大きな利点は「費用」と「立地」!
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中古住宅を選ぶ一番のメリットは、やはり新築に比べて費用が抑えられることでしょう。
国土交通省の調査(令和2年度 住宅市場動向調査報告書)によると、新築の平均購入費用は、分譲戸建住宅が3,826万円、注文住宅が土地代込みで4,606万円となっています。一方、中古戸建の平均購入費用は2,894万円です。
新築と比べると、分譲戸建住宅より約1,000万円、注文住宅より約1,700万円も中古のほうが安いのです。
分譲戸建住宅のような既製品は、多くの人に合うように作られているものの、細かい部分で自分とマッチしないと感じる人もいるかもしれません。だからといって注文住宅にすると、当然費用がかさみます。
でも中古住宅をリノベーションすれば、細かい部分まで自分の好み、こだわりを突き詰めた間取りやデザインにしながらも、費用を抑えることができるのです。
新築に比べて立地の良い場所に住みやすい点も、中古住宅を選ぶメリットといえます。都心部や駅近といった利便性の高いエリアは、すでに住宅や商業施設で埋まっていることが多く、希望に沿うような土地を確保するのが至難の業です。
仮に土地が見つかっても、広さを十分に確保できなかったり、土地代が高く、予算をオーバーしてしまうような可能性もあるでしょう。
その点、中古住宅であれば価格を抑えた上で、立地の良い場所に住むことが可能です。
住まいにおけるプチストレスを軽減できる
ほかにも、「住まいにおけるプチストレスを軽減できる点」が大きなメリットだと西村さんは語ります。
「賃貸物件に住んだことがある方なら、『なんでここにスイッチがあるんだろう』『ここにコンセントがあればいいのに』などと思った経験があるはずです。スイッチやコンセントの位置といった小さな不満でも、毎日蓄積すればストレスになります。こういった小さなストレスをすべて解消できることも、リノベーションの大きな魅力です」
西村さん自身、住まいをリノベーションしたことで、ご自身のストレスが軽減したといいます。
「たとえば、脱いだばかりの上着をクローゼットに入れることに抵抗がある方は多いと思います。以前の私もそうで、しばらくは椅子にかけていました。ですが、妻は椅子にものがかけてあるのが嫌いで、小言をいわれたものです。
このような問題は、クローゼットの他に上着をかけられる場所があれば解決します。実際、私も上着をかけるフックをひとつ取り付けるだけで、この不満を解消することができました」
コロナ禍以降はテレワークの普及により、家にいる時間が長くなった人が増えています。テレワーク時代において、住まいの快適性を向上させることは、ストレスを軽減するひとつのカギだといえるのではないでしょうか。
デメリットも考慮した上で検討を
中古住宅のリノベーションには、デメリットや注意点もあります。
まず、築年数が古い物件は、メンテナンス状況にもよりますが、工事費用が高くなる傾向にあります。経年劣化が激しく進んでいる場合、多くの箇所で修繕が必要になるからです。
とくに、基礎や柱、屋根といった建物の構造部分の劣化が激しい場合は、大規模な修繕が必要になるため、想定よりも費用がふくらんでしまうことがあります。
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また、中古住宅のリノベーションは、建売住宅と比べると工事期間が長く、入居までに時間がかかります。
リノベーションの規模にもよりますが、平均で3〜4カ月ほどの工事期間を必要とします。物件探しから始める場合は、購入〜工事が完了するまでに8カ月〜1年程度かかると考えておくべきでしょう。
税制上の問題もあります。西村さんによると、親から家を譲り受けたいと思ったものの、相続税が高いため、手放さざるを得なかったというケースが往々にしてあるそうです。
「残念ながら、中古住宅をリノベーションしやすい法制上の環境が現状整えられているとはいいがたいでしょう。中古住宅の活用は、昨今増えている空き家問題を解決する手段でもあるのです。今後、国が法律や権利、補助金などの制度を整備することで、もっと多くの人が中古住宅を活用しやすくなることを願っています」
次回の記事では、中古住宅をリノベーションする上で必要な「資金計画」「物件探し」のポイントについて解説します。
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