照明を変えれば、人生は変わる![第1回]

カギは「太陽光」にアリ! 快適な生活空間をつくるコツ

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照明の光は太陽光を真似てつくられている

 家庭用の照明でよく使われている蛍光灯やLED電球には色の種類があり、一般的に「昼光色」「昼白色」「温白色」「電球色」の4種類があります。けれども、それぞれの色の違いがわからず、何となく選んでいるという方も多いのではないでしょうか。

 梅田さんは、照明の色を選ぶカギは「太陽光」にあると話します。

「基本的に、照明の色は太陽光を真似てつくられています。たとえば、白っぽい昼白色は昼間の太陽の色を真似しているし、オレンジっぽい電球色は夕方の太陽の色を真似しています。太陽光は朝から夕方まで色味が変化しますが、その中からメーカーがいくつかピックアップして照明の色がつくられています。

 人間は長い間、日の出とともに活動して、日没になったら休むというサイクルで生活してきました。だからこそ、人間の身体は1日を通じた太陽光と同じ明るさと色の光を一番快適だと感じるようにできています」

一日の生活シーンに合わせて
照明を着替えよう

 人間の身体は太陽光と同じ明るさと色を快適だと感じるからこそ、照明も「太陽光に合わせて変えていくことが大事」と梅田さん。

「昼間に活発に動きたいなら、太陽光と同じように、明るい昼白色の光の中にいると効率的に動くことができます。逆に、夜に明るく白っぽい光の中で過ごしていると、身体が疲れてしまってストレスになります。そのため、いつまでも煌々と明るく照らすより、寝る時間に合わせて暗くしていくと、ストレスが抑えられます」

 時間経過とともに照明を変えていくことで、「眠れない」という悩みも解決できる可能性があるといいます。

「夜に昼間の太陽光のような光の中にいると、睡眠に深く関わるホルモンであるメラトニンの分泌が抑えられ、寝付きが悪くなります。この問題を解決するには、メラトニンの抑制をしない光環境をつくるのが効果的です。朝は太陽光とともに起きて、夜になったら暗くしていく。とくに、寝る1~2時間前は照明の色を電球色にし、明るさも段々と落としていくと、身体が自然と就寝モードに入っていきます。それと同時にコロナで外出が減る中、うつ予防のためにも朝にきちんと太陽光もしくは白い明るい光を浴びることも大事です」

照明の明るさと色のバランスで
快適度が決まる

 照明を変える時は、色だけでなく、明るさも考慮する必要があるといいます。

「照明の色と明るさが合っていないと、人は違和感を覚えます。たとえば、『昼白色』の照明に調光をかけて暗くしていくと、寒々しく不快に感じることもあります。これは、人が無意識のうちに、『昼間の太陽と同じ白い光は、明るくなくてはならない』と感じるからです。同様に、明るすぎるオレンジの光は暑苦しく感じるでしょう。

 快適度は、照明の色と明るさのバランスによって変化しますが、傾向としては、白っぽい光は明るくするのが大事です」

調光照明で快適な生活を手に入れる

 梅田さんは「理想的なのは、太陽光と同じように、昼から晩にかけて段々と色と明るさを変えていくこと」と話します。
 昔ながらの蛍光灯や電球では、時間帯に合わせて色や明るさを切り替えるのは難しかったでしょう。しかし、LED技術の向上により、光の色や明るさを簡単に調節できるようになりました。

「調光調色照明を使えば、スイッチひとつで昼白色から電球色に変えられるだけでなく、明るさまで調節できます。また、照明のIoT化も進み、スマートスピーカーと連携している商品や、色と明るさを自動的に制御してくれる商品なども出てきています。簡単に照明の色と明るさを変えられる調光の装置を取り入れ、より快適で便利な生活を送ってみてはいかがでしょうか」

 次回は、間接照明を使って快適な空間をつくるコツをお伝えします。

LIXILのIoTホームLink

www.lixil.co.jp/lineup/zehiot/iot/

LIXILの採光リフォーム事例

www.lixil.co.jp/reform/case-rf/lighting/?page_id=1

〈お話を伺った方〉

梅田かおりさん

照明デザイナー。1989年千葉大学工学部工業意匠学科を卒業。1989年~TLヤマギワ研究所照明計画室、1998年~ヤマギワ(株)商品企画開発室勤務。1998~1999年、フィンランドのヘルシンキ芸術デザイン大学(現アアルト大学)にてモノづくりを学び、2000年~現地の設備設計事務所に照明デザイナーとして勤務。帰国後仙台でフリーランスの後、2006年にライティングデザインスタジオLUMEを開設。国際照明デザイナー協会(IALD)会員。
照明計画空間分野は、空港、オフィスビル、住宅、店舗、ホテル、学校、幼稚園、クリニック、老人ホーム、博物館、美術館、ライトアップ、町全体の外構、日本庭園など多数。
http://www.studiolume.com/

文◎八木麻里恵
画像提供◎Shutterstock

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