「やらないこと」を決めると部屋は片付く[第3回]

自分に合った
収納ルールをつくる

空間
リビング・寝室・居室
関心
整理収納

「とりあえず収納グッズを買う」はNG

使う場所に使うものを置くことが基本。取り出しやすさも考えて。

「さあ、片付けをしよう!」と決めたときにやってしまいがちなのが、100円ショップなどでとりあえず収納グッズを購入すること。でも実は、収納用品を最初に買うのはNGだと須藤さんは言います。

「モノが増えるたびに収納グッズを増やしたら、家の中は収納グッズだらけになってしまいます。収納グッズを買う前にやるべきことは、使っていないモノを手放すことです」
 使っていないモノを全部手放してから、残ったモノを見てどこにどうやって収納したら使いやすいかを考えるそうです。

「それを持っている意味は? そこに置く意味は? など、必ずモノを置くときの意味を考えます。そうすると、本当はそこに置かなくてもいいモノがたくさん出てきます」
 そして使う頻度に合わせて収納のしかたを考えていくのです。この時にモノを多く持ちすぎるとそれを把握して覚えていることも難しくなるので、思い切って減らして、適切な数に保つことも必要です。

どんどん溜まる書類の片付け方のポイント

 モノは意識して減らさないと、どんどん増えていってしまいます。その一つが、書類です。

 仕事の書類や、学校からのお手紙、チラシやパンフレットなど、気が付くと溜まっていることが多いのではないでしょうか? これらの中には、すぐに必要だったり、期限があったりするものも多いため、あえてしまわないで机の上などに平置きにしている人もいます。ただ、平置きは見た目にもごちゃごちゃするだけでなく、いざその書類が必要なときに探しにくくなります。

「書類の管理には3つのポイントがあります。1つ目は、取っておく書類と捨てる書類を決めること。必要なくなったものはその場で捨ててしまいます。必要な部分があっても、そこだけメモしたりスマホで撮ったりすれば、捨てられるものも多いと思います。

書類のジャンルが一目でわかりサッとしまえるファイルにレシートなどの細かい書類は入れて。

 2つ目は、すぐにしまえる収納場所やグッズを決めること。私の場合は、仕事の書類は期日ごと、案件ごと、お客様ごとにファイルを作り、ファイルボックスに管理しています。さらにその書類に関する期日を書いたものをインデックスとして貼り付けることで、大事な仕事を忘れないようにしています
 3つ目は、しまった書類を定期的に見直すことです。年末に見直していらない書類を捨てたり、新しい整理のしかたを考えたりして、時々内容を把握しておきます」

 このやり方なら書類が山積みになって行方不明になることもなくなります。書類をわかりやすく管理することでやるべきことが整理されるので、仕事もやりやすくなります。

子ども部屋の収納は細かく分けすぎない

中2の娘さん玲衣ちゃんのお部屋。
家具を白系で統一したことでより広々と感じられる。

須藤さんと玲衣ちゃん。
子ども部屋の収納は娘さんの意見を聞いて使いやすさを考えながら作っていくように。

「子どもが片付けてくれない……」そんな悩みをお持ちの方も多いと思います。子どもが上手に片付けてくれるようにするには、どんな収納を心がければよいのでしょうか?

「子どもの収納を考えるときには、その年齢に応じて片付けやすい方法を考えることが大事です。例えば1~2歳の子どもに、おもちゃをぬいぐるみ、ブロック、電車など分けてしまいなさいと言っても、それは難しいと思うのです」

その子が片付けやすいことを第一に考えましょう。例えば低年齢の場合、おもちゃを入れられる収納袋にお母さまと一緒に片付ける、もう少し大きくなったら、ブロック、人形、ゲームなど、おもちゃの種類別にざっくり分けたボックスに自分で片付ける形にするといった具合です。

「年齢を重ねると子どもも“きちんと派”と“ざっくり派”に分かれてくるので、その子のタイプに合わせて収納法を考えてみるとよいと思います。
“片付けは難しくない”と感じると、片付けが好きな子どもになっていきます。自分で部屋を片付けて“気持ちいい”という体験を重ねていくと、将来大人になったときにその経験が生きてくるのです」

面倒に感じなければ、片付いた状態は続く

カウンター型のキッチンまわりも掃除を考えてモノは極力置かないように。

“きちんと派”と“ざっくり派”に分けて収納方法を考えるのは、大人にも言えることです。

 人にはもともとの性格があります。だから片付けもその人に合った方法があるそうです。最初からきっちり細かい収納のルールを考えて、その状態でなくてはいけないと思うと、辛くなってくることもあります。

「収納ルールに従おうと考えてしまうと、“こうしたい自分”と“できない自分”とのギャップに苦しむこともがあります。そんなとき、自分を責めず、できないなら“どうしたらできるか?”考えてみるのです。そして自分に合った方法を考えてみるのです」

 例えば、外から帰ったときの家族のバッグや上着がいつもリビングに置きっぱなしになっているのが気になるとします。その場合、玄関にフックを付けてバッグやコートをかけるようなしくみを作るだけでも変わってくるかもしれません。

 毎日の行動を考えて一番ラクに片付けられるしくみを考えてみるのです。

「なかなか片付けられないのであれば、そのやり方のどこかに面倒な点があるのだと思います。ただ片付かないと悩む本人は、“収納すべき場所に置くまでが面倒だから片付けられない”ということに気付いていない場合が多いのです。そこを工夫していくだけで、ラクに片付けられるようになります。
 収納ルールを考える場合、最初から完璧である必要はありません。まずはどういった方法なら、使いやすいのか、片付けしやすいのかを考えてみてください。いろいろなアイデアを試してみて、上手くいかなかったらまた別の方法に変えればよいのです。使いやすくて自分が好きなスペースが増えていけば、片付けだけでなく家事も楽しくなってくると思います」

 3回にわたって、「やらないこと」を決める片付け方法を紹介しました。片付け上手は几帳面でマメな人というイメージがありましたが、自分の行動から逆算して片付けやすいしくみを作っていけば、誰でも片付け上手になれることがわかりました。

 暮らしを見直したいとき、引っ越しのとき、ライフスタイルの変化があっとき、片付けは生活の中の様々なシーンで必要となってきます。ぜひ、参考にしてみてください。

≪お話を伺った方≫

須藤昌子さん

整理収納コンサルタント。もともと片付けが好きとのこともあり、整理収納アドバイザー1級の資格を取得。その後、整理収納コンサルトの資格も取得。整理収納・片付けの考え方を伝えるブログが話題になり、2017年Ameba公式トップブロガーに認定。
整理収納サポート、整理収納スタイリングレッスン、整理収納セミナー、コラム執筆、雑誌監修など多方面で活躍。著書に『死んでも床にモノを置かない(すばる舎)』などがある。

撮影◎平野晋子
文◎濱田麻美

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)