片付けが長続きする「ざっくり収納」[第3回]

モノを「一時避難」させる

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整理収納事例

作業途中のモノの「一時避難」

 何か作業をしているときにモノを「一時避難」させる場所を作ると、家の中が散らかることがなくなります。

「家で仕事をしていると、中断して家事をしないといけないことがありますよね。そういうときに、作業途中の状態で一時避難させられる場所を作っておくと、散らかしたまま放置することがなくなりますよ」

冷蔵庫は一番使いやすい真ん中あたりに一時避難の場所を作っておく。(写真提供◎石牟礼ともよ)

 避難場所は、冷蔵庫にも作っておくと重宝するそうです。

「冷蔵庫は一番使いやすい真ん中あたりをいつも開けておくようにします。そうすると、買ってきた食材をきちんと整理する前にちょっと置いておいたり、残ったおかずを一晩だけ保存したりするのにも便利に使えます。冷蔵庫にあえてゆとりをもたせておくと、奥まで見やすくなって残っている食材を把握しやすくなるというメリットもあります」

「避難させやすい工夫」で作業効率もアップ

 一時避難させる場所を設けるだけでなく、避難場所にすぐに移せる工夫をしておくと、生活がさらに便利になるそうです。

作業中の書類を一時避難させる棚の上。(写真提供◎石牟礼ともよ)

「私はパソコンで仕事をしている途中に家事をすることが多いので、パソコンもその他の道具もまとめてざっくり入れられるバッグを用意しています。すべてバッグに入れて家具と壁のすきまに置くので場所もとりません。ダイニングテーブルで仕事をすることが多いのですが、作業途中の書類をそのままの状態で一時避難させたいときは、置く場所をテーブル横の棚と決めています。ですから、その棚はいつもすっきり片付いた状態にしています」

「あるアクセサリー作家さんは、いったん作業を中断したあと、その状態からすぐに再開できるように、用意したトレーの上で作業していました。中断するときはトレーをそのまま引き出しにしまうだけです。アクセサリー作りは細かいパーツや道具をたくさん使いますから、ひとつひとつ片付けていたら次に作業するときにまたひとつひとつ取り出さなくてはいけなくなるのでとても大変ですが、こうしておけばすぐに再開できます。

作業途中のものを平たいケースに入れれば、重ねて置けるのも便利。(写真提供◎石牟礼ともよ)

 こんなふうに一時避難しやすい工夫もしておくと、家を片付けやすくできるだけでなく、作業の効率もぐんと良くなりますよ」

 子どもがダイニングテーブルで宿題していて食事などで中断するときや、資料本などをたくさん開いていてそのままの状態で保存したいときなども、一時避難用のトレーやボックスに入れるようにすると一瞬でその場が片付きます。平たいケースを使えば重ねて置くこともできますね。

避難場所をガラクタ置き場にしない

 一瞬ですっきり片付けられて、しかも作業効率まで上がる、良いこと尽くしの一時避難ですが、注意点もあります。それは、作業が終わったらその場所をきちんと片付けること。

「避難場所に何日も置きっぱなしにしてしまうと、避難場所自体がガラクタ置き場のようになってしまいます。一つ作業が終わったら、その都度片付ける習慣をつけることも大事です」

 作業が終わったら避難場所も片付ける。そうしていったんリセットすることで、ひと仕事終わった! という達成感も得られます。スペースも気持ちもすっきりして、気持ちよく次の作業に移れますよ。

 3回にわたって、面倒くさがり屋さんでも片付いた状態を維持できる「ざっくり収納」をご紹介してきました。作業の時短、効率化にも役立つアイデアが多いので、上手に暮らしにとり入れてみてください。

≪お話を伺った方≫

石牟礼ともよさん

整理収納アドバイザー。愛知県犬山市出身。整理収納アドバイザー1級、ライフオーガナイザー1級、福祉住環境コーディネーター3級。片付けを仕事にして10年。お片付け訪問・相談実績は延べ750軒以上。整理収納・ライフオーガナイズの知識と、家事代行業の経験を生かし、「ママだけが頑張らなくていい、家族が自分で自分のことを完結できる家づくり」をサポートしている。

文◎濱田麻美

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)