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コロナ禍で、おうちにいる時間が増えています。外食もままならず、家で毎日3食を作らなければいけないお母さんは大変です。ならば、お父さんもごはんを作ってみませんか? 簡単に作れて“ごちそう”感があり、食卓を囲む誰もが幸せになれる料理をご紹介します。第1回は、春らしい桜鯛と採れたての新わかめの「ふりふり鍋」です。
日本では、多くの家庭で食事を作るのはまだまだ女性というケースがほとんど。ある調査会社のアンケートでは、週3回以上料理をする女性は72%なのに対し、男性は23%という結果が出ています。男性の割合は30代になると17%に下がり、40代では11.5%だそうです。
包丁を使い慣れない人には、キャベツの千切りも難易度が高い。
多くの男性は、料理が「苦手だ」と言います。その理由について普段料理をしない男性たちに尋ねたところ、「包丁が使えない」「火加減がわからない」「調味料などの分量がわからない」という3点があげられました。そして、ほぼすべての男性から「包丁が怖い」という意見もあがりました。
ならば、この3つのポイントをクリアできる料理はいかがでしょうか。特に、包丁で何かを切る工程をなるべく減らせば、普段料理をしない男性でも簡単にごちそうを作ることができます。料理男子になって、奥さまやお子さまと一緒にごちそうを楽しみましょう。
春はさまざまな食材が出回り始める季節です。特に、魚の王様、真鯛はこの時期が食べ頃。桜の季節にちなんで「桜鯛」と呼ばれますが、桜色を思わせる美味しそうな見た目だけでなく、産卵を控えて冬の間にたっぷりと栄養が蓄えられ、一年で一番美味しい時期なのです。
鯛で有名な兵庫県・明石には「鯛のふりふり」という料理があります。薄く切った鯛の身を淡い味のだしにくぐらせていただくしゃぶしゃぶです。だしの中でゆっくりと振ることから「ふりふり」と呼ばれるようになりました。
今回は三陸地方の「ナンブワカメ」を使用。肉厚で葉の切れ込みが深く、シャキシャキとした食感が特徴です。
春先になるとこのふりふり鍋は、明石名産の生の新わかめが添えられます。生の新わかめは塩蔵や干しわかめと比べ食感が柔らかく、香りや味わいも段違い。それを旬の桜鯛と一緒にいただけば、普段は味噌汁の具や酢の物などの座に甘んじているわかめが、堂々たる主役になること請け合いです。
わかめは水洗いをして適当な大きさに切るだけ。添える野菜や豆腐なども食べやすい大きさに切ればOKなので、包丁使いが苦手でも安心です。わかめの茎の部分は少し堅いので切り離し、湯がいてから包丁で細かくたたいて酢の物にしてもいいでしょう。そして鯛はすでに切れている「お刺身」を用意。あとはお皿に盛り付けるだけで完成なので、料理をほとんどしたことがないお父さんでも失敗なく作ることができます。
ふりふり用の出汁
調味料
水と昆布をひとかけら入れ冷蔵庫で一晩おくと、翌日には美味しい昆布だしが取れます。
ボウルなどに水を入れ、そこに昆布を入れて最低30分おきます。前もって一晩浸けておけば、旨みたっぷりの昆布だしがとれます。コーヒーや紅茶用の水出しポットなどを使ってもいいでしょう。
(1)生の新わかめはさっと水で洗い、ざるで水を切っておきます。適当な大きさに包丁で切りましょう。
(2)豆腐は食べやすい大きさに切ります。
(3)生しいたけは、軸を切り離します。傘に十文字に飾り包丁を入れてもかまいませんが、包丁使いに自信がなければそのままでも問題ありません。
(4)エノキはお尻の菌床部分を切り、小分けにします。
(5)長ネギは斜め切りにします。青ネギの場合は、5センチくらいに長さを揃えて切ります。
(1)~(5)を器に盛り付ければ準備OKです。ポン酢に加える柚子などのかんきつ類は、別皿で用意しましょう。
点火して、鍋の中のだしを沸騰させます。カセットコンロを使用する場合は、あらかじめガスコンロで温めてからテーブルの上のコンロに移すと火のまわりが早いです。
まずは、ぜひわかめから。箸でつまんで鍋の中で2~3度「ふりふり」すると、さっと色が変わって火が通ります。これを、かんきつを絞ったポン酢に浸けていただきます。
続いて、鯛の切り身を。刺身なので、表面がさっと白くなるくらいで大丈夫です。わかめと鯛を楽しんだら野菜を鍋に入れ、少し煮てからいただきましょう。主役はあくまでわかめと鯛なので、野菜はさほどたくさん用意しなくても大丈夫です。途中でポン酢に柚子胡椒やかんずりなどの薬味を加え、味を変えるのもいいかもしれません。
鍋が終わった後のだしは、昆布の旨みに加えて、鯛、わかめ、野菜の味が加わります。お醤油を加えて味を調え、茹でた素麺にかけて〆をいただくのもいいでしょう。
文・写真◎坂井淳一