「ちょい足し」暖房で賢く暖をとるアイデア集[第2回]

体を温める「ちょい足し」アイテム3選

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室内でも「使い捨てカイロ」が活躍

 屋外での防寒グッズの代表といえば「使い捨てカイロ」ですが、消費経済ジャーナリスト松崎のり子さんは室内でも使うことをおすすめします。

「殺虫剤でおなじみのKINCHOですが、カイロも販売しており、HP上では、
https://www.kincho.co.jp/seihin/housewares/kairo/kairo_mechanism/index.html
全身を温めたり血行を良くしたりするツボに貼ると効果的だと紹介しています」

 まず「首」を温めると良いそうです。太い血管があるため、首を温めることで全身が効率よく温まります。首を前に曲げた時に、首と背中の間に骨が飛び出しているところがありますが、ここには全身を温めるツボがあるといいます。

 次は「背中」です。肩甲骨の間に沿って2枚並べて貼ります。筋肉を温めると同時に、このあたりにはいくつものツボがあり一石二鳥だとか。

 そして全身が冷えるときは、おへそより指2本分下にある「気海(きかい)」という「お腹」のツボを温めるのが効果的です。「腰」は冷えによる不調を感じやすい場所なので、おへその真裏あたりをカバーするようにカイロを貼ると、腰全体を温めることができるのだそうです。

 お試しいただく価値はあると思いますが、くれぐれも低温やけどに注意を。カイロを直接肌にあてたり、貼ったまま就寝したりするのはやめましょう。

「湯たんぽ」はコスパ抜群の万能アイテム

「お湯を入れて暖をとる昔ながらの湯たんぽを活用すれば、電気毛布を使わなくても温かく就寝できますし、椅子やソファーに座ってくつろぐときに、ヒーターの代わりに足元に置いてひざ掛けでもかければ、快適に過ごせます」(松崎さん)

 就寝時、足元には大きめの湯たんぽを、肩のあたりには小さめの湯たんぽを2つ置けば、暖房を切っても朝までぽかぽかです。翌朝、ぬるくなったお湯は食器洗い、髭剃りや洗顔に再利用できます。

「『お湯を使わない湯たんぽ』もおすすめです」とアドバイスするのは、モノ雑誌で家電製品などを紹介する編集ライターの中井さんです。

「従来の湯たんぽとは違い、電気の力で熱を発生させ蓄熱できる充電式の暖房器具で、お湯の入れ替えなどの手間がなく、充電するだけで温かくなる使い勝手のよさが魅力です」

 USBタイプもあるので、パソコンを使う頻度が高い方なら作業中にパソコンを電源に足元を温められます。また、コンセントタイプの蓄熱式はコードレスでも使用できるので、寝る前にコンセントにつないで布団内を温めておき、寝るときにコードレスで使うなど、状況に合わせた便利な使い方が可能です。ご年配の方なら省電力型の電気あんかといったほうがわかりやすいかもしれません。湯たんぽも進化しています。

「また、ステンレス製の湯たんぽならやかんからお湯を注いで入れる必要がなく、自宅キッチンのコンロやカセットボンベ式のコンロで沸かすことができて便利です。IHコンロ対応のものもあります。ストーブにのせておけば、暖を取りながら湯たんぽのお湯を直接沸かすことができるので、多少は燃料費の節約になります」(中井さん)

ひざ掛けより温かい「寝袋」

 リビングなどでくつろぐ際に、ひざ掛けをお使いの方は少なくないことでしょう。ただ、足元が冷えるときはひざ掛けでは少し心もとないかもしれません。そんなとき、松崎さんは「足入れクッション」がおすすめだといいます。

「見た目も可愛らしく、しっかりと温まるので実用的です。蓄熱式タイプもあり、お手軽な『ちょい足し』暖房といえます」(松崎さん)

 一方、モノ雑誌の編集ライター中井さんは、ひざ掛けと足入れクッションを一つにしたような無電力の暖房があるといいます。

「『寝袋』です。足だけでなく腰まですっぽり収まりますし、もともとアウトドア製品ですから温かさが違います」(中井さん)

 化学繊維のインナーから羽毛まで価格もさまざまですが、室内で使う分には安価なもので十分でしょう。ジッパー付きでひざ掛けのように使えるものもあります。キャンプには興味がないという方でも、万一の防災グッズとして使えるので、備えておいてもいいかもしれません。

「鍋」でお腹から体を温める

鍋でお腹から温めるのも一手。卓上コンロを使えば暖房効果もある。

 部屋を暖め、体もお腹も温めるなら「鍋」がおすすめです。人が集まる部屋を暖めれば、各自の部屋で暖房をつけっぱなしにするよりはるかに効率がいいものです。

「家族団らんが望ましいですね。夕飯は鍋物を多用するのはいかがでしょう。卓上ガスコンロを使えば、リビングの暖房温度を下げても十分暖かくなります。私は、チゲ鍋や辛味鍋を推奨してお腹からも温めています。追いコチュジャン、豆板醤などでさらに辛みを増したり、体を芯から温める効果があるとされる生姜をたっぷり使う料理もおすすめです」

 逆に、コーヒーは体を冷やすといわれるので、飲み物で体を温めるなら生姜湯やジンジャーティー、発酵系飲料などがよいそうです。また、お酒は飲んでいる最中や直後は温まりますが、アルコールを体内で分解する際に体が冷えるといわれています。鍋にお酒は左党にはたまりませんが、ほどほどにしたいものです。

 第3回は、暖房器具の適材適所を研究します。少しだけ工夫をすれば光熱費を抑えて快適に冬を過ごせる方法をご紹介します。

≪お話を伺った方≫

松崎のり子さん

消費経済ジャーナリスト。
生活情報誌の編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い癖にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。『3足1000円の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(いずれも講談社)などの著書がある。

中井隆さん

フリーライター&エディター。
商品情報誌の編集者を経て、生活、クルマ関連情報などを雑誌やウェブで発信。得意分野は家電をはじめ、デジタルカメラ、スマホ、パソコン、電子工作からドライブレコーダーなどクルマの電装関連にいたるまで、電気が流れているモノ全般。

文◎三星雅人
写真◎Shutterstock

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