底冷えする古い家をリフォームで暖かく[第4回]

断熱リフォームは賢く補助金を利用しよう

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誰でもリフォームに補助金が使える?

 リフォームに補助金が使えるという話を聞いたことがある方も多いと思います。そもそも、公的な建物でない個人住宅のリフォームに、なぜ補助金や助成金が支給されるのでしょうか。このしくみには、国の住宅政策が深くかかわっています。

断熱リフォームをすることでエネルギー削減を

 国は新たに建てられる建物について、一定の品質基準を保とうとしますが、法令の基準は年々厳しくなっているため、この基準を満たしていない住宅が現在も数多く残っています。これを国が問題視したため、基準を満たしていない住宅をリフォームするときに、その費用の一部を援助し、建物の質を上げていくという目的で補助金や優遇制度が設けられました。
 補助金や優遇制度を使うためのキーワードとしては、「耐震」「断熱・省エネ」「長寿命」などが挙げられます。

「『家の作りやうは、夏をむねとすべし』と徒然草にも記されているとおり、もともと日本の住宅は、蒸し暑い気候を凌ぐために夏の過ごしやすさを大切に作られてきました。

夏風通しがいい日本家屋のメリットは、反面、気密性が低いというデメリットに。(画像:Shutterstock)

 ただ、一方で断熱の面から考えると、古い日本の住宅は世界的に見ても質が低く、断熱材が入っていないような建物も多く残っています。断熱がされてないということは、冷暖房費が高まりエネルギー費用も多くかかって、日本の温室効果ガス削減目標に影響することになります。こうしたエネルギー問題に加え、日本は世界でも指折りの長寿国です。高齢者の健康を維持するためにも断熱性を高めることは重要で、そのために国は補助金や助成金、所得控除といった形で、断熱リフォームを推奨しているのです」

エネルギー効率のよい家を作る
「次世代省エネ建材の実証支援事業」

 それでは2022年10月現在でどんな補助金があるのか、その代表的なものを教えていただきました。

「まず、経済産業省による補助金『次世代省エネ建材の実証支援事業』についてご紹介します。こちらは、現在住んでいる戸建て住宅・集合住宅をリフォームするとき、窓やドアを高断熱に改修したり、壁や床・天井に断熱材を入れたりする場合に使える補助金です。賃貸住宅でも使うことができます」

 住宅の改修方法は3つの区分から選ぶことができます。

 1つ目は「外張り断熱」。こちらは外気に接するすべての外張りを断熱工法等で改修する方法。全体のリフォーム金額からどのくらいの割合で補助金が出るのかを示すのが「補助率」ですが、この補助金ではどの区分でも2分の1と定められています。補助金の上限額は最大で300万円/戸(エリアによっては400万円/戸)となっています。
 2つ目は「内張り断熱」。断熱パネルなどを室内に導入し改修する方法です。補助金の上限額は戸建ての場合最大で200万円/戸です。
 3つ目は「窓断熱」。すべての外窓を断熱仕様、そして防火、防風、防犯仕様に改修する方法です。補助金の上限額は最大で150万円/戸です。(外窓と任意製品を併用して改修する場合は200万円/戸)

■次世代省エネ建材の実証支援事業(補助対象経費の1/2)

外張り断熱 内張り断熱 窓断熱
戸建住宅上限額 300万円/戸(地域区分により上限額は400万円/戸※1) 200万円/戸 150万円/戸
集合住宅上限額 125万円/戸

※地域区分は国土交通省にて市町村別に定められています。

居間だけ窓の断熱リフォームでもOK
「居間だけ断熱」

「断熱リフォームはしたい、でも家全体を改修するとどうしても多額の資金が必要となるので迷っている」という人もいらっしゃると思います。実はそんな方に使いやすい補助金もあるといいます。

家族が長く過ごす居間だけリフォームするという方法も。(画像:Shutterstock)

「いつもいる部屋だけ暖かくしたいという方には、既存住宅における断熱リフォーム支援事業の『居間だけ断熱』という制度が使いやすいと思います。

 断熱リフォーム支援事業とは、住宅に高性能な窓や断熱材等を用いた断熱改修を行い、一定の要件を満たすことで国から補助金が交付される制度です。この支援事業に、本年度から新たに、居間等一部の窓断熱改修でも申請が可能な『居間だけ断熱』が追加されました。生活の中心であり、家族の在室時間が最も長い居間の窓や玄関ドアに高性能建材を使ったリフォームを行うために、利用することができます」

「居間だけ断熱」の補助率は3分の1で、補助金の上限額は戸建ての場合最大で120万円/戸、集合住宅では一住戸15万円/戸となっています。

 今回ご紹介した以外にも、お住まいの地域ごとに利用できる補助金や助成金が用意されていることもあるので、断熱リフォームをお考えの方はまずはリサーチしてみてください。こうした補助金を上手に利用すれば、金銭的な負担もだいぶ軽くなるのではないかと思います。

 古い家とそれを今の最新技術でリフォームした家をそれぞれ体感し、その違いや断熱リフォームのしくみ、そしてリフォームに使える補助金のことまでご紹介してきました。

“リフォーム”というと、みなさん水回りや間取りの変更など、目に見える場所をすぐに思い浮かべると思います。断熱リフォームは一見すると変化がわかりにくいですが、実際に暮らしを変えていくリフォームです。ぜひ「住まいStudio」を訪れて断熱リフォームを体感してみてください。

LIXILのリフォーム相談サービス

https://www.lixil.co.jp/reform/reform-soudan/

お客さまの夢や希望を明確にするところからリフォーム店のご紹介まで、しっかりとお手伝いさせていただきます。

≪お話を伺った方≫

門脇一彦

LIXIL HOUSING TECHNOLOGY
ZEH推進営業部 関西ZEH営業部
住まいStudio大阪 ディレクター
「住まいStudio大阪」でお客さまのご案内を担当。「みなさんに最新の断熱のしくみを体感していただければと思います」


文◎濱田麻美
写真◎梅田雄一

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)