最低4時間半の睡眠を確保する
一般的に人の睡眠は、深い睡眠(ノンレム睡眠)と浅い睡眠(レム睡眠)がセットになり90分で、それを繰り返しているといわれています。
「ノンレム睡眠とレム睡眠の90分セットを3回くり返すと合計で4時間半になります。なかなか十分な睡眠時間がとれないという人でも、最低この4時間半は確保するようにしてください。睡眠時間4時間を切ると急に死亡率が高くなるのです。また、私が500人の睡眠時間を調べたところ、睡眠時間が短い人は太りやすい傾向にありました。理想はやはり7時間、それが無理なら6時間くらいは確保することです」
お肌のための睡眠のゴールデンタイムは?
ひと昔前は、お肌のゴールデンタイムとして夜10時から深夜2時くらいに睡眠をとることが奨励されている時代もありましたね。
「今の時代、10時に眠れるという人も限られているのではないでしょうか。10時から2時がお肌のゴールデンタイムといわれていた理由としては、寝ている間には成長ホルモンという物質が分泌されて、肌の新陳代謝を促してくれる働きがあるからです。ただ、成長ホルモンというのは10時ではなく、一番深い睡眠のときに分泌されるものなのです。寝てから3時間くらいまでが成長ホルモンが一番分泌される時間帯だといわれています。睡眠は0時から朝6時の間にとると一番質のよい睡眠になるため、美容のことを考えた場合もその間に睡眠をとることをおすすめします」
0時から6時にきっちり寝る
眠れないことが続き、医師に相談する前に試してほしいことがあります。6時間から8時間の規則正しい睡眠習慣を作ることです。
「毎晩必ず0時から6時は電気を消して床の中にいるようにして、それ以外では寝ないという生活を心がけてください。長時間の昼寝をしたり、テレビを見ながらうたた寝したりすることも避けましょう。こうした小刻みな睡眠のとり方はわかりやすく言うと、夜おいしいお寿司を食べるのに、その前にカップラーメンを食べてしまうようなものです。結果的に夜の睡眠の質を落としてしまうのです。
ただし、昼3時の前までに20分くらい仮眠するのは大丈夫です。20分間以上寝てしまうと本格的な深い睡眠になってしまうので、20分以内に留めるようにしましょう。実際、0時から6時に睡眠時間を固定すると眠れるようになる方もたくさんいます。」
運動するなら遅めの時間がベター
夜しっかり眠るためには昼間しっかり活動することが大切です。もしよい睡眠習慣のために運動習慣を身につけたいのであれば、遅めの時間帯に行うのがおすすめです。
「人は高い体温が急激に低くなるときに眠くなります。ですから、朝出勤前にウォーキングをすると、運動して上がった体温が下がってくる午前中もしくは、昼頃に眠くなってしまいます。睡眠のためにウォーキングなどをするのであれば、夕方以降のほうがよいというわけです。ただ、どんな時間帯でも運動をしないよりは運動をするほうが夜疲れてぐっすり眠れるので、運動する習慣をつけることはとてもよいことです」
寝る1時間前に入浴する
体をしっかり温め、リラックスさせてくれる入浴もとり入れたい習慣です。
「眠る時間の1時間前くらいに入浴するのがおすすめです。40℃程度のお湯に10分~20分ゆっくり浸かるとよいでしょう。浴室が寒い冬は、42℃程度に温度を上げてください。そして1時間以内に床に入ると、急激に体温が下がり心地よく眠ることができます。
入浴を早めてしまうと早く眠くなってしまうので、早起きでお悩みのシニアの方などは、なるべく遅めの時間に入浴したほうがよいでしょう」
「食事に関しては、飲みすぎや遅い時間の食事は睡眠の妨げになります。
お酒も寝つきはよくなるのですが、すぐに目覚めてしまいやすいので、もし飲むのであれば寝る3時間前までには飲み終えるようにしましょう」
睡眠薬を使うことについて
眠れない期間が続いて、睡眠薬を使っていらっしゃる方もいると思いますが、遠藤先生はあまり積極的にすすめていないそうです。薬に頼る前に生活習慣を見直してみることが大切です。
「睡眠薬の使用量を55歳と75歳で比較すると、75歳が2倍になっています。この2つの年齢層の一番の違いは、仕事をしているか、仕事をしていないか。定年退職後は、活動量も減るうえに、早く寝ようとするため眠れなくなっている傾向がこのデータから推測されます。
なるべく定年後もボランティアや趣味を積極的に行うようにして、活動的に過ごすことをまずは意識してみるとよいかと思います。
また、繰り返しになりますが、年齢に限らず休日も早く起きて活動的に過ごし、睡眠のリズムを乱さないことも大事です。睡眠によい生活習慣を心がけたうえでまだ眠れないようでしたら、その時は医師に相談してください」
3回にわたって快適な睡眠を得るための方法について伺ってきました。人生100年時代、健康に過ごすためには睡眠も大切な要素です。生活習慣と環境を見直すことで、心地よい睡眠を手に入れたいですね。
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