換気は何回・何分にこだわらず、
ルールを決めて行えばOK
感染症予防として加湿と同じくらい換気することも重要です。新型コロナウイルスの屋外での感染率は10%未満で、屋内の方が18.7倍高いというデータからも、換気の悪い密閉空間は感染リスクが高く、部屋の換気をすることが感染対策として重要であることがわかります。
どのくらいの頻度や時間、換気するとよいのでしょうか。
「厚生労働省は商業施設などに対して、『30分に1回以上、数分程度の換気』を推奨しています。ですが家庭内では部屋の大きさや室内にいる人数によっても異なるため、一概に何回、何分換気するとどうなるといったエビデンスがあるわけではありません。
できる範囲で、定期的にやるということを意識して、ルールを決めるといいですね。例えば朝起きた時や掃除の時、お昼ごはんの後など習慣化しやすいタイミングに換気を取り入れるといいでしょう。何分間と時間を計らなくても、部屋の中にいて寒いなと感じたら、もう十分空気が入れ替わったと考えてよいのではないか、というのが個人的な見解です」
換気する際には、できる限り対角線上の2方向の窓を開放して、風の入り口と出口をつくるのがポイント。2か所開けることで風の通り道ができて、より効率的に換気できます。
もし部屋に窓が1つしかなければドアを開ける、窓の外に向けてサーキュレーターや扇風機を回すなどして、室内の汚れた空気をできるだけ外に排出するようにしましょう。
室温低下を防ぎながら換気するには?
とはいえ、真冬に窓を全開にするのは、たとえ数分間とはいっても寒くて抵抗感があることも。室温低下を防ぎつつ換気するには、どんな工夫が考えられるでしょうか。
「まず部屋を十分暖めてから換気すること。暖房器具の近くの窓を開けるようにすると入ってくる冷気を暖めるので、急激な室温低下を防ぐことにつながります。全開にするのが寒いなら、窓は少し開けて、その分長めに開けておくようにすると、急激な温度変化がないため体に馴染みやすいかもしれません。
また、人がいない部屋の窓を開けて、廊下などを経由して少し暖められた状態で部屋に取り入れる二段階換気も効果的だと言われています」
出典:厚生労働省ホームページ
「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」より
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
【人がいない部屋の窓を開け、廊下を経由して、少し暖まった状態の新鮮な空気を人のいる部屋に取り入れる換気方法(2段階換気)の例】
2003年7月以降に建てられた家やマンションであれば、居室内に室内の空気を自動で循環させる24時間換気システムの設置が建築基準法で義務づけられています。結露やカビ対策にも効果的なので、「寒いから」ととめてしまわず、うまく活用していきましょう。吸気口と排気口の定期的なお手入れも忘れずにしておきましょう。
空気清浄機はウイルスに効果はある?
病院やオフィスビルの入り口などでよく見かける空気清浄機。これさえあれば空気中のウイルスなども除去されて、換気の必要はないと考えてよいのでしょうか。
「空気清浄機の中でもHEPAフィルターによるろ過式、かつ風量が毎分5㎥メートル以上のものであれば、ウイルスに一定の効果があると言われていますが、換気の代わりになるという風に過信しすぎない方がいいでしょう。窓を開けて空気を入れ換える換気と併用するものぐらいの考え方がよいと思います」
最近は加湿機能がついたものも販売されています。空気清浄機を取り入れる際には、部屋のサイズに合わせたもの、フィルターなどのお手入れがしやすいものを選ぶようにしましょう。
設置する際は直射日光や暖房器具の風・熱が直接あたる場所を避け、吸気口や吹き出し口を防がないように、本体の上部と左右を壁やカーテンなどから離すようにしてください。空気のよどみを発生させないように、外気を取り入れる風向きと空気清浄機の風向きを一致させましょう。
また、エアコンも室内の空気を吸い込んで温度を調整して循環させているだけのものがほとんどで、室内の空気と外気の入れ替えは行っていません。ご自宅のエアコンに換気機能が付いていない場合は、定期的に換気を行ってください。
リクシルでは、効果的に換気を行えるサッシやドア、建具を豊富に取りそろえています。
例えば上桟に換気口がついていてつまみをスライドさせるだけで窓を閉めたまま室内の換気ができる「サーモス段窓排気ファン」を採用した窓や、少しだけ窓を開けて換気したい時に開き幅を制限できる小開口アーム、少し開いた位置で扉を固定できるスライドロックのついた玄関ドアなど。
戸建て、マンションなど条件に合わせた換気対応商品をご提案いたします。
ほんの数分窓を開けて空気を入れ換えるだけでもウイルス対策につながるなら、ぜひ取り入れていきたいですね。次回は引き続き、お部屋の「保温」についてお話を伺っていきます。
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