「夏こそ大掃除!」3つの理由[第2回]

梅雨明けに畳の湿気を撃退!

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梅雨明けの畳は危険がいっぱい

 畳は調湿性があり、湿気を吸ってくれます、ジメジメした梅雨でも和室が比較的過ごしやすいのは、畳に負うところが大きいのです。

 しかし湿気を吸って、さらに室内の気温が高くなると、カビの心配があります。カビは湿度70%以上、温度15~30℃、ホコリなどの栄養源の3つが揃うと2~3日で目に見えるほどの塊になり、大繁殖します。梅雨時の湿気をたっぷり吸った畳は、カビが生えやすい条件にあるといえるでしょう。

 また、畳表に使われているイ草は、新鮮なほうが呼吸調節機能が高いため、新しい畳ほどカビが生えやすいので注意が必要です。せっかく新しい畳にしても、カビが生えてしまったら残念ですよね。

 畳にカビが生えてしまうと、見た目が悪いだけでなく、さまざまな問題を引き起こしてしまいます。畳に生えるカビは主に「アオカビ」「クロコウジカビ」。毒性はありませんが、長い間放置しておくとアレルギーやぜんそくなどの原因になることもあります。

 また、湿気でじっとりとした畳は、ダニが大量発生する恐れもあります。とにかく畳は乾燥させること、絶対にカビを生やさないこと。これが鉄則です。

最初はフロアワイパーで拭き掃除

 畳を掃除するときは、天気のいい日に窓を開けて換気を良くしましょう。部屋の中に漂っているカビの胞子をある程度追い出すことができます。

 畳の掃除の仕方は、まず表面のホコリやカビの胞子を取り去ります。そのときに掃除機を使うのは、実はNG。掃除機は畳表に入り込んだホコリやカビの胞子を吸い取ってくれますが、排気口から胞子をまき散らしてしまうことがあるのです。

 掃除機の代わりに、フロアワイパーを使って拭き掃除をしましょう。畳用のシートはマイクロファイバーなどでできており、畳の目に入り込んだホコリもかなり取ってくれますし、表面に付着しているカビの胞子も拭き取ることができます。

カビが生えた部分のリカバリー

 畳の一部にカビが生えてしまっていたら、その部分だけリカバリーをしましょう。

 畳に使用できる市販のカビ除去スプレーをカビの生えている部分に吹き付けて除去します。キッチンやバスルーム用のカビ取り剤は、畳が変色する恐れがあるので絶対に使用しないでください。

 市販のカビ除去スプレーは界面活性剤が含まれている商品が多いので、天然素材にしたい場合はエタノールか酢を使いましょう。エタノールか酢をカビが生えている部分にスプレーし、30分ほど置いておきます。時間をおくことで、カビの根っこまで殺菌作用が働き、除去しやすくなります。その後しっかりと拭き取ってください。

 カビを取り除いたら、再度スプレーして乾いた雑巾で拭き取ります。畳が完全に乾くまで、窓は開けっぱなしにしておきましょう。

カビの素を取ったら掃除機の出番!

 畳表にあるカビの胞子などを取り除いたら、掃除機の出番です。胞子が飛散する可能性を極力下げてから、畳の中に入り込んでいるダニなどを掃除機で吸い込む作戦です。

 掃除機は畳用モードがあればそれを使ってください。ない場合は、ブラシが回転しない状態でかけます。ブラシなどで叩くようにすると、畳表が傷んでしまうからです。掃除機は畳1枚ずつ、畳の目に沿って表面をなでるように軽くかけます。

 ちなみに、細かい粒子まで吸い込んで逃がさないといわれる高性能HEPAフィルター付き掃除機があります。HEPAフィルターは0.3ミクロン以上の粒子を逃がさないように設計されています。カビの胞子は3~10ミクロンですので、HEPAフィルター付きの掃除機ならかなりカビの胞子も捕えることができます。ただし、それでも最初に掃除機をかけてはいけないのは、カビの胞子が排気の風邪で舞い上がってしまうからです。

畳干しにチャレンジ!

 カビやホコリの掃除が済んだら、湿気を取るために畳干しにもチャレンジしてみませんか。畳を1枚ずつ剥がして、2枚の畳をお互いに立てかけます。窓を開け、換気を良くして4~5時間干しましょう。

 畳干しは春と秋の年2回おこなうのが理想ですが、梅雨の後の湿気を含んだ畳は、早めに乾燥させたほうが快適に過ごせます。乾燥させることで、カビだけでなくダニ防止にもなりますよ。

 干すときには、直射日光を避けます。また、どの畳がどの位置にあるかをメモなどしておいて、敷き直すときに位置や向きを間違えないようにしましょう。

調湿性能に優れた壁材でプチリフォームも

 畳は足にやさしく、調湿性も兼ね備えた優れた素材です。しかし、現代の家は密閉が高く、梅雨の湿気をたっぷり含んでしまうとなかなか外に逃がすのが難しくなります。梅雨が明けたタイミングで掃除と畳干しをすれば、ひと夏快適に過ごせますが、それに加えて畳の部屋の壁材を調湿性の高いものにプチリフォームするのもオススメです。

 LIXILの「エコカラット」は調湿性能にも優れ、自然と心地よい空間を作ってくれます。施工も簡単で、デザインのバリエーションも豊富。畳の良さをさらに活かすために、ちょっとお部屋に手を加えてみてはいかがでしょうか。


文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
画像◎Shutterstock

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