ニューノーマルで自炊を楽しむ![春のごちそう] 第3回

「ほろ苦」で活力アップ! 春野菜と山菜の土鍋蒸し焼き

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春の野菜や山菜の苦みは
冬のなまった身体を覚醒させる

山菜は、栽培ものなら2月初旬から、天然物は3月の中頃から出回ります。

 冬眠をする熊などの野生動物は、春になると木の芽や山菜などあくが強く「苦い」植物を食べます。冬眠から目覚めたばかりのなまった体を目覚めさせるために、あえて取り入れるのではないかといわれています。

 春に採れる野菜や山菜は、「苦い」ものが少なくありません。ふきのとうや菜の花、ワラビのようにあく抜きをしなければ食べられないものもあります。春野菜の苦み成分には、代謝促進や老廃物排出などデトックス効果があるといわれ、冬に溜め込んだ老廃物をすっきりさせるためにうってつけの食材でもあります。

春野菜と山菜を
土鍋で蒸し焼きに

 春の野菜や山菜の調理法として、一般的なのは天ぷら。油で揚げることで苦みやえぐみが覆い隠されます。けれど、普段料理をしない人にとって揚げ物はハードルが高すぎます。そこで、「春野菜と山菜の土鍋蒸し焼き」をご紹介します。

 100円ショップなどで売っている小さい土鍋を用意します。ここに、ごま油やオリーブオイルでさっと和えた菜の花やタケノコなどの春野菜、こごみやふきのとう、たらの芽などの山菜を入れて、火にかけて蒸し焼きにするだけです。
 味付けには、塩気の強い中国の金華ハムや、イタリアの豚の塩漬け肉であるパンチェッタなどを一緒に入れます。手に入らない場合は、薄切りの生ハムや、角切りベーコンでも代用できます。今回は、薄切りの生ハムを使います。

奥さまと一緒にもう一品!
大根と鶏手羽の煮(た)いたん

 さらにもうひと品、春の終わりまでが旬の「大根」を使ったごちそうを。輪切りにして皮を剥いた大根と、骨付きの肉、例えば鶏の手羽先や手羽元、豚のスペアリブなどを、昆布とあっさり煮た料理はいかがでしょう。

 大根はやはり辛みや苦みを持っています。おでんなどの大根は下ゆでをして苦みを取るのですが、むしろこの苦み活かして、春野菜の蒸し焼きとテイストを合わせます。

 骨付きの肉から出るだしと昆布の軽やかな旨みを引き出すために、ほんのひとつまみの塩を加え、沸騰しないようにごく弱火で1時間くらい煮ます。大根が柔らかくなったらできあがり。あえて醤油や砂糖、みりん、酒などでしっかり味付けする煮方ではなく、ほろ苦さを味わう蒸し焼きと合わせるので、こちらも淡い味で仕上げるというわけです。

だいこんの皮や葉は捨てず
常備菜の即席漬けに

 大根の皮や葉は捨ててしまわずに、即席漬けにしましょう。ジップロックやタッパーなどの容器に昆布をひとかけら入れ、醤油とお酢を適量。そこに種を抜いた鷹の爪を1本入れ、太めの千切りにした大根の皮や長さを切り揃えた葉の部分を入れます。2時間ほど冷蔵庫に入れておけば、即席漬けの完成です。常備菜としてごはんのおともやお酒のあてにもなります。

春野菜の土鍋蒸し焼き

【材料】(4人前)

  • タケノコ(水煮)
    先端の部分1本
  • 菜の花
    1/2束
  • こごみ
    8〜12本
  • ふきのとう
    4個
  • たらの芽
    4本
  • 薄切りの生ハム(※1)
    6〜8枚
  • オリーブオイル
    大さじ2程度
  • キャベツの外葉
    2枚くらい

※ 山菜はそのとき八百屋さんなどで手に入るものでかまいません。山菜があまり多すぎると全体に苦みが強く感じてしまうので、菜の花やたけのこでバランスを取りましょう。
※1:角切りのベーコン、パンチェッタ、金華ハムなどでも可。

【作り方】

1:野菜を切る

(1) タケノコは薄切りに。
(2) 菜の花は洗って水気を取り、根元を数mm切り落とします。
(3) こごみなども根元部分を数mm切り落とします。
(4) ふきのとうはつぼみが閉じているものなら、根元の土が付いている部分を削るだけでいいでしょう。開いている場合は、つぼみの中も掃除します。
(5) タラの芽は根元を数mm切り落とし、根元の外側の堅い部分を包丁で削ります。

2:山菜、野菜を油で和える

ボウルに入れた山菜と野菜にオリーブオイルをかけ、全体に回るように和えます。

3:蒸し焼き

 土鍋に焦げ付き防止のためにキャベツの外葉を敷き、その上に山菜や野菜を盛り込みます。間に生ハムを挟みます。蓋をしてコンロに乗せ、中弱火で蒸し焼きに。途中で焦げるような臭いがしたら、水を30ccほど入れ、弱火にしましょう。5〜7分でできあがりです。

大根と鶏手羽の煮(た)いたん

【材料】(4人前)

  • 大根
    1本
  • 鶏手羽元(※1)
    8〜12本
  • 昆布
    ひとかけ

  • ひとつまみ
  • 醤油
    適宜
  • 実山椒(あれば)
    適宜

※1:手羽先や骨付きの豚のスペアリブでもいいでしょう。

【作り方】

1:具材を切る

 大根は3〜4cmの厚さの輪切りにして、厚め(3〜5mm)に皮を剥きます。大根の下ごしらえとして、煮崩れ防止の面取りや包丁で十字に切り込みを入れる場合もありますが、あまり気にする必要はありません。

 鶏手羽は、臭みを取るために40〜50℃くらいのお湯でドリップ(肉から出た水分)などを洗い流します。鍋に昆布と鶏手羽、大根を入れ、具材がかぶるくらいに水を張り、とろ火で煮始めます。この時、塩をひとつまみ入れます。水でゆでこぼしてあく抜きをした実山椒がもしあれば、それもひとつまみ入れると味が締まります。ない場合は、食べる時に粉山椒を振ってもいいでしょう。

2:煮く(たく)

 弱火で2時間ほど、グラグラと沸騰しないようにたきます。この時に火が強いと鶏手羽からあくが出ます。もし出てしまった場合は、お玉などで取り除きましょう。竹串が大根にすっと刺さるくらい柔らかくなれば、たき上がりです。ここで醤油を入れます。鍋の大きさにもよりますが、淡い味に仕上げますので、大根1本に対して30〜40cc程度が目安です。一般的な家庭のお玉が50ccくらいです。


文・写真◎坂井淳一

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