異次元の「節電」で値上げを乗り切る![第1回]

夏の電力消費量と節電ポイント

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家電製品別「夏の電力消費量」の割合と電気料金

 節電の第一歩は、どれだけの電力を使っているのか、おおよその把握から。

 夏の電力消費の中で、特に多くの電力を消費する19時頃の使用割合は、エアコン(38.3%)、冷蔵庫(12.0%)、照明(14.9%)が全体の6割と大部分を占めています。(出典:資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー ご家庭の皆様 東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州エリア版」)

 電力の単位は、家電の仕様書などに記載されている「kW(キロワット)」、電気代の明細書などに記載されている「kWh(キロワットアワー)」の2つ。kWは使用電力を示し、kWhは1キロワット(1kW=1000W)の電力を1時間(h)消費した時の電気量を示します。

 基本的に電力量料金は、電気の使用量(kWh)×単価(円)で求めます。1kWhあたりの電気代は、31円/kWh(令和4年7月22日に公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が改訂した新電力料金目安単価)と仮定し、消費電力が500W(6畳相当)のエアコンを1時間使用した例を計算してみましょう。

 1時間あたりの電気料金が15.5円となるので、もし、24時間つけっぱなしにしていたら、約372円、さらに7日間つけっぱなしだと約2,604円が毎月の電気代に加算されることになります。

※ご契約の電気料金プランによって、使用時間帯の料金や1kWhの単価に違いが生じます。

“ちょっとした”節電で年間いくらの節約に?

 では実際に、節電をすると年間でどれだけの節約になるのでしょうか?

夏の電力使用が増えるエアコン、冷蔵庫、そして意外に電力を消費しがちな家電の“ちょっとした”節電でどれだけの違いがあるのかを見ていきましょう。
(1kWhあたりの電気代は、31円/kWhで計算、小数点以下は切り捨て)

エアコン
 設定温度を27℃から1℃上げた場合:約937円の節約に(外気温度31℃、使用時間9時間/1日)。
 使用時間を1日1時間短縮した場合:約582円の節約に(設定温度28℃)。

冷蔵庫
 内容物を詰め込んだ状態から半分にした場合:約1,359円の節約に。
 設定温度を「強」から「中」にした場合:約1,913円の節約に(周囲温度22℃)。

 また、夏場の節電で意識したいのが「温水洗浄便座」です。1年を通してつけっぱなしにしがちな場所ですが、暑い季節に便座の保温や温水洗浄が必要なのかを一考してみるのもよいかもしれません。そして、省エネ、節電、タイマー機能が付いた機種の場合は、その機能を使用することで大幅な省エネにつながります。

温水洗浄便座
 フタを閉めた場合と、開けっぱなしの場合の比較(貯湯式):約1,081円の節約に。
 洗浄水の温度設定を一段階下げた(中→弱)場合(貯湯式):約427.8円の節約に。

(出典:経済産業省資源エネルギー庁 省エネポータルサイト調べ)

「待機電力」の見直し方

 気づかないうちに意外な電力を消費している「待機電力」にも注意が必要です。

 待機電力は、電気製品がオフになっている時にも消費されているため見逃されがちですが、家庭における夏場の家電製品の1日の電力消費のうち、およそ6.0%を占めています。

 リモコンでの操作が必要、時計やタイマー機能を維持している家電製品には使用していない間にも電力が消費されています。使用時までオフにしていても影響のない家電は、こまめにコンセントからプラグを抜いておくだけで節電に。

 頻繁にプラグを抜き差しすることでプラグの劣化が心配な場合は、節電タップの使用も効果的です。

(出典:資源エネルギー庁「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 待機時消費電力調査」)

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 そして、契約中の電気料金プランを見直すことが根本的な節約につながることも。

 電気料金は、「基本料金」「電力量料金」「燃料費調整額」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」「適用される割引」の5つから構成されています。

 6月からの電気料金の値上げに伴い、各電気事業者のプランにも改定が実施されています。加入している電力会社や電気料金プランによって基本料金の違い、時間帯によっての料金変動、上記以外の項目が加算されることも。

 これを機に、契約書の再確認や、生活サイクルに見合ったプランを見直してみることも、値上げを乗り切る大きなポイントになるのではないでしょうか。

 次回は、夏のエアコン使用方法の新常識を紹介します。

文◎藤本あき
画像提供◎Shutterstock

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