異変を感じたら買い替えの検討を
10年以上たったエアコンだが、プロの手にかかると新品と見まごうばかり。写真提供:カジタク
JRAIA(日本冷凍空調工業会)によれば、最新型のエアコンは10年前のエアコンと比べて5%ほど省エネ性が向上しているそうです。電気代高騰のさなか、新しいエアコンに買い替えるのも一手かもしれません。そもそもエアコンの寿命はどれくらいなのでしょうか。お掃除サービス「カジタク」を提供するアクティア株式会社の鈴木健吾さんは次のように言います。
「10年以上たったエアコンを掃除することは珍しくありませんし、15年以上快調に動いているエアコンも見かけます。寿命は使い方次第だと思います」
掃除そのものは古いエアコンのほうがしやすいそうです。しかし、古いエアコンは経年劣化によりパーツが破損しやすくなってしまっていたり、修理部品供給に問題があるケースがあります。メーカーでは製造終了から9年間保存するのが前提ですが、必ず確保できるとは限りません。
「家電製品はいきなり壊れることが多いですよね。エアコンも同じです。季節が変わるときに試運転をすると思いますが、その時に振動や異音があれば、寿命が近づいているサインとも考えられます。室内機だけでなく、室外機も確認したほうがいいでしょう」
この時、冷風や温風が期待通りに出ないというのであれば、だましだまし使うよりは、買い替えたほうがいいかもしれません。
モデルチェンジ時には掘り出し物も
エアコンの新型モデルが出るのは2月~3月と、10月~11月です。販売店では夏の冷房シーズン前が繁忙期になります。秋は最新型でもゆっくり時間をかけて選べるのはもちろん、いわゆる型落ち機種は値引きの好機でもあります。
「家電品は押しなべて価格が上昇しているなか、省エネ性能に大きな差がないのであれば、型落ちを狙うのも賢い購入法だといえます」(家電に詳しいライターの中井隆さん)
待ちに待ったエアコンが到着。写真提供:中井隆
今年の夏、気温が40度に迫る日が続いたとき、中井隆さんの友人宅のエアコンが、なんの前触れもなく壊れたというので大手量販店に付き合ったといいます。
「半導体不足ということもありましたが全体的に品薄で、やはりハイシーズンには買うものではないということを実感しました。友人の目当ては多機能で省エネタイプのエアコンだったのですが、取り付け工事まで20日はかかるというのです。すぐに取り付けられる機種は限られており、基本工事費、税込みで11万円のスタンダードモデルのエアコンを注文し、工事は4日後に決まりました」
設置後の新しい室外機。なんだか不安定な感じが否めない。写真提供:中井隆
当日、中井さんも工事の様子を見に行ったそうです。業者さんが到着したのは、日が暮れる少し前の18時半頃。最後の取り付けかと思いきや、その日6軒目で、さらにあと2軒の取り付け工事があるとのこと。手慣れた様子で壊れたエアコンを撤去し、そつなく設置していきます。ただ、古い室外機があった同じ場所に設置してほしいと友人が申し出ましたが、手間がかかるという理由で、要望に応えてもらえませんでした。
たしかに設置台の上に置かれ、針金で落下防止の処置を施しているのですが、なんだか危なっかしい感じ。次から次へと設置しなければならい過密スケジュールだと、お客さまのリクエストに応えきれないこともあるのかもしれないと感じたと言います。
故障は一番使いたいときに起きるもの?
また、料金を払う段階で「あれ、そうだったの?」と友人が驚いていたのが追加料金です。2階のエアコン設置だったのですが、高所作業料と撤去費用、室内機と室外機をつなぐパイプ代が加算されてプラス約4万円かかりました。「背に腹は代えられないね」と苦笑いしていたそうです。
「故障は一番使いたいときに起きる」という言葉があります。
エアコンの取り付けの繁忙期に買い替えることになると、購入した翌日に工事が終了して元通りの快適な環境になることはまずあり得ません。また業者の方は1日に多くの機材設置をすることになれば、どうしても時間を気にすることでしょう。
冬前の今の時期なら、仮にエアコンが壊れていてもすぐに設置する必要がありません。とくに古いエアコンをお使いの方は、シーズン前に試運転して、なにか違和感があればエアコンの交換時期が近づいているかもと判断してはいかがでしょうか。心に余裕があると、きちんと比較や検討ができて、思わぬ掘り出し物に出会えるかもしれません。
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