ストレス対処の手順とは
前回、自分自身のストレスを把握することがメンタルケアには必要不可欠だと教えていただきました。
具体的には、どのようにすれば自分のストレスを把握できるのでしょうか。
「完璧かつ正確に自分のストレスを把握するのは難しいでしょう。なぜなら、ほとんどの場合、自分でも気づかないところからストレスを受けているからです。しかし、自分の心身に影響を及ぼす事象を感じることはあると思います。そんなときは、以下の手順で対処していきましょう」
【STEP1】前向きに考える
「過去の失敗についてくよくよと悩み続ける人がいますが、済んでしまったことに固執していても解決しません。過去は変えられないのですから、今何ができるかを前向きに考えましょう。それによって気持ちが切り替わり、ストレスの悪循環から脱することができるでしょう」
【STEP2】気持ちを切り替える
「これが結構難しいと思う人も多いかもしれません。ストレスを感じている状況から遠ざかること、生活パターンを変えてみることを試してみましょう。具体的には、旅行、絵画や映画の鑑賞、部屋の模様替え、適度な運動などが挙げられます。なお、ストレスが持続し、心身の疲労が過度に蓄積しているときには、次のSTEPに進まず、積極的に休養を取ることが望ましいでしょう」
【STEP3】具体的な目標を持つ
「生活の中に目標を定め、自覚します。前向きにいられるとき、人はストレスに負けることなく、生き生きと毎日を送れるからです」
【STEP4】自己主張する
「内向的な人は、自己主張が苦手であるだけでなく、そのことを後でくよくよと思い悩みがちなので、自分を主張する練習が必要です。あくまでひとつの手段ですが、自分の行動を周囲に宣言することをおすすめします。そうすれば、ものごとを成就させたい気持ちがより強くなって、行動力につながるのです。そのうえで成功に結びつけば『成功体験』となり、自己肯定感アップが狙えます。自己肯定感はストレスへの強力な味方になってくれるのです」
最初から完璧に実践するのは難しいかもしれません。しかし、この4ステップの思考のクセをつけておくと、ストレスに対処しやすい考え方の土壌が養われます。
セルフメンタルケアに効果的なものは……?
さらに山岡先生は「健康的な生活を送ることがセルフメンタルケアにとって重要」といいます。
「しっかりとした睡眠、食事、運動は、それだけでストレス発散になります。ストレスで参っているときこそ、生活の質を上げるように心がけましょう」
特に睡眠と食事が大事だと、山岡先生は指摘します。
「睡眠と食事は、生活の中で簡単にストレスを発散できる手段です。睡眠の質を上げるために入浴や運動、食事の際に温かいものを食べたり、人と一緒に食べたりするとストレス軽減につながります」
また、次のようなことも効果的なのだそうです。
「温泉やレジャー施設などに行くと、気分転換につながるのですが、新型コロナウイルスのことを考えると行動しづらいかもしれません。その場合は、入浴剤で温泉気分を味わったり、より自分に合った寝具で眠ったりすると、心身共に充実してメンタルケアにつながるといえるでしょう」
コロナ禍で発達したサービスを使うのもおすすめです。
「水族館や動物園をはじめ、レジャー施設、観光地、果ては海外旅行まで、リモートで観光できるサービスが発達しました。気軽に外の風景を楽しんだり、動物を観察したりと、家にいながら外出したときの雰囲気に触れられるでしょう」
さまざまなサービスが誕生しているので、自分に合ったものを選んで気分転換を図り、セルフメンタルケアにつなげてみましょう。
ここまで3回にわたり、山岡先生にセルフメンタルケアについてうかがいました。
新生活&コロナ禍でのストレスには、ぜひ効果的なセルフメンタルケアを実践したいところです。そのためには、ストレスの原因や体への影響を知り、自分の状態を把握したうえで手順を踏んで対処していくことをおすすめします。
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