実は初夏に多い!ひょうから「身」も「家」も守る備え[第2回]

危険なひょうから身を守るための行動とは?

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屋外でひょうが降ってきたときの注意点

 屋外でひょうが降ってきた場合、まず必要な行動は建物の中に避難することです。

「やはり建物の中が一番安全です。また、事前に天気予報などをチェックして、『大気が不安定』で積乱雲が発生しやすいようなときは、まわりに避難するところが何もない自然の中などへ出かけるのは避けるようにしましょう。自然の中でも大きな木の下に隠れればひょう自体は防げると思いますが、ひょうが降るほどの積乱雲が発生しているときは雷も発生します。そのため、落雷の可能性がある木の下や塔、電柱の近くなどに行くとかえって危険が伴います」

 よく雷のときに木の下は危険だといわれますが、どれくらい離れたらよいでしょうか?

「高い木の近くほど危険ですから、幹やそこからのびる枝、葉から最低でも2m以上は離れるようにしてください。姿勢をなるべく低くして、持ち物がある場合は、体より低くなる位置にします。

 ひょうを降らせるような危険な積乱雲が近づいてくるときは、黒っぽい雲がもくもく大きくなってくるので、見ていてもわかると思います。急に冷たい風が吹いてきて、気温がグッと低くなることも多いです。早めに気配を察知して、建物に避難するようにしましょう」

 積乱雲が近づいてきたとき車の中に避難する人も多いですが、本当に大きいひょうが降ってきた場合はフロントガラスが割れてしまう可能性もあります。ほかに避難する場所がなければ仕方ないかもしれませんが、建物が一番安全ということは忘れないでおきましょう。また、大きな木と同じく、橋の下などに避難するのも危険が伴います。

「河原などで遊んでいて、ひょうが降ってきたからと橋の下に避難する人も多いです。でも実は、これはとても危険なのです。ひょうが降るようなときは、豪雨のために川の上流の水かさが増していることがあります。これが一気に濁流となって川下に流れてくるのです。実際にこうしたケースで人が流されてしまったという例も過去にあります」

「ひょうに当たらなければいい」「濡れなければいい」と考えるだけではなく、雷や突風、豪雨などの被害があることも総合的に考えて、安全な場所に避難することが大事です。

屋内でひょうが降ってきたときの注意点

 一方で建物に避難したときでも、ひょうによる危険はあります。

「一番多いのが、窓が割れてしまうことです。ひょうが降るようなときは激しい突風も吹くことが多いので、横殴りのひょうが窓ガラスに勢いよく当たるのです。シャッターや雨戸がついていないお宅も見受けられますが、やはり雨戸やシャッターはついていたほうが安全です。ワイヤー入りの窓ガラスなどもありますが、ガラスの飛び散りは防げても大きなひょうが当たった場合、割れるのは避けられないと思います」

 もしも窓ガラスにシャッターがない場合は、ひょうが降ってきているときは窓のそばに近づかない、カーテンやブラインドを閉めておくなどの注意が必要です。

ひょうが降ったら車にも被害が

 車もひょうの被害を受けることがあります。丈夫な屋根がある場所に駐車しておくのが一番ですが、屋根のない駐車場も多く、屋根があったとしても大きいひょうが屋根を突き破るなどで被害が避けられないこともあります。

「車は屋外に置いてあることが多いので、被害を完全になくすのはなかなか難しいと思います。ただ、被害を軽減するために手軽にできるのは、車のフロントガラスや屋根に毛布などをかけて衝撃が緩和する方法です。

 普段から車のトランクの中に毛布などを入れておくのも一つの方法だと思います。屋外でひょうにあって避難場所がなくて車で待機するときも、毛布が緩衝材となるのでフロントガラスなどが割れにくくなります。ただ、車を守ろうと屋外で作業しているうちに、自分の避難が遅れてしまうのは絶対に避けたいので、まずは自分の安全を優先しましょう」

 第3回は、ひょうの被害を防ぐための窓シャッター・雨戸についてご紹介します。

≪お話を伺った方≫

飯沼孝さん

気象予報士。気象防災アドバイザー。株式会社ウェザーニューズなどに20年間勤め、その後、フリーの気象予報士として独立。現在は、一般財団法人日本気象協会の予報技術者として従事し、その他、気象予報士試験講座の講師や個別指導、気象防災や気象環境のアドバイザーとして講演活動などを行っている。

文◎濱田麻美
写真◎Shutterstock、O-DAN

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