猫も人も幸せになれる住まいづくり[第2回]

臭い、キズを防ぐ空間づくりの工夫

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建築リフォーム

「滑るかどうか」はあまり気にしなくて大丈夫

 犬にとって心地よい空間づくりには、滑らない床が重要です。滑る床で過ごしていると腰を傷めてしまうからです。一方で猫は、その点はあまり気にしなくて大丈夫だと大路さんは言います。

「床材に関して気にするなら、衛生面と防水性です。猫の行動に、『吐き戻し』というものがあります。猫の舌は細かい棘状の突起がたくさんあるのですが、毛繕いで体を舐めるときに毛が舌に引っかかって飲み込んでしまうんです。また消化管の構造上、食べたものを消化するまでに時間がかかってしまうこともあります。そうしたものを、吐いてしまうのです。

 また、決まった場所のトイレを使える猫でも、何かストレスがあったりすると、床の上に粗相をしてしまうことがあります。なので、フローリングの素材や接合部分がきちんと防水加工されているものに替えることは有効ですね」

 LIXILにも耐水性に優れたフローリング材「ラシッサシリーズ」があります。滑りにくい加工もされているので、犬にとっても優しい素材です。

「ただし、猫は犬より自由に縦横無尽に家の中を動き回ります。こんなところで、という場所で吐いたり粗相をしたりすることもあるので、完璧な対策となるとかなり広い面積のフローリングを替えなければならないかもしれません。これから新築を検討する方なら、あらかじめそうしたフローリング素材を選んでおくのもひとつの手でしょう」

「臭い」の対策もしっかり

 猫の粗相や吐き戻しは、家の中に嫌な臭いが広がる可能性もあります。

「しっかり換気をしたいところですが、猫が逃げ出すことも心配で、そうそう窓を開けることも難しいですよね。そこで、消臭効果があり、室内の空気も浄化してくれるような素材を取り入れるのがいいかもしれません」

 LIXILの内装壁機能建材「エコカラット」は、素材に微細な孔(あな)が無数に開いていて、これらが臭いの原因物質を吸着して臭いをやわらげる効果があります。また、湿気を吸収・放出する調湿性能にも優れ、室内の湿度を快適な状態にコントロールする働きも持っています。

傷が付きにくいユニット畳

 畳敷きの和室の場合はどうでしょう。

「フローリング同様に、防汚加工された畳を選んで汚れが付きにくくするといいかもしれません。樹脂加工され、撥水性に優れた素材の畳もあります」

 LIXILのアクセント畳は撥水性に優れ、い草の畳表に比べて3倍の耐久性があります。カビやダニの発生も抑えてくれます。畳をすべて替えてもよいでしょうが、畳での爪とぎが好きな猫なら、アクセント畳で爪とぎ場所を作ってあげるのもいいかもしれませんね。

 また、壁やカーテンなどで爪とぎをするのが大好きな猫もいます。

「壁には傷に強い腰板を設置するのもいいでしょうし、リフォームの範疇からは少しずれますが、ツメで引っかかれても破れにくいつるつるした素材のカーテンもあります。カーテンではなく、ブラインドにするのもいいかもしれません」

高断熱の家は猫も人も過ごしやすい

 猫は暑さや寒さに弱い動物です。特に夏の暑い時期は、一日中エアコンをかける方も少なくありません。

「飼い主が出かけるときも、家の中はエアコンをかけっぱなしにするのが正解です。昨今のエネルギー高騰の状況を考えると、断熱性能の高い家にリフォームして常時エアコンを使用しても消費電力を抑えられるようにすることはとてもいい選択だと思います。猛暑の熱は大半が窓から侵入します。窓の断熱性能を上げることは、猫のためにも、人のためにもお勧めです」

 LIXILの内窓「インプラス」シリーズは、既存のサッシの内側にはめ込む形で、数時間で断熱リフォームができます。また、夏の強い日差しを避けるために「スタイルシェード」をリビングなどに続くベランダに設ければ、外を見るのが大好きな猫たちの欲求を満足させながら、涼しい家にすることができます。

「夏の暑さ対策と同時に、冬の寒さに備えて床暖房を導入するのもいいでしょう。弊社でもLIXILの床暖房システム『HOTひといき』をご提案することがあります。空気が乾燥することなくぽかぽかと暖かい床は、猫も人も快適に冬を過ごせます」

 次回は、猫たちの居場所をどうつくっていくかについて伺います。

≪お話を伺った方≫

大路信宏(おおじのぶひろ)さん

愛猫家と愛犬家のために新築工事やリフォーム工事を提案するイーグル建創のペットリフォームの専門サイト「わんにゃんホーム」担当者。自身も愛猫家・愛犬家。東京・町田に見学可能なショールームがある。

文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
写真提供◎わんにゃんホーム(トップ画像)

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