中古マンションのリノベで快適な住まいを手に入れる [第3回]

「便利さ」を手に入れるテクニック

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関心
ライフスタイルリフォーム

大型収納でモノをすっきり

 リフォームを行うときに、ウォークインクローゼットなどの大型収納を新たに設けて片付けやすい部屋にしたいという声は多いです。

「人気のウォークインクローゼットですが、限られたスペースで大型収納を作るためには、押し入れだったところを壊したり、個室を小さくしたり、他の空間を縮小する必要があります。最近はレイアウトを大きく変更して収納スペースを設けるケースも多いですね」

 時代とともに収納のスタイルも変わってきています。

「最近増えてきたのが、玄関に靴箱だけでなく、外で使うキャンプ道具やゴルフ道具などを置けるスペースを作る収納です。玄関の土間(たたき)部分にスペースを設けます。そのほか、廊下と収納を兼ねた“ウォークスルークローゼット”を設けるお宅もあります。こうしたスペースに家族みんなのものをまとめて収納することができます」

 ほかにも、洗面所で使うものは洗面所、トイレで使うものはトイレといった具合で、使うものを使うところに収納するのも、今の住まいの傾向です。使う場所に収納を用意しておくと、片付いたスペースが維持しやすくなります。

デッドスペースを収納に

 ひと昔前までは、収納というと家具を用意することが当たり前でした。それに比べて現在は作り付け家具を使うことが多くなり、デッドスペースも利用しやすくなりました。

「作り付け家具なら、小上がりの畳スペースの下を収納にしたり、トイレや洗面所のすき間スペースに棚を設けたりと、スペースを上手に使えます。100円ショップのグッズなども活用して上手に収納される方が増えましたね」

ワークスペースを作る

 コロナ禍以降、自宅でリモートワークをする方がだいぶ増えました。それに伴い、ワークスペースもあると便利です。

「ワークスペースは小さなスペースでも作ることは可能です。キッチンの横やリビングにデスクや棚を作ったり、洗面所の横に作業スペースを設けたりなど、アイデア次第でいろいろな作り方ができます」

 最近ではリモートワークのスペースとしてだけではなく、お父さんが音楽を聴いたり、ゲームをしたり、お母さんが家事の合間にパソコン作業をしたり動画を見たり、一人時間を楽しむ場所としても注目を集めています。

 また、ワークスペースは個室にして、リビングと個室の間に室内窓をつける方法もあります。個室は閉塞感が生まれがちですが、室内窓でリビングとつながっていることで空間に解放感が生まれ、家族とのつながりも感じやすくなります」

可動式間仕切りで部屋の使い方を広げる

 戸建てに比べてマンションは制限が多いので、間取りを変えるにもやれることは限られている場合が多いです。そんなマンションで手軽に間取りを変えられる方法が“可動式間仕切り”です。引き戸が合わさったようになっていて、スライドで簡単に部屋を仕切ることができます。部屋の間取りをフレキシブルに使う方法としておすすめです。

「和室だった部屋を洋室にしたときに設置される方が多いのですが、オープンにすれば部屋を広く使え、閉じると個室としても使えて、用途に合わせて部屋を仕切れます。例えば子ども部屋として仕切って使って、お子さんが独立したらオープンにして広々使うなど、家族の年齢や暮らし方に合わせて部屋の使い方を変えられるのが魅力です」

水回り機器は便利になっている

 リフォームで最新設備を取り入れることも、暮らしを便利に変えてくれます。

「昔のキッチンには食器洗い乾燥機も引き出し式収納もなかったと思いますが、今のキッチンには手をかざすだけで水が出る自動水栓金具まで付けられます。
 トイレはタンクレストイレの登場で、スペースをより広く使えるようになりました。お風呂のお湯はりや、シャッターの開閉が自動でできるようなIoT住宅の設備も年々進化しています。こうした便利な最新設備を上手に使っていくことも、暮らしの便利さにつながると思います」

 中古マンションのリノベーションには、毎日の暮らしの質まで変える力があります。ぜひ、理想の住まいを手に入れるための参考にしてくださいね。

≪お話を伺った方≫

渡辺 朋子
LIXILショールーム統括部。一級建築士、福祉住環境コーディネーター2級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。お客様に喜んでいただけるリフォームを提案できる、リフォームコンシェルジュの育成に力を入れています。

文◎濱田麻美
写真◎Shutterstock、写真AC

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