燃やせない不燃ゴミ
ゴミ焼却炉の性能が上がり、かつて問題になった、ゴミ焼却によるダイオキシンなどの有害物質の発生はかなり改善されました。けれど、金属やガラスなどは燃やせません。不燃ゴミとしてきちんと分別して出すことになります。
「不燃ゴミは可燃ゴミ以上に収集に気を遣います。固いものや危険なものが多いので、収集時に怪我をしやすいんです。実際、ぼくら収集員も注意をしていてもしょっちゅう怪我をします。皆さんがうまく出してくれることで、事故をかなり防げます」
不燃ゴミを出すときの注意点
それでは不燃ゴミを出すときの注意点について伺っていきましょう。
1:割れたガラスは紙袋に入れる
ビン類は資源として回収されますが、割れたビンやガラス、電球などは不燃ゴミとして出します。
「割れたビンやガラス、陶磁器などは半透明のゴミ袋に直接入れないでください。収集員は防護のために手袋を着用していますが、上から掴むので怪我をするケースが多いんです。割れ物は紙袋に入れるか紙で包み、表側にわかりやすく『キケン ガラス』と表記して中身がわかるようにし、ほかの不燃ゴミとは別に出してください」
こうした怪我をしやすいものは、紙袋がもっとも安全なのだそうです。もちろん開口部はテープなどで留め、回収中に散乱しないようにすることも重要です。
2:刃物は厚紙で巻く
包丁など刃物は、刃の部分をダンボールなどで巻いてから抜けないようにテープでしっかり留め、紙袋に入れて出しましょう。
割れたガラスや陶磁器同様、怪我をしやすく危険なのが包丁やカッターナイフなどの刃物です。
「こちらも半透明のゴミ袋にそのまま入れると、袋を破って収集員の足に落ちてきたりするのでとても危険です。刃の部分をダンボールなどの厚紙でしっかり巻いて、抜け落ちないようにテープで留めた上で紙袋に入れ、『キケン 刃物○本』とわかるように書いて、ほかのものとは別に出してください」
3:スプレー缶・カセットボンベは使い切る
ヘアスプレーや制汗スプレーなどの缶やカセットコンロのボンベ、使い捨てライターは「不燃ゴミ」に分類する自治体が多いようです。
「こうした可燃性のガスが入っているものは、必ず使い切るか中身を出し切ってください。引火の恐れがあり、収集時や処理時の圧縮や加熱で爆発や火災が発生する危険性があります。使い捨てライターもガスを出し切ってから不燃ゴミで出してください」
どうしても使い切れない場合、スプレーは周囲に中身が飛び散らないよう注意して、風通しのよい場所でビニール袋に入れた新聞紙や紙類に噴射して出し切りましょう。カセットボンベは市販のガス抜きキャップを使ってガスをしっかり抜く方法もあります。
自治体によっては「穴を開ける」という指定がある場合もありますが、引火の恐れがあり非常に危険なので、細心の注意を払ってください。お住まいの地域の自治体の指示をよく確認してください。
4:電球類はほかの不燃ごみと一緒でOK。蛍光管は分けて
電球・蛍光管はリサイクルできるので、資源として回収する自治体もありますが、不燃ゴミ扱いの自治体もあります。不燃ゴミとして出す場合、LED電球や白熱電球は、基本的にはほかの不燃ゴミと一緒に半透明のゴミ袋に入れて出すことができます。
「気をつけたいのは、一つの袋にあまりたくさん入れないことです。重すぎて運ぶ際に袋が裂けてしまう場合があります。蛍光管は買ったときのパッケージに入れるか、ダンボールや厚紙で割れないように梱包して、表側に『蛍光管』と書いて単独で出すといいでしょう」
5:電池・モバイルバッテリーは注意!
乾電池やボタン電池、モバイルバッテリーは、不燃ゴミとして出せない自治体があります。
「面倒だからとほかのゴミに混ぜるのは絶対にやめてください。特にモバイルバッテリーなど充電式のものは、収集車で圧縮されると圧力で爆発したり発火する危険性があります。
また、ボタン電池はショートしやすく発火の怖れがあるので、使用後、捨てる前に周囲をテープで巻いて絶縁しましょう。不燃ゴミで出せない地域は、自治体の指示に従って回収サービスをしている家電店などに持って行きましょう」
体温計など電池が入っている電子機器はすべて、乾電池やボタン電池を取り出してから別々に廃棄しましょう。
在宅医療廃棄物は出せないケースも
電池やバッテリーと同様に廃棄に注意が必要なのが、在宅医療で使った注射針などの在宅医療廃棄物です。糖尿病患者のインシュリン注射の廃棄物や訪問診療・看護などで出るガーゼ、輸血・点滴のカテーテルなどが典型例です。
「在宅医療廃棄物は、廃棄物処理法上では『一般廃棄物』として自治体が回収するように定められていますが、自治体によっては収集をしていないところもあります。
そういったケースでは、お医者さんが持って帰る場合もあります。また区域内の薬局などで回収していると思います。『使用済み注射針回収薬局』の看板がある店舗を確認してから持って行き、回収してもらいましょう」
次回は資源回収とサステナブルなゴミの減らし方について伺います。
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