「ちょい足し」暖房で賢く暖をとるアイデア集[第1回]

電気・ガス代高騰! 少しでも安く快適に過ごすには?

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エアコンは冬の暖房代のほうが高い

「電気やガス代だけでなく、さまざまな物資が高騰しています。光熱費はせめて『上昇分を節約する』ことを目標にしてみましょう」

 松崎さんは、主力の暖房器具を省エネ運転させつつ、ほかの暖房方法を併用する「ちょい足し」暖房を提案します。

 主力の暖房器具はエアコンというご家庭が多いのではないでしょうか。性能向上により、北国でもエアコンを主体に暖をとるご家庭が増えました。
 エアコンは外気温と室内温を熱交換する機器です。外気30度を室内25度に冷やすより、外気10度を25度に暖める方がはるかに電力を消費するため、冬は電気代が高くなります。

 建築方法により条件が変わるので一概には言えませんが、室内の温度を上げるには、エアコンより「火を焚く」暖房のほうが暖かくなりやすい傾向にあります。
 とはいえ、集合住宅では灯油やガスのストーブ、ファンヒーターなどが使えないこともあるでしょう。火を焚く暖房にしても、エアコン暖房にしても、まずは部屋全体の温度を控えめにすることが、光熱費を抑えるポイントになります。

光熱費の節約は「窓の断熱」から

 最低限の暖房で快適に過ごすには、断熱性や気密性に優れる高機能住宅が最も理想的です。しかし急に家を建て替えることはできないので、高機能住宅でない場合は、「窓の断熱」に着目しましょう。
 冬は暖められた熱の多くが窓から逃げていきます。そのため、日中窓から日差しを取り込み部屋を暖めたら、日が暮れてからはその熱を逃がさないようにすることがポイントです。

「高性能住宅ではない場合、確実かつコストパフォーンスよく家の断熱性能を高めるなら、窓を一枚ガラスから三重ガラスに変更することがおすすめです。
 リフォームせずに手軽にできる対策としては、100円ショップでも購入できる梱包材のぷちぷち(エアーキャップ)を窓に張ったり、アルミサッシの枠に発砲スチロールを貼り付けたりするだけでも、体感的にずいぶん変わるものです。また、カーテンを、厚手で床に届く長さのものにすることも効果的です」

内窓「インプラス」
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ご購入はこちら
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取替窓「リプラス」
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ラグや断熱シートで床からの冷えを対策

【2022年と2021年の一般家庭の平均的な光熱費の推移】

電気もガスも価格高騰。我慢することなく知恵を絞って、せめて昨年並みの燃料費で過ごしたい。

 室内の冷え込みは足元から。床の断熱にも気を配りたいものです。

「厚手のラグを敷くだけで、足元の冷えはだいぶ抑えられます。また最近では、蓄熱効果が期待できる肌触りの良いマットが生活雑貨店やホームセンターで売られていますし、小さなお子さんがいらっしゃる家庭でよく使われるウレタン製のジョイントマットなら、防音効果もあり、とくに集合住宅では効果を発揮することでしょう」

 床の暖房器具といえば電気カーペットが定番ですが、これは電気の消費量が少なくありません。また備え付けの床暖房機能がある住宅でも、電気、ガスを使わないのが一番の節約ですから、エアコンやストーブをメインの暖房器具にしているご家庭なら、電気カーペットや床暖房はオフにして、併用はやめたほうがいいそうです。

「もし電気カーペットをメインにしているご家庭なら、100円ショップでも買える断熱シートをカーペットの下に敷くと、床からの冷えを少しでも抑えることができ、熱源を効率よく伝えられます」

 これまでは、冬は室内をぽかぽかに暖める生活が当たり前でしたが、光熱費が高騰する今、室内着などでも対策を練りたいところです。次回は体を直接暖める「ちょい足し」暖房におすすめのアイテムをご紹介します。

≪お話を伺った方≫

松崎のり子さん

消費経済ジャーナリスト。
生活情報誌の編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い癖にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。『3足1000円の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(いずれも講談社)などの著書がある。

文◎三星雅人
写真◎Shutterstock

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