梅雨前に早め早めのカビ対策を![第1回]

カビはなぜ梅雨に大発生する?

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梅雨はいつ始まる?

 梅雨が始まるのは、平年は沖縄地方では5月上旬、関東地方では6月上旬ごろと言われます。「梅雨がない」と言われている北海道でも、5月に比べると6月~8月は降雨量が多くなります。

 間もなくやってくる梅雨の季節。ジメジメした日が続き、憂鬱になりますよね。中でも、いつの間にか家のいたるところに繁殖するカビの対策には、みなさん本当に悩まされているのではないでしょうか。

カビが生えるメカニズム

 カビは、自然界の中で植物などに寄生して生きています。成長すると空気中に胞子を飛ばし、空気中のチリなどの浮遊物や水蒸気に付着して飛散しながら、あらゆる物質に付着します。

 カビの胞子はあらゆる場所に存在します。屋内にも侵入し、壁などに付着すると繁殖を始めます。カビが大繁殖するのは、以下の4つの条件を満たした場合です。

1:温度
 カビが盛んに繁殖する温度は、20℃~28度と言われています。まさに梅雨の時期の気温がそれにあたります。ただし、中には70℃を超えても死滅しないカビもあります。

2:湿度
 温度以上に繁殖に影響するのが湿度です。一般的に、湿度が70%を超えるとカビが活発に繁殖し、80%を超えると爆発的に増えると言われています。また、pH4~6くらいで活発化すると言われています。pHは7が中性で、数字が0に近くなるほど酸性で、14に近くなるほどアルカリ性が強くなります。人間の皮膚はpH4.5~6.0、ヨーグルトがpH4.4、水道水がpH6.5、固形石けんがpH7.0~10.0程度です。

3:酸素
 カビが繁殖するには、多くの生物同様酸素が必要です。真空パックされた商品がカビないのは、パック内に酸素がないからです。

4:栄養素
 カビはあらゆる有機物を栄養源にして繁殖します。一見キレイに見える屋内でも、ほこりやチリ、食べ物のかす、石けんかす、髪の毛、ダニの死骸など、あらゆる有機物が栄養源になります。

カビが発生するとどうなる?

 家の中でカビが繁殖すると、なんとなく住み心地が悪い気分になるだけでなく、建物そのものが傷みます。異臭が発生することもあります。バスルームはある程度自分で落とすことができますが、壁や木部にカビが繁殖してしまった場合、簡単に落とすことはできません。

 その部分だけ色が変わってしまい、深くまで繁殖したカビは落とすことができません。また、壁紙がはがれてくることもあります。

 カビが繁殖するのは水分が多い場所ですから、その部分の木材に腐朽菌が繁殖して、床や柱などに深刻なダメージを与えることもあります。

カビの繁殖で健康被害も

 カビの繁殖は健康面にも大きな影響を及ぼすことがあります。

・アレルギー性鼻炎
 鼻の粘膜にカビの胞子が大量に付着すると、カビにアレルギーがある人は、花粉症と同じような症状が出る場合があります。

・夏型過敏性肺炎
 アレルギーが原因で肺炎を起こすこともあります。過敏性肺炎と言い、特にカビが繁殖する梅雨から夏に起きることがあります。倦怠感があり、咳や発熱などの症状も出ます。風邪に似た症状ですが、いつまでも治らないようであれば、医師と相談してアレルギー検査をしてみるとよいでしょう。

・アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
 アスペルギルスとは、カビの一種の名前です。一般的には人体に影響を与えることは少ないそうですが、免疫力が低下している人、肺に空洞性の病変がある人、アスペルギルスにアレルギーのある人などが大量に吸い込むと、肺の感染症を引き起こすことがあるそうです。また、ぜんそくがある人が過敏反応を起こすケースもあるそうです。

・水虫
 足に汗を掻くことでできると言われている水虫ですが、実はその正体は白癬菌というカビの一種です。

・シックハウス症候群
 建材に使われている化学物質が原因と言われているシックハウス症候群ですが、現在はほとんどの建材が対策を施してあります。化学物質同様、カビもシックハウス症候群の原因になると言われています。

 さまざまなトラブルを引き起こす「カビ」は、極力発生しないように予防することが肝心です。次回は、自分でできるカビ繁殖の予防法についてご紹介します。

文◎坂井淳一(酒ごはん研究所)
画像◎Shutterstock

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