![](/fileadmin/res/articles/others/265/01a_01.jpg)
進学や就職、転勤など、新年度は引っ越しをする人が多い季節。引っ越しは面倒で大変というイメージもありますが、実は、不用品を手放して生活をリフレッシュできるよい機会でもあります。必要なモノの見直しから、荷造りのコツ、やることリストづくりや業者への依頼など、引っ越しをスムーズにし、快適な新生活を始めるためのポイントを、整理収納コンサルタントの須藤昌子さんに伺いました。
引っ越しが面倒で大変だと感じるのは、荷造りや荷ほどきの負担があるからではないでしょうか? 長年同じ家で暮らしていると、いつの間にかモノは増えがちで、大幅に処分したり整理したりする機会はなかなかありません。こうした面倒なことに向き合わなくてはならないのが引っ越しです。
「今の暮らしを見直して、生活動線や収納を根本から変えるのはなかなか根気がいる作業です。ただ、引っ越しとなると住む場所がまったく変わるので、ゼロから向き合わざるを得なくなります。引っ越し日が決まれば、やるべき期日も決まります。だからこそ、みなさん本気になるのです。引っ越しは、暮らし方を変えたい方にはまたとないチャンスといえるでしょう」
新居が決まったら、間取り図を見てどこで何をするかをイメージしていきます。
「部屋がいくつかある場合は、どの部屋をどのように使うかをイメージします。自分はどんな空間が好きなのか、どんな生活をしたいのかなど、求めることを書き出したり、それに近い画像を見つけたり具体化して、これからの暮らしを考えていきましょう。せっかく始まる新生活なので、ぜひ理想の住まいを思い描いてください」
新居は間取りや収納が現在の住まいと変わるので、それに応じてモノの量を調整する必要があります。
「収納場所ごとにモノを見直すことをおすすめします。引っ越し直前に一気にすべて作業するのは大変なので、一箇所ずつ確認して、汚れてしまっているモノやずっと使っていないモノだけでも先に取り出しておきましょう。想像以上にたくさんのモノが出てくるものです。似たようなモノを複数持っている場合も、これを機に本当に使う量だけに減らしましょう」
モノを減らしたほうが引っ越しはラクになりますが、処分するか迷うことも多いと思います。
「判断基準となるのは、新居でそれを“積極的に使う気になるか”ということ。ずっとタンスの中で眠っている服や、衝動買いしたまま使っていない家電など、使っていないモノには使わない理由があります。こうした余計なモノがあるせいで、収納スペースが足りない、部屋が片付かない、ということも多いのです。新居につくり付けの収納があったり、現在持っている収納家具を置く場所がないなど、新居のつくりやスペースの都合で捨てざるを得ない家具や収納用品もあると思います。持っていて煩わしいと感じるモノは、この際思い切って手放すことをおすすめします。
“迷ったからとりあえず”とモノを新居に持って行くケースもありますが、引っ越し先の地域ではゴミの捨て方がこれまでと違う場合があるので、調べる手間もかかります。引っ越し前に要・不要の判断をしておいたほうがベターです」
家具や大物家電はすぐに捨てられない場合もあるので、早めに準備しておくことが大事です。
「粗大ゴミの回収を申し込んでも、枠が埋まっていて回収日が2週間~1カ月後になってしまうこともあります。処分するモノを判断するときは、まずは家具などの大きいモノから決めましょう。
ブランド品や新品同様の品など、ある程度の価格で売れそうなモノは中古品販売サイトなどで売るのもありです。ただ、こうした売買サイトでも売るのに時間がかかります。急ぎで手放したいモノを売りたい場合は、リサイクルショップにまとめて持っていくほうが早いでしょう」
「引っ越す日が決まったら、電気・水道・ガス・インターネットなどの手続きを進めておきましょう。立ち会いが必要な場合もあるので、前もって日時を決めておいたほうが安心です。郵便物の転送届も行っておきましょう。こうした手続きを余裕のあるうちに済ませておくと、引っ越しの日が近づいてきたときに慌てません」
可能であれば、引っ越し前に新居に行ってみると後がスムーズです。
「お部屋の寸法を測ったり、床を一通り掃除したりしておくと、スムーズに家具を置くことができます。部屋の日当たり、コンセントの位置、その他気になる箇所、周辺環境なども確認しておきましょう」
引っ越しはやることが多いので、1カ月前までにすること、1週間前までにすること、といった具合で時系列でスケジュールを書き出してみるとよいでしょう。一つ一つやることを終わらせていくことで、気分的にも焦らなくて済むと思います。
第2回は荷造りの注意点や引っ越し日の直前にやることをご紹介します。
(第2回に続く)
整理収納コンサルタント。整理収納・片付けの考え方を伝えるブログが話題になり、2017年Ameba公式トップブロガーに認定。整理収納スタイリングレッスン、セミナー、コラム執筆など多方面で活躍。著書に『死んでも床にモノを置かない』(すばる舎)などがある。
文◎濱田麻美
写真◎photoAC