中古マンションのリノベで快適な住まいを手に入れる [第1回]

予算とプランの考え方

空間
リビング・寝室・居室
関心
ライフスタイルリフォーム

まずは予算を決める

 古くなった設備や内装材を新しくするリフォームだけでなく、間取りをライフスタイルに合わせて作り替え、住まいの性能や価値を上げるリノベーションが注目されています。中古マンションのリノベーションでは、予算はどのように決めればよいのでしょう。

「新築なら住まいの予算は決まってきますが、中古マンションを購入してリノベーションを行う場合は、予算が出しにくい傾向があります。

 というのも、建物はローンで購入してリノベーションは手持ち資金なのか、リノベーションを含めた全体でローンを組むのかによって予算は異なりますし、リノベーション内容によっても予算は変わってきます。実際に具体的なプランを立ててみると追加で費用がかかったり、途中で追加したい箇所が出てきたりするケースも多いので、予備費も見ておく必要があります。

 例として、『500万円くらいでキッチン交換と間取り変更をしたい』と、だいたいの予算をプランナーにお伝えいただいて、そこから具体的なお話をスタートすることが多いです」

「どんな暮らしがしたいのか」を明確に

 リノベーションを考えるときに大切なのは、「どんな暮らしをしたいか」「何のためにリノベーションをしたいのか」ということです。

「新築マンションはある程度間取りも仕様も決まっていてその範囲の中で選びますが、中古マンションのリノベーションなら思いきった変更も可能なため、自分らしい住まいづくりを自由に追求できます。だからこそ、ご自身の求めている希望をプランナーにまずはお伝えいただくことが大事です。例えばそれが予算をオーバーしてしまう場合でも、やり方を変えることで実現できる場合もあります」

 リノベーションのイメージを上手に伝えるためには、それに近い写真を用意するなど、理想の形をなるべく具体的にしておくことがおすすめです。そうすることで業者さんにも伝わりやすく、家族同士で希望のイメージを一致させておくのにも役立ちます。

築年数によって変わること

 中古といっても、築10年未満から築50年を超えるものまで幅広いです。築年数によって影響する要素はあるのでしょうか。

「その建物にいつまで住めるかは意識したほうがよいと思います。戸建てなら手を加えれば耐用年数を過ぎても長く住み続けられますが、マンションは耐震性などを考えると難しい場合が多いです。例えば築50年を超えた建物で自分が20代だった場合、終の棲家としては考えにくいですよね。

 予算と築年数、ご自身の年齢や将来どうしたいのかによってリノベーションの内容は変わってきます。将来的なビジョンも考えながら、どこまで手をかけるかを考えていくのがよいでしょう」

 また、同じ予算の場合、築浅のマンションは駅近など好立地に見つけるのは難しく、あっても狭かったりする一方、築年数が経っているマンションなら好立地で間取りにも余裕がある物件が多かったりします。この辺りのバランスもさまざまな角度から検討しながら、物件選びを考えていく必要があります。

「あとから変えられないこと」を優先する

 中古マンションをリノベーションするときの優先順位として忘れてはいけないのが、あとから変えられない内容を優先して行うということです。

「間仕切りの壁を取る、水回りを移動するなどは、あとから変えるのは難しいため、希望があるのであれば先にリフォームしておきたいところです。フローリングの床も、玄関からつながっている場合が多いので替えにくく、床暖房もあとから入れるのは難しいです。

 逆にあとからでも変えられるリフォームとしては、ユニットバス、トイレの入れ替え、壁紙の張り替えなどがあります。

 間取りを大きく変えたいなら、柱や梁などの構造躯体だけを残して解体するスケルトンリフォームも間取りの自由度が高くなる方法です。いろいろな場所を細かく修繕するよりはこの方法のほうがやりやすく、費用が抑えられる場合もあります」

そのまま使えるものを考慮する

 予算を抑えるなら、そのまま使えるものは使うというのも選択肢です。

「リフォームでお金がかかってくるのが、キッチン、バスルーム、トイレなどの水回りです。限られた予算の中でリフォームをするなら、トイレと浴室は新しいものにするけれど、キッチンは今のものを使うなど、臨機応変に考えてみてはいかがでしょう。あとから変えにくいレイアウトの変更に予算をかけて、水回りの設備は余裕ができてから取り替えるという選択肢もあります」

 フルリノベーションにこだわらず、個室を一部屋、二部屋でも残せば工事費のコストをカットすることもできます。畳の部屋を洋室にするなど、マンションの一部をリフォームして床の色がそこだけ違ってしまう場合は、あえて全然違う色の床を選んでそれをデザインの一部に見せる方法もあります。

 住まいのプランはさまざまな要素を総合し、その中でバランスを取りながら組み立てていくものです。まずは自分の希望を伝えて、そこから優先順位をつけてリノベーション内容を決めていきましょう。

(第2回に続く)

≪お話を伺った方≫

渡辺 朋子
LIXILショールーム統括部。一級建築士、福祉住環境コーディネーター2級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。お客様に喜んでいただけるリフォームを提案できる、リフォームコンシェルジュの育成に力を入れています。

文◎濱田麻美
写真◎Shutterstock、写真AC

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