収納は細かく分けすぎない
「片付けが続くポイントの一つが、収納するとき細かく仕切りすぎないことです。無理して細かく仕切ってしまうと、出したものを元の場所に戻すのが面倒になり、“はさみ”とラベルを貼ったところにはさみが1本も入っていないという事態になることも。例えば文具だと“書く”“切る”“貼る”といった具合に、細かくしすぎずざっくり分けるくらいで十分です」
ざっくりと分けたモノを「使う場所」に置くのも大事なポイントです。ここで考えたいのが、自分が毎日どこで何をしているか。家の中での行動を見つめ直してみましょう。
人の動きに合わせてモノの住所を決める
届いた郵便物をその場で処理しやすくするために、郵便物入れのかごの中にペンやはさみをセット(使うときだけ出すように)。(写真提供◎石牟礼ともよ)
「文房具を例に挙げると、リビングに文房具置き場をつくってペンやはさみやメモ帳の定位置を決めても、キッチンで買い物をメモしたり、玄関で郵便物を開封して仕分けしたりと、使う場所は必ずしも同じではありませんよね。文房具置き場にすべてまとめて置いておくと、キッチンで使いたいときにいちいち取りに行っては元に戻さなくてはいけません。でも、キッチンに買い物などをメモする用のペンとメモ帳、郵便物入れの横にその場で郵便物を処理するためのはさみとペンというように、使う場所にそれぞれ必要な文房具があれば、そのほうがずっと使いやすくなります」
「片付いた状態を長続きさせるには、まず自分が日々どう行動しているかを考えて、それに合わせて必要なモノを手に取りやすくするしくみをつくることが大事です。最初に“行動”があって、その次に、行動に合わせて“収納”を考えます。最初に“収納”を考えても、“行動”に合っていないと片付いた状態が維持しにくいのです」
手袋はどこにしまう?
コートに合った手袋を用意しておいて、ポケットに入れておく。(写真提供◎石牟礼ともよ)
“行動に合わせて収納をつくる”ことで、石牟礼さんがよく例として出すのが手袋の収納場所です。
「みなさんは手袋をいつもどこにしまっていますか? 私が手袋をしまっているのは、実はコートのポケットの中です。コートの色に合わせて数組の手袋を用意してあって、右手は右ポケット、左手は左ポケットに入れています。車の運転の際の日除け手袋は車に入れてあります。こうしておくと、まず手袋がなくなることもないし、出かけるときに慌てることもありません」
「片付けられない」には理由がある
家族が片付けをしないときも、「どうしたら片づけられるか」を考えます。
「よく、お子さんが帰ってくるとランドセルをリビングに置きっぱなしにするというお悩みを聞きます。これは、お子さんが帰ってきたらまずお母さんの顔を見たいからなのです。こういうときは無理に自分の部屋に片付けさせず、リビングなどにランドセルコーナーをつくるのも手です。小さなお子さんはダイニングテーブルで宿題をすることも多いので、その近くにある棚の一部をランドセルと宿題入れにしてもよいと思います。
家族が片付けられない理由には、行動と収納のミスマッチがあると思います。収納というとまずは家具や収納ケースを購入して、それを置ける場所から考えてしまうことも多いのですが、まずは“どこで何をしたいか”を考えてしくみを作っていってください」
逆算して考えていくことで、その家族のライフスタイルに合った収納スペースができ上がっていきます。
モノの“グルーピング”の勘違い
ホームセンターなどではお掃除グッズ、文房具など、ジャンルごとに分類されて置かれています。このグルーピングのしかたは見た目はきれいですが、家庭で真似しようと思ってもなかなかうまくいきません。
「子どもの工作を想像してみてください。紙、はさみ、糊、テープなどいろいろなものを使います。これが紙は紙、テープはテープとジャンルごとに分類して収納していたら、ひとつひとつ出しては片付けないといけません。それが“工作セット”としてまとめられていれば、出すのも片付けるのもラクです。
グラス、マグ、小鉢、お皿など朝食で使うモノをまとめた朝食コーナー。(写真提供◎石牟礼ともよ)
グルーピングを考えるときに、このように何かをするときに使うものを1セットにしておくといろいろなシーンで便利です。例えば私は、朝と夜のお肌のお手入れ用セットをつくって、それぞれ使う場所に置いています。また、朝食に使う食器はだいたい決まっているので、マグカップとグラスとお皿は棚の同じ場所にセットして、出し入れがしやすいようにしています」
こうして何かをするときに必要なモノを一緒にしておくと、片付けしやすいだけでなく時短にもなりますし、忘れ物も少なくなるメリットもあるそうです。
(第3回に続く)
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