照明を変えれば、人生は変わる![第2回]

間接照明の工夫で空間が激変!

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目的に合わせて照明を選ぶ

 家庭で使う照明器具には、ダウンライトやペンダントライトといった天井照明や、スタンドライトをはじめとする手元照明など、さまざまな種類があります。
 また、照明の方法は、壁面や天井などに反射させて照らす「間接照明」と、光源から直接人や物に光を当てる「直接照明」の2種類に分かれます。
 これらは、どのように使い分ければいいのでしょうか。

アッパータイプのブラケットを使った間接照明。

 照明器具をインテリアとして見る向きもありますが、梅田さんは「見栄えだけでなく、目的に合わせて選ぶことが大事」だと語ります。

「ポイントは、どの場所で、どんな行為をするのかを基準に照明を選ぶことです。たとえば、何かを読んだり作業をしたりする時には、ダウンライトやスタンドライトなどの直接照明を使うと、効率的に光を当てることができます。

 一方、間接照明が便利なのは、たとえばテレビを見るリビングです。テレビはそれ自体が発光しているので、後ろの壁を間接照明で照らすと、目によいとされています。テレビ画面と後ろの壁面の明るさの差が激しいと、目が疲労するからです。この場合、テレビの真後ろに照明を置いて壁を照らすと良いでしょう」

寝室にダウンライトはいらない!?

 空間全体をやわらかな光で包み込んでくれる間接照明。「照明が身体に与える影響」という側面から考えても、落ち着いた雰囲気を演出してくれるので、リラックス効果が期待できるほか、光源が直接目に入らないので、目に優しいというメリットがあります。

 その特長から、間接照明は住居の中でも、特に寝室と相性がよさそうです。
 梅田さんも、「寝室が寝るだけの空間なら、間接照明だけで十分」だといいます。

「寝るだけの空間に、ダウンライトなどの天井照明は必ずしも必要ありません。むしろ、ベッドに横になった時にダウンライトをつけると、光源が目に入って眩しく、目によくありません。間接照明の優れたところは、局部照明だけでなく、全般照明にもなるところです。寝室全体を明るくしたいなら、アッパータイプのブラケット照明を天井に当てるなどすれば、全般照明になります」

 寝室で間接照明を使うなら、スタンドライトがおすすめだそうです。

「首が回るスタンドライトがあれば、本を読むための手元照明として使えるだけでなく、上向きにして天井に反射させれば間接照明にもなります。寝室以外の空間でも、スタンドライトを上手に使えば、昼間と夜で照明を切り替えられます。たとえば、リビングの天井照明が明るく白っぽい光しか出せないなら、夜は天井照明を消し、オレンジ色の光が出るスタンドライトを使って壁や天井を照らせば、一日を通して快適に過ごすことができます」

照明を当てる面にも気を配る

 梅田さんはさらに、「間接照明で快適な空間をつくるには、照明を当てる壁や天井などの面にも気を配る必要がある」と指摘します。

 当然のことながら、白っぽい面ほど多くの光を反射し、空間を明るく照らします。そのため機能を重視するなら、明るい面に間接照明を当てるのが効果的です。また、光沢のある面は光源が映り込んでしまうため、なるべくマットな仕上げにしておくことが重要です。

 間接照明を使って快適な空間をつくりたいなら、照明だけでなく、照明を当てるものについても考慮する必要があるというお話でした。
 自分ひとりでは難しいなら、照明デザイナーをはじめとする専門家の方にご相談してみてはいかがでしょうか。

(第3回に続く)

〈お話を伺った方〉

梅田かおりさん

照明デザイナー。1989年千葉大学工学部工業意匠学科を卒業。1989年~TLヤマギワ研究所照明計画室、1998年~ヤマギワ(株)商品企画開発室勤務。1998~1999年、フィンランドのヘルシンキ芸術デザイン大学(現アアルト大学)にてモノづくりを学び、2000年~現地の設備設計事務所に照明デザイナーとして勤務。帰国後仙台でフリーランスの後、2006年にライティングデザインスタジオLUMEを開設。国際照明デザイナー協会(IALD)会員。
照明計画空間分野は、空港、オフィスビル、住宅、店舗、ホテル、学校、幼稚園、クリニック、老人ホーム、博物館、美術館、ライトアップ、町全体の外構、日本庭園など多数。
http://www.studiolume.com/

文◎八木麻里恵
画像提供◎Shutterstock

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