「ちょい足し」暖房で賢く暖をとるアイデア集[第3回]

北国の知恵「短時間スポット暖房」で光熱費を節約

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北国の知恵を拝借! “謎のパイプ”とは

 北国にお住まいの方のメインの暖房は、石油ファンヒーターとこたつ。しかし、熱源はファンヒーターだけです。実は、北国ではスタンダードな「ファンヒーターパイプ」なるものを使い、ファンヒーターの熱をこたつに取り込んでいるのです。最近は北国だけでなく首都圏でも、一部のホームセンターで取り扱われていますしネットでも購入できます。価格は千円台から。これは実に合理的で、上手な燃料節約術といえます。

 こたつの熱源といえば電熱線、赤外線などの電気ですが、それより前は豆炭が主流でした。今でも豆炭は1個当たり30円台購入できますし、豆炭あんかなら1個焚くだけで半日以上は持ちますから、コストパフォーマンスは抜群といっていいでしょう。点火が簡単な新型も登場していますが、都会の住宅では扱いに難があります。今となってはアウトドア用と考えたほうがいいかもしれません。

ヒートショック予防に電気暖房器具を

消費電力は低くはないが、エアコンの温風でほこりが舞うのを避け、穏やかに一晩中暖めたいならオイルヒーターもおすすめ。

 電気ストーブをはじめ機構が簡単な電気暖房器具は値段が安いのは魅力ですが、消費電力が大きいのが難点です。しかし、モノ雑誌編集ライターの中井さんは次のように言います。

「着替えのときだけなど短時間の利用なら、電気ストーブはメリットがたくさんあります。すぐに暖かくなるので、トイレや風呂の脱衣所ではヒートショック予防にも効果がありますし、寒い冬の朝、布団から速やかに出る勇気も湧いてきます」 
赤外線防水ヒーター
https://parts.lixil.co.jp/lixilps/shop/campaign/heater-ipx5/

 中井さんは電気ストーブ愛好者の一人です。自宅リビングはガスファンヒーターで暖をとっていますが、仕事部屋では主にセラミックヒーターを足元で使用しているそうです。もっとも、エアコンの風が苦手という理由でエアコンは極力使わないのだとか。

中井さん宅。日当たりの悪い窓を発泡スチロールで覆った。断熱効果は体感的には絶大だとか。

「寝室はDIYで窓の断熱をして寒さ対策をし、オイルヒーターをメインで使っています。なかなか暖まらないので頻繁につけたり切ったりする使い方には向いていませんが、触ってもやけどをする心配がありません。一度暖まればソフトな心地よい暖房が魅力です。ただ、オイルヒーターは本当に寒い時期だけしか使いません。布団に入れば十分に暖かくて快適ですから(笑)」

防災アイテムにもなる種類のストーブ

カセットガスを使うキャンプ用のストーブ兼コンロ。災害対策用としても重宝しそうだ。種類によっては「屋外専用」と注意書きしてある。

 電気ストーブはもちろん、ガス、灯油ファンヒーターなど多くの暖房器具は、停電した場合に使えません。そこで活躍するのが、石油ストーブです。

「普段はまったく使わないのですが、災害や何らかのトラブルで停電が起きたときに備えて、冬場は反射式の石油ストーブを出して、タンクを満タンにしています」

 中井さん宅では、カセットガスのコンロに加え、キャンプ用品のコンロも用意しています。昨年、コンロ兼用のストーブを購入したそうです。

「カセットガスを使うコンロはなかなかの優れ物で、火力が強くて暖かいです。電気が不要で、マッチやライターも使わずに点火できます。万一のときにもきっと役立つと思います」

 昨年の冬には何度か併用暖房器具として使い、重宝したとか。ただ、種類によっては屋外専用という商品もあるので、購入に際してはご注意を。

 全3回にわたって、賢く暖をとるアイデアをご紹介しました。ご自宅に合う方法で、ぜひこの冬を暖かく乗り切りましょう。

≪お話を伺った方≫

中井隆さん

フリーライター&エディター 
商品情報誌の編集者を経て、生活、クルマ関連情報などを雑誌やウェブで発信。得意分野は家電をはじめ、デジタルカメラ、スマホ、パソコン、電子工作からドライブレコーダーなどクルマの電装関連にいたるまで、電気が流れているモノ全般。

文◎三星雅人

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)