リフォームコンシェルジュに聞く「お悩み」解決策 [第2回]

暮らしの「お悩み」を解決するリフォーム

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悩みリフォーム

お悩み事例①
:冬寒く、夏暑い

 住まいのお悩みの中でも「冬寒く、夏暑い」という悩みは大きいですよね。

「単に不快なだけでなく、冬は暖かい部屋から寒い浴室やトイレに入った際などに起こることがある“ヒートショック”の原因になりますし、夏は高齢者に多い“熱中症”の原因になることもあります。

 こうした季節による家の温度差を解決することができるのが“断熱リフォーム”です。もともと日本の家は『家のつくりようは夏をもって旨とすべし』という兼好法師の格言にもあるように、夏を主体に作られています。ところが地球温暖化の影響で夏は猛暑になってしまい、冬だけでなく夏も快適に過ごせない家になってしまっていることがあります」

浴室と部屋との温度差を少なくする浴室の窓のリフォーム。

 断熱リフォームは、部屋の断熱性が上がるので、部屋が適温を維持しやすくなり、冷暖房にかかる電気代が削減できるほかに、音が漏れにくくなるなどのメリットもあるそうです。

「部屋の断熱を上げるには、断熱性の高い窓に変えたり、窓の内側にもう一つ窓をつけたりする方法があります。床と壁は断熱材を追加します。予算に応じて窓だけリフォームするといったことも可能です。高齢者がいらっしゃるご家庭は、バスルームや脱衣所、トイレなど、ヒートショックが心配な場所だけを断熱する方法もあります。浴室の窓の内側にサッシを設けると、冷え込みをだいぶ改善することができます」

「冬のお風呂はヒートショックにご用心」
www.lixil.co.jp/lineup/window/s/tostemmagazine/knowledge/article-018/

お悩み事例②
:収納が足りない

 収納が足りなくて、いつも部屋が散らかっているというお悩みを解決するには、どんなリフォームがおすすめですか?

「どこにどんなものを収納したいのかをはっきりさせることが大切です。例えば、服の出し入れがしにくくて出しっぱなしになってしまっているなら、押し入れ部分と畳一畳分を使ってウォークインクローゼットを作ることができます。リビングをすっきりさせたいのであれば、壁面全体に収納できる造り付け棚を設置するのもよいと思います。まずは現在のお悩みを伺い、何をどういう風に収納すれば使いやすいかを明確にしていきます」

 収納場所を考えるときに気をつけることはありますか?

壁一面を、取り出しやすく、使いやすい収納に。

「使う場所の近くに収納スペースを設けることがおすすめです。それから、高い場所に収納すると、高齢の方は取りにくくなってしまうので、なるべく目線以下に収納スペースを設けることをおすすめします」

「収納・収納部材一覧」
www.lixil.co.jp/lineup/livingroom_bedroom/storage/

お悩み事例③
:仕事ができる場所が欲しい

 コロナ禍以降、自宅で仕事をする方はずいぶん増えました。一方で、落ち着いて仕事ができるスペースがないというお悩みもよく聞くところです。

リビングの一角にワークスペースを設けるのも便利。

「『ワークスペースの確保に一部屋を割くことは難しいけど、どこかに自分のスペースが欲しい』という人は増えています。一番手軽なのは、押し入れを改造してデスクを置く方法です。ただ、押し入れがメインの収納になっているご家庭も多いので、そうした場合は違う方法でスペースを確保します。集合住宅なら寝室やダイニングにデスクを設けたり、リビングの一角を少し仕切ってワークスペースにしたり、やり方次第では広いスペースがなくてもワークスペースを設けられます」

お悩み事例④
:家族の介護が必要に

トイレや洗面台に手すりをつけ、開口部を広く設けることで車椅子の方でも使えるように。

 家族の介護が必要になった場合は、どんなリフォームが必要になってくるのでしょう?

「介護する方の状態にもよります。例えば、家の中も車椅子で過ごされている方は、開口部や段差、スロープなど、車椅子で生活するためのつくりが必要です。ショールームでは車椅子の方用のトイレや洗面台、バスルームなどを展示しているコーナーも設けています。

 ただし、介護が必要な方の中には、外では車椅子を使うけれど、家の中では使わないという方も多いです。そういった場合、家の中を車椅子仕様にしてしまうと、開口部を広く設けたことでかえって手すりなどに手が届きにくくなり、使いづらくなってしまう場合もあります。介護を受ける方の状況に合わせてリフォームを行うことが大事です。リフォームで必要なことは、一概には言えないのですが、やはり基本となる手すりを設けたり、床の段差をなくしたりすることです。介護される方が、自分でなるべく動けるように考えながら設備を追加していきます」

「そのほか、玄関、洗面台、バスルームなどに、ベンチを設置するのもよい方法だと思います。また、高齢になると夜間のトイレが近くなる方が多いので、寝室の近くにトイレを設ける方もいらっしゃいます」

お悩み事例⑤
:湿気が多い

色やデザインがバライエティ豊富に揃う“エコカラット”。

 湿気が多く、ジメジメしがちな家を改善できる方法はありますか?

「部屋の湿度を調整する一つの方法として、室内を快適な湿度に保とうとする調湿機能を持ち、匂いや有害な物質も低減する内装壁機能壁材“エコカラット”を壁に使うのがよいと思います」

 エコカラットは珪藻土の約6倍の調湿性能を持ち、湿気だけでなく臭いも吸収してくれます。

「色や質感もさまざまなものがあり、壁一面に張るのはもちろん、デザイン的に壁の一部に使うこともできます。空間のアクセントになって、インテリア的にもグッと素敵になるとお客さまに好評です」

「内装壁機能タイル」
www.lixil.co.jp/lineup/tile/functional/

 次回は、暮らしの夢や憧れを実現するためのリフォームについてお伺いします。

(第3回に続く)

≪お話を伺った方≫

渡辺 朋子

LIXILショールーム統括部。一級建築士、福祉住環境コーディネーター2級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。お客様に喜んでいただけるリフォームを提案できる、リフォームコンシェルジュの育成に力を入れています。

文◎濱田麻美
撮影◎小野隆司

リクシルオーナーズクラブ(年会費無料)