「やらないこと」を決めると部屋は片付く[第2回]

“思い込み”をやめると
家事も収納もスッキリ

空間
リビング・寝室・居室
関心
整理収納

「こうするのは当たり前」に疑問を持つ

買いだめは最低限の量で。
残っている食材が把握できるから、無駄なものを買うことが減った。

 片付けでも家事でも、自分が育ってきた過程で身に付けた“こうするのが当たり前”という常識があると思います。ただ、その“当たり前”が自分を苦しめていることも多いと須藤さんは言います。片付けやすいしくみを作っていくためには、こうした思い込みも見直しをしていくのです。

「例えば実家がそうしていたからという理由で、洗いザルは大中小3種類持つのが当たり前だと思っていたとします。でもその思い込みのおかげで、使わない大きさのザルがあっても所有したまま、その置き場に悩まされます」

 実は須藤さんにも、こうした思い込みはたくさんあったそうです。

「私の両親はいつもかなりの食品を買いだめしていました。それが当たり前だと思って育ってきたのです。
 ただ、自分が家事をしていくうえで、買いだめすると、すぐ収納がストックでいっぱいになってしまう、収納がごちゃごちゃしてしまい取り出しにくい、ストック品を把握しきれないと賞味期限が切れてしまうこともあるなど、デメリットも多いことに気付きました。だからこの思い込みを取り払って、自分で新たに“買いだめはしない”というルールを作ったのです」

 結果的に買いだめをしないことで、キッチンの収納庫に余裕が生まれ使いやすくなったそうです。ストックを把握できるので、同じものを買って賞味期限切れにしてしまうこともなくなりました。

 このように、今までの思いこみを変えることで、片付けや掃除がしやすくなることもたくさんあるのです。

マット類はいらない

 バスマットやトイレマットなど、床に当たり前のように置いていたマット類も、ある時から須藤さんは使わなくなりました。

須藤さんのお宅のバスルーム。
バスマットを置かないことで掃除もしやすい。

「お風呂の出入り口にあるバスマットは、お風呂から出たときのために必要なのもだと思っていました。でもバスマットはモノによっては乾きが悪かったり、分厚いものだと洗濯の手間がかかったりします。そこで吸水性のよいタオルに替えたところ、こちらのほうが洗濯しやすく使いやすいことがわかりました」

 このように、当たり前に使っているものでも、自分にとってそれが一番便利なのか、改めて考えてみることもおすすめです。

年末の大掃除はやらない

 同じように、今まで当たり前にしていた習慣も見直すことがあるといいます。例えば日本では恒例の年末の大掃除は、須藤さんのお宅ではやらないそうです。

「片付けと同じく、掃除も毎日ラクにできることを考えて日々過ごしているので、年末にまとめてお掃除ということは、うちはやっていません。年末は忙しいし寒い時期でもありますよね。寒さを我慢して頑張って窓掃除をしたら風邪をひいてしまったという声も聞いたことがあります。特に年配の方は大掃除で頑張りすぎると腰を痛めたりする原因にもなりかねませんので、無理しすぎないことが大切だと思います」

トイレは入ったついでに掃除。
かさばるトイレットペーパー類は棚を設置してすっきり。

 大掃除のようなまとめた掃除よりも、大切なのは毎日の小さな掃除だと言います。歯磨きをしながら洗面所を雑巾で拭いたり、トイレに入ったついでに便座を拭いたりなど、何かをしながら同時にできる“ながら掃除”だけでも、続けることで空間がピカピカになります。こうした小掃除をくり返していれば、いざ大掃除という時も少し手を加えるくらいで済ませることができるのです。

衣類は取り出しやすいボックスに入れて

寝室の横に設けられたウォークインクローゼット。
衣類はボックスに一目でわかるように畳んで収納している。

 衣類の収納といえばタンスを思い浮かべますが、須藤さんのお宅ではあえてタンスは使わずに、小分けにできるボックスを使ってウォークインクローゼットに収納しています。

「うちがウォークインクローゼットを使っているということもありますが、ボックスを使うと深さも幅もある引き出しに比べて衣類が小分けに整理しやすいというメリットがあります。一つのボックスには冬のセーター類、別のボックスにはTシャツなど、ボックスごとに入れる服の種類を決めれば、何がどこにあるかが一目でわかり取り出しやすいですし、季節ごとに使うボックスを取り出しやすい位置に置き替えれば使いやすさも維持できます」

“洋服の収納=タンス”というのも、いくつかの収納の方法の一つにすぎません。思い込みにとらわれず、自分の持ち物や家のつくりに合った収納のしかたを考えていくのです 。

詰め替えることでコンパクトに

スパイス類をまとめた棚。
どんなものがあるかが一目でわかるので、手際よく調理ができる。

 100円ショップなどに行くと、見た目を統一できる詰め替えボトルが売られています。ただ、須藤さんは、詰め替えはしない主義だったそうです。

「いろいろな食品のパッケージには、その製品が最後までおいしく品質が保たれるように考えられた工夫があると思っていました。だから詰め替えは面倒で、衛生的にも不安という気持ちがあったのです」

 そんな須藤さんが詰め替え派に変わったのは、サラダ油をドレッシングボトルに詰め替えてみたときから。欲しい量をフライパンに注げるし、かさばることもなくコンパクトに収納できることに驚きを感じたそうです。

「それからはスパイス類も詰め替えるようにして、一つの引き出しにまとめて収納できるようにしました。この引き出し一つですべてのスパイスが取り出せるので、とても便利なのです」

 こうして自分の思い込みを変えたことで、また一つ便利に使えるお気に入りのコーナーができました。

「自分の思い込みを変えるだけで、改善していける収納スペースは実はたくさんあると思います。自分が使いやすい収納を考えることは、私にとってはクリエイティブで楽しい作業でもあるのです」

 第2回は“思い込み”を変えることで便利になる片付けを紹介しました。第3回は須藤さんが行っている、モノが自然に片付くためのルールについて教えてもらいます。

(第3回に続く)

≪お話を伺った方≫

須藤昌子さん

整理収納コンサルタント。もともと片付けが好きとのこともあり、整理収納アドバイザー1級の資格を取得。その後、整理収納コンサルトの資格も取得。整理収納・片付けの考え方を伝えるブログが話題になり、2017年Ameba公式トップブロガーに認定。
整理収納サポート、整理収納スタイリングレッスン、整理収納セミナー、コラム執筆、雑誌監修など多方面で活躍。著書に『死んでも床にモノを置かない(すばる舎)』などがある。

撮影◎平野晋子
文◎濱田麻美

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)