「外飼い」はありえない
現代では、狩猟犬などごく一部を除いては、「室内飼い」を選択します。かつては庭に犬小屋を置いて飼っている家庭が少なくありませんでした。しかし、「吠えてうるさい」と苦情が来ることもあり、都市部では外飼いの犬は見かけなくなりました。
「理由はそれだけではありません。不審者が毒入りのエサを与える事件もありました。また、外飼いの犬は常にリードでつながれていますから、一見のびのびしていそうに見えて、むしろストレスの元になっているのです」と古銭正彦さん。
しかし、ずっと室内に犬を閉じ込めておくのも犬に負担がかかります。毎日の散歩や、たまにドッグランに連れて行くことは欠かせません。
キーポイントホームの施工例。リビングから続くウッドデッキに温水が出るシャワーを設けるウッドデッキならば、オーニングをつけるのも面白いアイデアです。雨などで散歩に出られない日でも、オーニングを広げれば犬と一緒に外の空気を吸うこともできます。「おうちドッグカフェ」のような使い方も出来ます。
「玄関周りに『水場』を作ることが必要になってきます。散歩から帰ってきた犬の脚を洗ってから部屋に上がるようにするためです」という阿保昌子さん。
「玄関横にお湯と水を出せるシャワーを取り付けるのがベストな選択です。あるいは、一階のリビングの窓にウッドデッキを設けて、そこに水場を作っても良いでしょう」
「弊社のある青森県弘前市のような寒冷地ならば、玄関に『風除室』を作りますから、その中に水場を作ることもあります。真冬でも愛犬を洗ってあげたり、タオルで拭き上げることもできます。コンセントを設けておけば、ドライヤーも使えます」
エアコンは必須。
災害時に備えたリフォームも
気候変動のせいか、毎年、酷暑が続く日本。夏場は、飼い主が出かけるときも、犬がいる一部屋はエアコンをつけっぱなしにしなくてはなりません。
「窓を開けて換気をしても、連日30度を超えるような季節は、犬や猫には負担が大きいのです。もし飼い主が出かけているときに停電になったらどうでしょう」と古銭さんは示唆します。
ペットがずっといる部屋には、エアコンを。
「地震などの災害で家に帰れず、停電になってしまう危険性は十分考えられます。一昨年の台風で、千葉県の一部は1か月近く停電から復帰できない地域がありました。それは極端としても、1~2日エアコンが使えないことはあり得ます。そういう事態を想定して太陽光発電設備や、家庭用蓄電設備の導入を考えるのも良いのではないかと思います」
家庭用太陽光発電での売電価格が下がっていることもあり、家庭用蓄電池は安価で性能の良い蓄電池の開発が期待されます。かけがえのない家族のために導入を考えてみるのもいいでしょう。また、ハイブリッド自動車を家庭用電源につないでエマージェンシー電源にするという手もあります。
ワンちゃんと暮らすことで変わる生活
最後に、犬と暮らすことのメリットを古銭さんにうかがったところ、「犬と暮らすことで変わるのは、実は、人の生活です。リフォームも、これからの犬と一緒の人生を描きながらの計画をお勧めします」という古銭さん。
「例えば、作家の野田知祐さんに憧れて、犬と暮らすことをきっかけにカヌーを始めた人がいます。野田さんと愛犬『ガク』のように、一緒にカヌーに乗る生活をしようと思ったんですね。犬と暮らすというのは、ただ部屋の中で犬を飼って散歩に連れていくということではありません。犬と何かをしたり、犬のために何かをしてあげたりすることで、より自分の生活が楽しくなるという『チェンジオブライフ』の良い例です」
フリスビーを使って広い原っぱや公園で遊ぶ。サーフィンをする。キャンプに行く。一緒に旅行するために車をワゴンに変える。散歩から犬とのジョギングに切り替える……。
犬と暮らすことで、自分の生活が一変するかもしれません。ガレージをリフォームしてカヌーやサーフボードを収納したり、新しくトライする何かを思い描く。そうしてリフォームを計画すれば、より素敵な人生が待っています。
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