資金計画はプロに頼るべし!
第1回でお伝えした通り、中古住宅を選ぶ一番の利点は、新築に比べて費用が抑えられる点にあります。
とはいえ、余裕のある資金計画を立てておかなければ、中古住宅でも長年のローン返済に追われかねません。
では、どのくらいの費用で家を購入すればいいのでしょうか。西村さんが提唱する「ゼロリノベ」では、目安として「手取り年収をもとにした『返済比率20%』以内」という数字を掲げています。
ただし、同じ世帯年収でも、家族構成や資産状況、お金の使い方などによって、実際に使えるお金は各家庭で異なるでしょう。そのため、西村さんは「ファイナンシャルプランナーへの相談」を推奨しています。
「『銀行が貸してくれるから大丈夫だろう』と、何千万円もの見積もりにサインしてしまう人も多いです。しかし、住宅ローンを借入可能額の満額で借りてしまえば、趣味や旅行などに使うお金が限られてくる上、想定外のことが起きた際に対処するのが難しくなります。ぜひ、まずはファイナンシャルプランナーなどのプロに相談の上、無理のない返済額を算出してください」
「また、月日とともに収入、支出は変わっていくものです。できれば購入時だけでなく、3年、5年、10年といった節目ごとに、軌道修正をしながら、適切に返済が進められているのかをプロにチェックしてもらいましょう」
物件選びのポイント1:建物構造に目を向ける
内装やきれいさといった表面的な要素だけを見て物件を選ぶと、後々後悔することになりかねません。なぜなら、建物の劣化具合や腐食、メンテナンス状況などの重要項目は、パッと見ただけではわからないからです。
長く安心して暮らせる中古物件を選ぶには、基礎や柱、屋根といった、建物の構造部分に問題がないかを確認する必要があります。そのため、家を購入する前はぜひ「ホームインスペクション(建物の劣化具合や欠陥の有無などを専門家が調査する住宅診断)」を受けることがおすすめです。
物件選びのポイント2:優先順位を決める
立地の良さや広さ、耐震性など、物件選びにはさまざまなチェックポイントがあります。とはいえ、すべてをクリアできる物件はなかなか見つからないものです。
西村さんは、物件を選ぶ際に「求める条件を取捨選択する」必要があると語ります。
「大切なのは、マイホームに求める条件に優先順位をつけ、その上位に当てはまる物件から選んでいくことです。何件も物件を見ているのに決められないという場合にも、優先順位の高い条件を3つ程度に絞り、それに当てはまる物件のみを候補に残すと良いでしょう」
物件選びのポイント3:最後は自分の感覚を信じる
何件か候補が残った場合、西村さんは、最終的に「物件に最初に入ったときのインスピレーション」で選ぶことをおすすめしています。
「いままで携わったお客さまを見ていると、なんとなく気の流れがいい、清々しいといった『なんかいいな』という感覚を信じたほうが、物件選びがうまくいきやすい傾向にあるんです。どうしても迷ってしまったら、最後は自分の感覚を信じてほしいと思います」
戸建てとマンション、どっちがいいの?
中古物件を選ぶ際、戸建てとマンションで迷う方もいるでしょう。
戸建ての良さは、なんといっても「マイホーム」が持てること。人によっては庭付きの家に住むことに夢を抱いていたり、周囲の人に気を使わずに済むといった理由で、戸建てを望まれる方もいるでしょう。
しかし、中には予算の関係で、戸建てを諦めざるをえない人もいるかもしれません。ただし西村さんによると、中古マンションには以下のようなメリットがあるそうです。
●予算の見込みが立てやすい
木造戸建ての場合、RC造(鉄筋コンクリート造)のマンションに比べて耐用年数が短く、築年数が古い物件なら、メンテナンスの状況によっては経年劣化が激しく進んでいる可能性があります。
また、ホームインスペクションで調査できる範囲は限られており、基礎や柱、屋根といった建物の構造部分の一部に関して、スケルトン状態にしなければわからない問題が潜んでいることも。解体後に修繕が必要だと判明すれば、当然費用はかさみます。場合によっては100〜200万円単位で当初の予算を超えることもあるかもしれません。
その点、RC造のマンションは耐用年数が長いため、戸建てに比べて修繕費を抑えやすく、リスクを回避した予算の見込みを立てやすいという利点があります。
●メンテナンスが楽
画像提供◎Shutterstock
戸建ての場合、水漏れを防ぐため、一般的には10年、20年のサイクルで外壁を塗装したり、防水工事を行う必要があります。
とはいえ、建物が傷む前に修繕が必要な箇所を自分で確認し、業者を探してメンテナンス、という作業を続けていくのは、決して楽なことではないでしょう。
一方マンションであれば、管理組合の管轄の元、住人全員で建物を管理していくので、メンテナンスの計画を個人で立てる必要がありません。
戸建てには戸建ての良さ、マンションにはマンションの良さがあります。
それぞれのメリット・デメリットを考慮した上で、自分のこだわりにマッチする住まいを検討してみてはいかがでしょうか。
次回の記事では、物件探しが終わった後のステップ「リノベーションのプランニング」について解説します。
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