「ゴミ清掃芸人」滝沢秀一さんに聞く正しいゴミの捨て方[第3回]

【資源編】ゴミを減らしてサステナブルな生活を

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リサイクルできるゴミ

 可燃ゴミと不燃ゴミのほかに、リサイクルを前提としたゴミがあります。缶やビン、ペットボトル、プラスチック容器、古紙などです。

「実は可燃ゴミも、多くはきちんと分別すればリサイクルが可能です。最近では『資源ゴミ』ではなく『資源』と呼ぶことで、リサイクルの意識を高めようとする自治体もあります。燃えるゴミ(可燃ゴミ)、燃えないゴミ(不燃ゴミ)に加え、ゴミにはならない資源として回収を行なっているというわけです」

資源はリサイクルしやすく分ける

 資源にはさまざまなものがあり、出し方にも少しコツがあります。種類別に見ていきましょう。

1:缶・ビン・ペットボトル

コンテナで回収している地域は袋に入れず、右側のようにコンテナにそのまま入れましょう(写真提供◎滝沢秀一)

 比較的、出す頻度が多いのが缶・ビン・ペットボトルです。

「いくつか注意点があります。まず、中身は全部空けること。飲み残しがないようにしてください。
 缶は中をサッと水洗いして、潰さずに出します。回収後、処理場で圧縮処理をするときに、潰れていない缶のほうが圧縮しやすいからです。ただし、地域によっては缶を潰すように指定されている場合もあるので、お住まいの地域の自治体のルールを確認しましょう。
 ビンも蓋を取って中を軽く水洗いします。ペットボトルはキャップを取り、ラベルを剥がして中を軽く水洗いします。蓋とラベルは、それぞれの素材によって金属、プラスチックなどに分けて出します」

 自治体によっては、こうした資源の回収は折りたたみ式のコンテナで行なっていることがあります。そうした場合はゴミ袋に入れず、そのまま出しましょう。

2;プラスチック容器

 資源で一番難しいのが、実はプラスチック容器です。

「カップ麺などの容器は、さまざまな素材でできています。その中で『プラマーク』がついているものは資源回収に出せます。
 可燃ゴミ(第1回)でも話しましたが、弁当の容器などはきれいに洗える場合のみ資源回収に出してください。プラスチックは高温で溶かしてリサイクルします。油や食べかすがついて汚れているものは、ほかのきれいなプラスチックまで汚してしまうのでリサイクルに向かないのです」

3:古紙(新聞・雑誌類・ダンボール・紙パック)

 古紙は早くからリサイクルが進んできました。

「今はさらにリサイクルしやすいように、新聞、雑誌類、ダンボール、牛乳などの紙パックの4種類に分かれている自治体が多いです。
 新聞はチラシもひとまとめにして、ひもで縛るか新聞販売店などで配っている紙袋に入れて出すのがいいでしょう。古紙回収の日に出してもいいですし、新聞販売店が回収することもあります。
 雑誌類も持ちやすい量にまとめてひもで縛ってから出すといいでしょう。メモ紙などの雑紙や容器包装の厚紙なども、雑誌に挟めば資源回収に出せます。中綴じ雑誌など紙にホッチキスがついていても、断裁するときに磁石で取り除くため、家庭で外す必要はありません。
 ダンボールはたたんでひとまとめにして、ひもで縛ると回収しやすいですね。
 紙パックは洗って開き、重ねてひとまとめにします。内側にラミネートされたものでも回収に出せます」

ゴミを正しく出すことで世の中は変わる

 古布や古着を資源回収に出せる自治体もあります。着られるものはリサイクルではなく、そのままリユースに回る場合もあるそうです。

「今はファストファッションが人気ですよね。安いから、気軽に買ってしまう。収集の仕事をしていると、値札がついたままの服が平気で捨てられていたりするんです。こうした服たちは、燃やせば灰になって最終処分場に埋められます。でも日本の最終処分場は、現在の予測だとあと22年くらいで満杯になってしまうと言われています」

 世界を見ても、ファッション業界は自社の製品を回収してリサイクルし、新たな服に仕立てる、といった動きも見られます。

「食べ物もそうですよね。過去には、週に1回買い物に行ってまとめて買うことが奨励されました。冷蔵庫も大きくなり、当然電気代も高くなる。食べ切れないでゴミになるものも出てくる。そういう消費のしかたは、今、転換点なのかもしれないですね。
 服も『安いものを何着も』ではなく、少し高くても長く着続けられるお気に入りを手に入れる。そんなことからゴミを減らせると思うんです」

ゴミを減らしてサステナブルな暮らしを

 ゴミを減らす生き方は、上質な暮らしにも通じそうです。

「アメリカの考え方で『ラストロング精神』というのがあります。元はスポーツやビジネスの世界で最後まで諦めないという意味の考えなのですが、『愛しているものを、命がなくなるまで使う』という意味もあります。日本の『もったいない』にも似ていますが、こうした考え方に基づいて、ものを買いすぎず、最初からゴミを減らすのはとても大切だと思います」

 服ばかりでなくいろいろなものを厳選して、必要なだけ手に入れることでゴミはもっと減らせそうです。

「我が家では生ゴミはコンポストで分解しています。そうしてできた肥料で家庭菜園をやっているんです。小学生の子どもがいるので、一緒にやったら楽しいかなと思って。今年はいちご栽培もチャレンジしています!」

 滝沢さんのようにゴミを出さない暮らしを楽しむことで、サステナブルな社会が築けるのではないでしょうか。

≪お話を伺った方≫

写真提供:太田プロダクション

マシンガンズ 滝沢秀一さん

お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動する傍ら、ゴミ収集清掃員として働く。ベストセラー『このゴミは収集できません』(白夜書房)をはじめゴミに関する著書多数。ゴミ収集から環境問題まで、数々の講演活動も行い、オンラインサロンやSNSなどでもゴミの出し方について発信をする。環境省のサステナビリティ広報大使にも選ばれている。

文、写真◎坂井淳一

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