し、ますます住まいにかかる費用が高くなっていきます。補助金も潤沢に出ているいま、リフォームのいいチャンスといえるのではないでしょうか?
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